ニューロマンサー

1999/08/31up

ニューロマンサー(Neuromancer)

ウィリアム・ギブスン (William Gibson)

ハヤカワSF文庫(1986)\660

 この本が出た時、えらい評判になったものだ。SFマガジンでは、サイバーパンクの特集が組まれたような気がする。ニューウェーブによって観念的になりすぎたSFに、待望の物語が新しい装いで帰ってきたという気分だった。

 とはいうものの、実はその時、僕はギブスンを読まなかった、本屋で立ち読みした文章が、あまりにも固くて辟易したからだ。電脳空間を描くための、氾濫するカタカナ(焼鳥にヤキトリとルビがふってある)のせいなのか、翻訳のせいなのか、もともと原文がそうなのかは分らない。歳月がたって、こなれてきたかと思って読んでみたが、やはり読みづらかった。

 物語は、人工知能がハッカーを雇い、自らの進化の足かせとなっているリミッターを外すために、自身をハッキングさせる、と比較的単純である。主人公の相棒となる女殺し屋が映画バットマン・リターンズに出てくる猫女(ミシェル・ファイファー)を彷彿とさせて良い。

P.S. 未来のチバ・シティに展開する愛と冒険の物語。千葉市民必読。