書籍やインターネットでHB9CVのことを色々調べましたが、詳細な製作例や寸法などについてはなかなか
資料が見つからず苦労しましたが、最終的には2006年のフィールドディ・コンテストで実践使用し、自分なりに
満足の行く結果が出せました。
「ガンママッチ」
d1>d2の比が大きいほど
Sが広いほど
Lが長いほど
→→ インピーダンスを高く取れる。
●ブーム
手持ちのもので、あまり重くならないようにとφ16mmのアルミパイプを使用しました。
エレメント間隔は750mmですが、ブラケットを取り付けたりするので多少余分に取り800mmで切断しました。
その他で述べていますが、クロスマウント
の代用としてエレメントブラケットを使用したため、エレメントや給電部を接続した上でパイプの重心に水平に
1箇所ボルトを通す穴を開けてあります。
●エレメントブラケット
これについては色々悩みました。目玉クリップを検討したりしましたが風で万一エレメントが落下したりと
いうことを考えると怖くなったのと、重量を考えて採用しませんでした。最終的には5mm厚のプラスチックの板
をホームセンターで見つけたのでこれを使用する事にしました。
エレメントブラケットは5mm厚のプラ板を手ごろな大きさ(30mmx30mm位)にのこぎりでカットして作ります。
その後各辺を
やすりで仕上げ、そしてブームとエレメントが直角になるようビス穴を4箇所開けます。
HB9CVですからガンマロッドは2本必要で、ガンマロッド用のブラケットも必要なので、これはそれほど強度は
不要と考え100円ショップで見つけたプラスチック製定規(3mm厚)を切断して使用しました。1つはブームとロッド
だけを接続するので小さめに、もう一つは給電部の同軸コネクタも取り付けるので大きめに切断します。
こちらもエレメント取り付け用ビス穴とガンマロッド取り付け用ビス穴を1箇所ずつ開けます。ガンマロッドは
先端を金槌で潰してドリルで穴を開けておきます。
もっとも慎重に作業しなくてはいけないのは、2本のエレメントが水平になるようにエレメントブラケット
(プラ板)を取り付ける(ビス穴を開ける)こと、エレメントが地面と水平になるようにクロスマウント用の
穴を開けることです。
位相給電フィーダはTV用300Ωフィーダ線を使用しました。実際にブームに沿わせ、必要長で切断しそれぞれ両端、
両端子には圧着金具を取り付けてハンダ付けしました。丁度真ん中の位置の皮膜を2cmくらいの長さで切り取り、
1回ねじって適当な絶縁物をあてがってビニールテープでしっかりと固定します。
給電部はまず同軸メスコネクタを取り付ける穴と固定用のビス穴2箇所、ガンマロッド固定用のビス穴、ブーム
への固定用ビス穴1箇所をガンマロッド用ブラケット(大)の適当な位置に開けます。そして
同軸メスコネクタを取り付けます。次にコネクタのグランド側からエレメントを固定しているビスへ両端に圧着端子を
つけたビニール線
で接続します。ガンマロッドから同軸コネクタの芯線側端子へ接続するのですが、この間にマッチング用の
コンデンサを
挿入します。同軸ケーブルをスタブにしてコンデンサとして使用する方法もありますが、今回はシンプルさや軽さを
考慮して固定コンデンサを使用しました。30pFのセラミックコンデンサを3ヶパラレルにして挿入しました。この
コンデンサの耐圧が問題で、1個50Vだと多分送信電力10Wくらいにとどめておいた方が良いようです。私はあとで
耐圧500Vのマイカコンデンサに交換しました(値段が高い!)。
次に、ショートしていたワニ口クリップなどをはずし、ガンマロッドの調整になります。
ガンマロッドのショートバーをロッドの端に動かしてSWRとインピーダンスの記録を取っていきます。そしてショート
バーを3cm位ずらして同じ事を繰り返して行きます。記録を取る内容は、SWRとインピーダンスの最低点、及びSWRが
1.5以内の周波数範囲です。これらを一通り行うと傾向が見えてきます。希望周波数(コンテストなら50.05MHzから
50.5MHz程度)においてSWRが1.5の範囲内になる位置が見つかれば調整は終了です。
特に八木アンテナ等の場合、記録を細かく取っていく事でアンテナの性能を把握し正しい推測で調整を進める
ための大事な点となります。
ショートバーの調整後、今回は1.5には近いのですがそれ以下に下がらず、インピーダンスは80Ω程度が最低
だったため、3つ並列にしたコンデンサのうち一つを切断して再度同様に調整をしました。その結果、ショートバー
がロッドの端から17cmの位置(ブームから33cm)で、
50.41MHzにおいてSWR1.2が最良点となり、インピーダンスの最良点は50.45MHzで68Ωとなり、SWR1.5の範囲は
50.0MHz〜50.84MHzとなり、コンテストで十分使用できそうな状態となりました。
今回の製作例では、エレメントとガンマロッドが水平に位置しています。恐らくこれが原因だと思いますが、
マッチング用ショートバーを動かすとそのたびに共振周波数も変わるようになってしまいました。結果的には
丁度良い位置を見つけたのですが。多くの製作例ではガンマロッドをエレメントの真下に配置する(80mm位離して)
事が多いようです。これも考えましたが丁度良い金具がなかったので今回のような構造にせざるを得ませんでした。
2.構造上、エレメントとガンマロッドが平行になっており、調整に少し苦労しました。多くの製作例ではガンマ ロッドはエレメントの真下(約100mm位離なす)か逆に真上に付ける方が多いようです。
3.エレメントパイプの接続はつなぎに差し込んだだけではぐらぐらするのでビニールテープでその都度固定する
ようにしました。これが原因だと思いますが風が吹いてアンテナがゆられるとSWRが結構ふらつきます。パイプ中に
水糸を通す方法もあるようですが、肉厚があり一部タッピングビス止めしてることもあって水糸を通すことが
できませんでした。数時間の移動運用なのでとりあえずは良しとしましたが、何か一工夫が必要です。
2.クロスマウント
JR1NNLさんのホームページ
で紹介されていますが、玉網の先端にねじ込むジョイントが釣具店で販売されており、
この部品とエレメントクランプの流用でクロスマウントの代用としてあります。この方法はとてもいいと思います。
市内の釣具店を2店回って見つけ、実物を見たときは感動しました。
弱点はビーム方向を変えるためにマストを回すとジョイント部のネジが回ってしまいやすいので、ビームを回す
時は気をつけること。
3.おまけ(道具)
アンテナ工作をする際手元にあると便利な道具です。随分助けられています。
<パイプカッター>
塩ビパイプやアルミパイプを切断する道具です。のこぎりで切るよりもはるかに簡単に素早くキレイにパイプを
切断する事が可能です。アルミパイプを使ってアンテナ製作を何回もするなら持ってた方がいいでしょう。
<リーマ>
ドリルで開けた小さな穴を大きくするための道具。同軸コネクタを通す穴を空ける際などに重宝します。ヤスリで
ごしごし広げてもいいですが汗だくになります。
<圧着ペンチ>
圧着工具は電工ペンチなどで代用しがちですが専用の工具を使うと安心感がまったく違います。いつかは揃えたい。