【極東看板ブルースU】

昨日の昼に食べた炒飯は、まったくもって最低だった。同僚E氏の言葉を借りるなら「何をどうしたらこんなにマズいものが作れるのか」というぐらい最低だったのである。 だが考えてみると、少々高いお金を出しさえすればいつでも美味しいものが食べられるこの国のこの時代に、わざわざお金を出してマズいものを食べる (食べさせられてしまう)なんて、たいへん貴重な機会だったのかもしれない。

と、ムリヤリ自分を納得させようとしたものの、やっぱりカラダは正直だぜ、たちまち胸焼けしてしまう。 身も心もムカつきながら店を出て看板を振り返ると、案の定「和食&中華」とあった。 きっと、「和食一筋、三十五年!」や「中華の心、ここにありヨ!」を誇る料理人が見たら邪道だと言って怒り出しちゃうのであろう。 和食を極めるのも中華を極めるのも、それぞれ並ならぬ時間と労力がかかるのだもの。 こういうどっちつかずな姿勢は赦せないに違いない。私も今後、この手の看板を掲げた店には極力足を踏み入れるまい。

ふと、これと似たようなことが病院関係で起こったらどうだろうかと考えてみた。 これは一つの例だが、もし「桃ヶ丘歯科・肛門科クリニック」という看板を出した医院があったとしたら、 進んで受診したい人はいるだろうか。まぁ取り合わせが取り合わせだけに、ちょっと興味は持つかもしれないが、同じ建物の中で同じ医師が、 歯科と肛門科を同時に受け持っているという構図は、衛生的にも倫理的にもヤバイ感じは拭い去れない。

例えば治療台の上で歯を削られている最中、横のカーテンの向こうから「先生、準備できたんですけど、お願いしますぅ。」と声がする。 医師は手を止めて器具を置き、カーテンの中に入っていく。おそらくそこにはパンツを下ろして診察台に四つん這いになった、もう一人の患者が恥じらいを堪えつつスタンバっているのだ。 「あーあ、こりゃひどいなぁ。ちょっと指突っ込みますよ、痛いけどガマンして下さいね。」「・・・はぅあっっ!!」 などという会話が嫌でも聞こえてくる。ほどなく戻ってきた医師は再び何食わぬ顔で器具を手にし、 こちらがまさかと思う間もなく口の中へ。ぎゃおっ。間接キス・ユア・アス。だがそんな心の叫びは、誰にも届かない。

想像しただけで、念入りにうがいをしたくなってくる。

2000-08-01


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