【女装警官にまかせなさい】

「署長・・・本当にこの作戦、決行して良いんでしょうか・・・」
「何だ、今頃になって。作戦会議の時は君だって一も二もなく賛成したじゃないか。」
「あの時はつい・・・しかしですねぇ、これでは思いっきり実益より趣味に走ってる気が。」
「もう決まったことだ。それに君、例の山田君のメイク、実に色っぽいと思わないかね。」
「はい、それはもう彼は今年の新人きっての美形・・・はっ、何言わせるんですか署長っ。」
「なーにをそんなに動揺しとるんだね、君は。あっ、さては・・・」
「!!!(←真っ赤になりながら激しくかぶりを振る)」

・・・というようなやりとりがあったかどうかは定かではないが、先日(9月20日付)の新聞によると愛知県警所属の名古屋市中署が今月から、ひったくりの多発するエリアに女装した男性警官を投入してひったくり犯をおびきよせ、現行犯逮捕を狙おうという、なかなか腰にくる種類の作戦に乗り出してくれたらしい。

ちなみに今回、めでたく女装警官に抜擢されたのはいずれも小柄で華奢なカラダつきの4名の男性警官だそうである。女性警官を投入するのではなく、わざわざ男性警官を女装させてしまうあたりに、そこはかとなく県警の一部の人間による「そういう趣向」が見え隠れするような気がしてならないと感ずるのは私だけではあるまい。

で、当然というか、今のところまだ犯人逮捕には至っていないという。しかし同署署長は「女装警官が其処にいるというだけでも、犯人はそれを意識するはずなので事件を未然に防ぐ効果があるはずだ」と話しており、今後もどうしたって女装の趣味を職場にまで持ち込・・・否、女装での犯人逮捕に努力する姿勢を変えることはなさそうである。まったく、アタマ堅すぎるんだか柔かすぎるんだか・・・。

ところで、この記事を読んで私が連想したのは香港の古装束系アクション片等で時々突拍子もなく始まってしまうヒーローの女装シーンである(特に連杰くん、監督の意向をよそに自から進んで「この場面には絶対、私の女装が必要だ」とか何とか言い出してきかない傾向があるとの噂が)。「え?ここは女装するような必然性もない場面やし第一そういう映画ちゃうやろ」と思いながら半ばムリヤリ観せられてしまう倒錯の世界。

まぁ、己の内に女を粧って解放される部分があるのなら存分に粧えばよい。そのかわり、後から取って付けたような言い訳などするな。きょうび、「だって、女装って快感よ!」の一言だけで説得力は充分。大概の人間は黙るはずだから。


2001-09-24


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