【続・チ●コ騒ぎ】
何だか品の無い内容続きで申し訳ないのだが、実は前回の話には後日談がある。
当時、私には悪友がいた。そして、その悪友・フジワラと私は或る日、つまらない賭けをして、結果、私が負けた。悔しがる私にフジワラは、「負けたからには罰ゲームをしてもらわなくちゃねぇ。」と言い、しばらく考えた後、「よし、決めた。今回の罰ゲームは、校長先生にもう一度“チン●”って言わせること。私が見ている前でね。」と、血も涙も無い決定を下した。
私は途方に暮れた。校長先生は過日の件でもう散々「チ●コ」を連発した後である。そんな校長先生にもう一度「チ●コ」と言わせるには、私が職員室のキンコ=金庫に何かしでかすぐらいしか思いつかない。でも、それをやってしまったら、私が過日の問題用紙を盗んだ犯人だと疑われかねない。いや、絶対疑われるだろう。困った。うーむ、どうしよう。
そんな悩める私を優しく見守ってくれていたのは、当時の親友・ソンちゃんだった。ソンちゃんはフジワラと私の間の全てを見聞きして知っており、私の力になろうとしてくれていた。そして或る朝、「これ、家から持ってきたんだけど、よかったら使って。」と言い、冷蔵庫の脱臭剤を差し出してくれた。それを手にした途端、私は瞬時にそれをどう使うべきかピンときた。そしてソンちゃんの友情に、心から感謝した。
その日。4時間目が終わったところで私はフジワラを呼び出し、「今から決行する。校長室の前で。」と告知した。フジワラは軽く肯くと、私の後について校長室の前までついてきた。
4時間目が終わった後、校長先生は昼食を摂るために校長室へ戻ってくる。それを待ち伏せした。しばらく待っていると、案の定、校長先生がやってきた。そこで、すかさず声をかけた。
私:「あの、校長先生。ちょっとよろしいでしょうか。」
校長:「うん、何かな?」
私:「あの、これなんですけど。(←と脱臭剤を取り出し)」
校長:「うん、うん。」
私:「これ、どのように発音すればよいのでしょうか。」
校長:「ん?・・・あー、これは“チムコ”だねぇ。」
私:「わかりました。・・・ありがとうございましたっ。」私とフジワラは必死で笑いを堪えてその場から走り去った。
「聞いた?“チムコ”って言ったよね?」
「うん、言った言った。上出来だわ、尹ちゃん。アハハ。」私は気の重かった罰ゲームを終え、すっかり上機嫌で脱臭剤を放り上げた。その脱臭剤のラベルには、ローマ字で「KIMCO」と書かれていたのであった。
2005-03-16
【回目録】 (C) 尹HM. 版権所有・不准転載.