【Mr.コラーゲン君・製作動機】
いきなり告白調だがこのところ、お肉欠乏気味だ。もちろんこれは、食物としての肉を摂取していないという意味ではなくて、「肉鎧」系統のサムライと交わっていないという意味だ。そんなわけで昨夜も、伊集院光と居間でイチャイチャしている夢なんか見てしまった。
一方、私の夫は痩せている。と言ってもガリガリ君ではなく、しなやかで無駄のない身体つきをしている。肉体労働者だから程々に筋肉もついているし、皮膚に張りもあって美しい。世間一般の基準では、おそらくこういうのを「セクシーな身体」というんだろう。
だが、もう何度も書いているのでコアな読者(←いるのか?)はすっかりご存知のはずだが、私は相変わらず友人たちから「デブ専」だと思われている。それでも、今までそれを指摘される度に私は「違う。デブ専ではない。たまたま好きになる人が皆太っていただけなのだ。」と激しく抵抗を示してきた。
別に、普段から常に太った身体に性的な興味を感じているわけではないのだ。しかし、太った人を見ると何故か側に寄りたくなる。そして仲良くなったら指で「ぷに」と押してみたくなるのはもはや定説。そしたら次は手の平全体で「もにもに」してみたくなるのは当然の流れだ。すると、次に気になるのが私など足元にも及ばぬほど豊かな胸の谷間。に、顔を埋めて窒息してみたくなってくる辺りからは、やはり相手の都合というものも起動してくるわけで、結果的にその先へと踏み込んでしまう。そしてそうなったらなったで「この重みがたまらんのやなぁ」とか思っている自分がいたっていいじゃねぇか。(←何だその開き直りは)
確かに、私は太っている人の手が好きだ。クリームパンみたいな手の平のもっちり感は、私に生きる歓びを伝えてくれる。いや、手だけじゃない。膝小僧が何処に行ってしまったかわからないX脚気味の足だって最高にキュートだ。そして、何と言ってもやはり顔。肉厚な輪郭に埋もれた造型が、実は結構男前であることに気付いた時の、あのトキメキ。「あ、ハンサム」という私の呟きに、体を捩って照れる彼。弾む肉。踊る肉。あああああ!!
はっ。・・・もしかして、こういうのを「デブ専」というのだろうか?
いや、結論を出すのはまだ早過ぎる。太っていれば誰でもいいってわけじゃないのだ。見くびられちゃ困る。私には私なりの基準というものがあるのだから。それが証拠に、私はブヨブヨとだらしなく脂肪がついた身体は好きではない。パツパツと弾けるような、血色の良い肉の豊かさ・温かさに惹かれるのだ。言葉で定義するなら、「常に相当量のコラーゲン及びセラミドが満ち足りており、つやつやと輝きながら太った身体」ということになるだろうか。従って、私はいわゆる「デブ専」ではなく、敢えて言うとすれば「コラーゲン・フェチ」なのである。
さらに個人的な嗜好としては、やはりダッフルコートは絶対に似合わなければならない。紺色のダッフルコートをキュートに、しかもガキっぽくならずに着こなせてこそ、一人前の肥仔(フェイチャイ)だと私は思う。だって、想像してみて欲しい。休日、待ち合わせ場所の公園にダッフルコート姿で現れ、顔を笑顔でテカテカさせながらコロコロと走ってこられた日にゃ、地面は揺れるし胸はキュンとなるし、忽ち「今すぐ抱きしめて」モードに突入だわ・・・と、あなただって思うだろう?思うはずだ。思え。
ともあれ、「骨と骨がぶつかり合うようなセックスに疲れた時、人は還ってゆくのだ、肥えた肉のもとへ・・・」とは誰も言っていないが、現在結婚している私が肥えた肉のもとへ還っていくためには、夫を太らせる方法と、自分を太らせてナルシシズムに走る方法の二通りが考えられるが、残念ながら二人とも体質上、それは不可能なことである。かくなるうえは自分で、「Mr.コラーゲン君1号」でも製作するしかないのだろう。もし傑作ができたらコラーゲン・フェチ同志のために増産して「南極でも大人気!」とコピーをつけ、闇で売り出したい。
2001-03-23
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