パンタローネ様のクランクケース分解 5
セルスターティング システム

セルモーターの回転を、3マイのギアを使って減速し
クランクシャフトを回します。

セルモーターは3本のボルトで固定されますが、1本が
このセカンダリーギアの裏側になります。
肉抜き穴からアクセスできる様になっています。
大きなドリブンギアNO22の軸受け部分には、ニードル
ローラーベアリングが入っていて、クランクシャフトの
上を空転しています。
ニードルローラーベアリングの内輪にもクランク
シャフトからのオイル供給のラインが彫られていて
ベアリングにオイルを供給し、ドリブンギアにも
穴が開けられています。

このギアは620gもありますが、始動時にしか回転しないの
で軽量化は意味が有りません。 
全体の軽量化には繋がりますか・・・
ニードルローラーベアリングによりクランクシャフトと
空転してしまうと、セルモーターの回転がクランクシャ
フトに伝わりません。

ここにワンウエークラッチが、フライホィールホルダー
との間に装着されます。

ワンウエークラッチは内輪(ドリブンギア)と外輪(
フライホィールホルダー)との相対的な回転差により
連結させたり切り離したりするクラッチです。

この場合 クランクシャフトがセルモーターの駆動回転
より遅いと連結され、クランクシャフト回転が
セルモーターの駆動回転より早い時やセルモーターが
止まっていてクランクが回っている時(エンジンが始動
している時)は切り離されます。
フライホイールホルダー

960g鉄の塊です。 スプラインによりクランクシャフトに
連結されます。

実際にはワンウエークラッチはホルダー内にリングによって
固定されますがホルダーに完全に接触していません。

セルの使用頻度が多い使い方や、圧縮比が高いエンジンや
バッテリーが弱くモーターの回転数が上がらない状態では
ワンウエークラッチを痛めやすい様です。
  
問題なく接続できる状況でも、ホルダーはこのような
状況です。

容量が小さいのか不具合が出やすい所です。
400のノーマルでは滑り難いのですが、一度滑り出すと
元には戻りません。
クラッチを中心に3点交換が必要でしょう。

ですからducatiには、金属表面の改良 摩擦抵抗の低下を
挙げているオイル添加剤は入れてはいけません!!

もし添加剤に効能の効果があれば、ワンウエークラッチは
滑ってしまいます。
フライホイール

重量1880gのフライホイールです。

位置決めのピンが一つ使われて、7本の6mm 強度区分12.9の
ハイテンションボルトにネジロックが使われてカチカチに
締まっています。

強度区分8.8のボルトが引き千切られたのを知っているので
強度区分12.9新品を使うことをお勧めします。
ジェネレーターローター

クランクシャフトにキーにより位置決めされます。

ワッシャーは皿バネ座金と呼ばれるワッシャーで、
中心が膨らんでいる面が表になります。

対辺20mmのロックナットの締め付けトルクですが
400SS ワークショップマニュアルでは176.5-186.3N.m
Haynes では Monster          157N.m
             SS/SL 91-93  177-186N.m
             SS/SL 94-    180-190N.m
違いの理由がわかりません。
900と400ではローターの大きさがこんなに違います。
400は300wですが900は500wを越えていたはずです。
左側のカバーです。

ジェネレーターのコイルとローターが接触してキズが付いて
いる物を見かけます。 コイルの変形でしょうか?
シフトシャフトがカバーを貫通する部分です。
メタルが挿入されていて、表にオイルシールがあります。
ペダル操作によってシャフトが強く押し付けられる為に
楕円形に磨耗して、シャフトにガタが発生しオイルシールが
新しくてもシール出来なくなります。
メタルは圧入されている為に切削しないと入れ替えらないと
思います。
なぜ ニードルローラーを入れてくれないのでしょうか?

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