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ワークショップ「君にしか描けない絵がある」
2005年7月9日 ナフシャにて「3時にナフシャでまちあわせ展」 のイベントとしてワークショップが行われました。 以前、三重県でしたときと違って、今回はこれからイラストや絵本を 描いていこうという若い方が多かって、また違った面白さがありました。 今まで「絵を描く」ということが、右手で筆を握り、紙の中に描く ということだったかもしれないけど、他にもいろんな形で絵は描けるん ですよね。左手で描いたり、はみ出して描いたり、目をつぶって描いたり、 破ったり、足の指で描いたり、、、、。ワークではそれぞれが今までに 描いたことのない方法で描いてもらいました。葉書きサイズに描いて いったので、どんどん違うやり方で何枚も描きました。そうすると、子供 のとき初めて絵を描いたときのように、なんだか分からないけど夢中に なる感じになっていくんですよね。みなさんとっても個性的で、まさに その人でしか描けない絵が、次から次に生まれてきました。 最後には一枚選んでいただいて、僕がその絵に詩を書いてお送り することになりました。最初は、ご自分の絵の中から一枚選んでもらう 予定でしたが、みんな他の人の絵も気に入ったりで、自由に選んで もらいました。 以下が、その選んだ絵と、それにつけた詩です。 |
君の描いた絵は見えない
だけど君の描いた絵は聴こえる
体の中に溶け入るように
君の描いた絵は音楽
誰にも聴こえない私だけの音楽
君の描いた絵は私だけの音楽
君が「うふふ」って笑ったので
地球は今日もまわってる
君が「うふふ」って笑ったので
夏の星座はこんなにも美しい
君が「うふふ」って笑ったので
クスの木の木陰はこんなにも涼しい
君が「うふふ」って笑ったので
世界中の子供たちは今日も走っている
君が「うふふ」って笑ったので
隣の僕もつられて「ぶふふ」って笑ったのでした
君が「うふふ」って笑ったので
空を見ていたら
僕の中でカランコロン音がしたよ
遠くにいるはずの君が
カランコロン入ってきたみたい
「わは」
海のしずくは君の足跡
山の葉音は君の匂い
そうして僕はどこでもない場所にいて
君と一緒にカランコロン転げまわる
カランコロン カランコロン、、、
破ったり、こすったり、削ったり、穴を開けたり、まるめたり、、、、、
秒針は僕の足で
今日も僕は君が待っているところへ行かなくちゃ
「まちあわせ」に遅れないようにね
1から12までの永遠
「やあ」「さようなら」「久しぶり」「おはよう」
てくてく てくてく 君が待っているところまで
1から12までの永遠
てくてく てくてく
お風呂で肩までお湯に浸かっていたら
「パオーン」とアフリカゾウの鳴き声が聴こえた
交差点で信号待ちしていたら
「ブシューン」とクジラが潮を吹き上げる音が聴こえた
キッチンで玉ねぎの皮を剥いていたら
「ウンギャー」とスペインのある村で生まれた
赤ちゃんの産声が聴こえた
私がここにいると同時に 世界もここにあるんだな
そう思うとなんだか嬉しくなって
私も「パオーン」と鳴いたのでした
「リンリン」 私の中で鳴ってるよ
うれしい音 はずむ音 おどる音
「リンリン」 ずっと私の中で
お母さんになっても お婆ちゃんになっても
ひいお婆ちゃんになっても
「リンリン リンリン、、、」
生まれたばかりの私のまんまるたち
焼きたてのパンにピーナッツバターを塗っていたら
君の笑い声が聴こえたよ
僕の朝は君の笑い声
はあ、いい気持ち
窓の外の白い雲もピタリと止まって耳を澄ますよ
そして家がフワリと宙に浮いて
君の街へ飛んでいくよ
僕はパンをほおばりながら
小さな旅の途中
パンの匂いと君の笑い声
僕の朝は君の笑い声
最後は、参加してくれたみなさんが、
自然とそれぞれできた葉書きを交換して、
お便りしあうようになりました。
そんなわけで、僕も気に入った絵をそれぞれ送ってもらう
ことにしました。
ワークショップを終えて
「どんな人にも、その人にしかできないことがある」 そんなことを僕はどこかで信じています。
この宇宙に生まれて、「私にしかできない特別」がもし見つけられたら、その人はとっても
豊かな時間をおくれるように思います。今回はそれを絵で実践してみましたが、何もそれ
は絵でなくても、お料理をすることでも、猫とお話することでも、なんでもいいと思います。
そうして、今度は他の人の特別を感じられるようになると、世界がとっても愛らしく見えて
くるように思います。
今回のワークショップでも、みなさんの特別をたくさん目の当たりにさせていただきました。
デッサンすらできないこんな僕の、ヘンテコなワークショップにご参加いただき、参加者の
皆様には心よりの「ありがとう」です。また一緒に絵の具まみれになって、遊んでもらえた
りしたらうれしいなあと思います。