読書の森 ちょっといい話



この十年間の間には、様々の分野で活躍していらっしゃる方々をお迎えして、多彩な企画を行ってまいりました。
その余得で伺えたさりげなく、ちょっぴりいい話を皆様にもお伝えしますね。初回として

1.マザー・テレサと長崎カステーラのお話です。
このエピソードは、日本にマザーの活動を初めて紹介した写真家沖 守弘さんから伺ったお話ですが、マザーは甘い物が大好きで、沖さんが日本菓子を代表して長崎カステーラを持参しますと、大変喜ばれて、それからは訪問するときはいつもこれを持参したとのことです。
そのお話をするときの沖さんのお話振りと表情がまたとびきり良くて、「歯がわるいくせに、甘い物が大好きで」とお話になる沖さんは、すっかり老親を労るこどもになっていらっしゃいました。

2.田島征三さんのおんぼろアパート
日本を代表する絵本作家田島征三さんは、私たちも大好きな作家で、今まで計三回お越し頂いて、親しくさせていただいています。
そのなかで伺ったお話ですが、どうしようもなく疲れた時に時々見る夢があって、それは自分のアパートに帰る話なのですが、いつも決まったアパートの、しかも階段を上がった二階の右側(あるいは左側でしたか)の何番目の部屋と決まっているのだそうです。
もちろん昔自分が住んだことのあるアパートとかではありません。
征三さんらしい、いい話だなあと思うのです。
そのうちこれを作品に書きたいともおっしゃっていましたが、まだ書かれていないようです。
夢の中にこんな隠れ家があるって、すごく安心できるんじゃないでしょうか。
欲しいですね、こんな隠れ家が。

3.ビートルズの日本公演
夏の軽井沢はすぐとなりにどんな人がいるか、知れませんね。
数年前の夏のある一夕、ホームコンサートに招待されまして、出掛けたのですが、プロのソリストの演奏を極少人数ですぐ目の前でお聴きする贅沢なコンサートも終わった後の懇親パーティの席で、たまたまビートルズの話がでたのです。
するとお話になっていたご婦人が、「私の主人が司会をしたんですよ。」とおっしゃるのです!
ビートルズマニア歴?十年の私としましてはただただ茫然自失、あの、あの今や伝説的な司会になっているE.H.エリックさんの奥さん(伊藤みどりさん)だったのです。
その奥さんにお聞きした話では、当日のビートルズのコンサートは時間が押して、押して司会者が出演者つまりビートルズと事前に打ち合わせる時間もなくなり、しかも司会の言葉もどんどん削られて、終いにはあの、「レディーズ、アン、ジェントルメン。ヒアーズ、ザ・ビートルズ!!」だけ。これで司会終わり。
長い司会稼業の中で、最も短い司会が最も有名な司会になったのでした。
このお話を伺った当時、エリックさんは病気療養中とのことで、奥さんが献身的に看病に当たっていらっしゃいましたが、去年でしたか、一昨年でしたか、お亡くなりになりましたね。
そう言えば、そのときの出演者ももう二人しかいらっしゃいませんね。
Life Is very Short と申しましょうか、All Things Must Passと申しましょうか。





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