APTCクラッチ
2004 M620の湿式クラッチにAPTCクラッチが採用されました。
APTCチラッチはクラッチレバー動作が軽く、アクセルOFF時の
リアタイヤのロックを自動制御する機能が備わっています。


写真はM620のクラッチユニットです、ドライブギアが上に
乗っかっていますが外観はY2Kからの新型エンジンと同じに
見えます。
スリーパークラッチ・バックトルクリミッターの構造は、
駆動方向と逆の方向 すなわちタイタからエンジンを回す
力が掛かったときに、相対しあった三角の突起が、対しあう
斜面を登る力を利用して、スプリングによって圧縮されている
プレートを緩める動きをさせる機構です。

プレートが緩まれば、クラッチが滑り反トルクが小さくなる
ので、三角突起はスプリングに押し戻されて元の位置に戻り
クラッチを結合させ
また 反トルクが高まり斜面を登りクラッチを滑らせる動作を
断続的に繰り返します。

写真は三角斜面にボールを配置して動作を滑らかにさせる
機構の物です。 このほかにセンターシャフトに螺旋状の溝
を彫って同様の動作をさせる物もありますが、
どちらにしても野蛮なからくりで乾式のダストと熱を考えると
安定した動作の継続は難しく、短期的なメンテナンスが
必要な構造だと思われます。
2000 M620のパーツリストです
通常ではクラッチのインナードラムは直接シャフトと
結合されていますが、インナードラムが二分割されています。

 
APTC HP
職場のな○やんが、雑誌のオマケDVDを持って来てくれた
雑誌の名前は忘れたが S2Rのプロモーションビデオだ。
その後半のAPTCクラッチ機構の説明をカメラで撮ってみました


二分割されたインナードラム
装着時はスプリングで引っ張られて密着しているのですが、
バックトルクにより広がってクラッチを自動的に緩める
仕組みです。
スリットが斜めに配置されている為に、バックトルクでは
スプリングに逆らい押し出て、エンジントルクが掛かると
締める方向に動きます。

逆回転んする訳では無いので、トルクの変動が分かり難いの
ですが、エンジン側からタイヤを回すときには締め込み
タイヤからエンジンが回される時には、広がる仕組みです
ついに S2R APTCクラッチにはスプリングダンパーが
DUCAにも装備されました。
近代では常識的な構造になりました。

バックトルクリミッター作動時のショックを緩和する目論見と
思います。

まあ ゴムやスプリングが関与するとダイレクト感は薄れる
でしょうか?
ライマリードライブギア
クランクシャフトエンドに取り付けられ、クラッチバスケット
を駆動するギアです。

ギアが二重になっています。
二枚目のギアにはスプリングが仕込まれていて
ギア バックラッシュを小さくする機構です。
スプリングを縮めてギアの山をずらし、ドリブンギアに
噛ませる。
「ギア鳴りを抑える」とありましたが、騒音対策でしょうか?
こんなグラフで機能の説明がありました。

赤いラインは従来のクラッチスプリングによる、圧着の強さ
です。 圧着力は一定のため水平に示されます。

青いラインは推進トルクです。

青いライン赤いラインを突破したところで、クラッチが
滑り出します

緑ラインはAPTCクラッチ圧着力の変化です。
エンジンからの推進トルクを受けると、圧着力が増して
ゆきます。  従来のクラッチと同等の圧着力を得るならば
スプリングは弱いもので良いことになります。

S2Rのクラッチを握ってきました
ほんとうに軽いんです。

つぎは、バックトルクリミッターとしての動きです。

同じく赤いラインは一定に推移します。

緑ラインは、スプリングが弱いので低い位置からスタート
するのですが、バックトルクが掛かるとさらに圧着力が
弱まって、青いラインのバックトルクを超えてしまい、
クラッチは滑り出します。

滑り出すとバックトルクは弱まるので、圧着力が回復し
圧着力が増すとバックトルクが大きくなり・・・・
を 繰り返すので一応緑ライン青いラインと接する所で
留まることになります。
私の理解の及ぶ範囲で説明してみました。
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