昨日だか一昨日だか、TVを観ていたら俳優の的場浩次がレポーターに囲まれていた。
聞くところによると、どうやら結婚したらしい。レポーターが「プロポーズの言葉は?」などと質問するや、彼は「その質問、待ってました」と言わんばかりに目を輝かせ、あの頭の悪そうな顔をきっと上げ、大威張りでこう答えていた。
「俺が守ってやるから俺に尽くせ、と。」
これを聞いた瞬間、私は飲んでいたお茶をもう少しで吹き出すところだった。あの的場浩次がいかにも言いそうなセリフである。
悪いけど「こいつ何かカン違いしてんじゃねぇの?」と呟いてしまった。
レポーターのリアクションもちょっと微苦笑が隠せません、といった感じ。まぁ別に二人が結婚してシアワセなら私には一生何の関係もないし、
厳密に言えば私は、あの的場浩次という俳優本人が嫌いなのではなくて、的場浩次的なキャラが生理的にダメなのだと思う。
「俺もサ、若い頃はワルやってたからサ」といった雰囲気をオーラのように体中から惜しげもなく発散させ、いくつになっても意地になって硬派を気取ってる奴。
それが「男の美学」だと思ってる奴。そんな自分が結構好きだと思ってる奴。こういう奴が身近にいるとくつろげなくてイライラするのだ。
念のため書き足しておくが、「硬派な奴」と「硬派を気取ってる奴」は全く別物である。
前者はまだ好感が持てるのだが、ここで私が指しているのは後者の方である。
こういう輩は、硬派ぶるという執拗な習慣が自分の感情を無意味に歪曲させていることに気付いているのかいないのか、
むやみやたらブゼンとしている。見ていると、具体的な理由もないのにそれだけでムカついてくる。
こわは多分、私だけではあるまい。
例えば、自分が密かに思いを寄せている女の子がある日「おはよう!」と笑顔で声をかけてくれたとする。
だが硬派ぶりっ子くんには「硬派な俺様がそんなものに笑顔で挨拶など返せるか」というポリシー(・・・。)があるので、
敢えて見なかったことにするか、最大限妥協してもムスッとした顔のまま「うぃっす」である。
声をかけた女の子は「何よ、朝っぱらから感じ悪い人ね!」とか「せっかく挨拶したのに・・私のこと気に入らないのかなぁ」と思うことだろう、一般論として。
その結果、彼女は翌朝から硬派ぶりっ子くんに挨拶するのを避けるようになったりするかもしれない。
硬派ぶりっ子くんは「どうして挨拶してくれないんだろう」なんて思うだろうか。ケッ、そんな感じ悪い人間に誰が喜んで声かけるものか。
だが、本人にはイマイチそれがわからなかったりする。
嗚呼っ、窮屈ですね。はたから見てるだけで息が詰まりそうである。全くご苦労なことだ。
「女の腐った奴」という形容は、ジメジメナヨナヨして決断力・実行力などに欠ける男性のことを指して言うらしいが(←そりゃ女に失礼ってものであるぞ)、
前述の硬派ぶりっ子くんのような男性はさしずめ「男の腐った奴」とでも言うのだろうか。
何と言うか、日本のヤクザ的世界に憧れを抱いている連中が多い気がする。
あんな奴等に「俺についてこい」などと言われるのを想像するだけで(←自分は一生言われることはないと思うが)虫酸が走るというもの。
ま、せいぜい内輪で強い男ごっこでもして自己満足にひたっててください。
1997-10-19
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