アサヒビールが「スーパー・ドライ」「ダンク」の2銘柄でリターナブルびんを採用した。実は我が家では当初缶ビールをケース買いしていたのを、1年ほど前から小びんでケース買いする様になっていた。理由は、「缶はアルミの味がする」「何となくびんの方が(洗浄するだけでいいので)環境に良さそう」と思ったから。
でも、ビールをきらしたときや、冷蔵庫に冷やすのを忘れたときはこれまでは缶ビールを買いに走っていたのだ。で、新しい「スーパー・ドライ」「ダンク」を買ってみて(「スーパー・ドライ」は余り旨いと感じなかったが)「ダンク」の方が気に入ったので、びんをケース買いする事にした。万が一きらしても、同じものを酒屋さんで買えばいいし、酒屋さんに注文したときにまとめて引き取って貰える。
リターナブルびんを採用したことの意義は大きい。これまで缶飲料やペットボトル、紙パックの飲料が台頭し、リサイクル出来ると言いつつもびんには及ばない。たまに出る空き缶は分別し、牛乳パックは中身を洗ってハサミで切り開き、スーパーマーケットのリサイクルボックスに返す。コンビニでジュース類を買うときは、ペットボトルのものはまず買わない。缶ジュースを選びかけるが思い直し、紙パックの100%果汁のものをできるだけ選ぶ。空き缶がなかなか溜まらないので、資源ゴミの日の空き缶を出すのはまれだ。いや、元々はびんだった。少なくとも私が小さい頃は醤油もサラダ油も一升びんに入っていたし、もっとリサイクルされていた。
そんな中、10月1日NHK「クローズアップ現代」で『ワインボトルがあふれ出す』というタイトルで放映された内容は衝撃的だった。資源ゴミとして収集されたガラスびんは実はあまりリサイクルされていない。ビール瓶はリサイクル率が高いが、一升瓶もびんのまま再利用できないものも少なくない。それはPL法により、傷の多いびんにより人がケガをしたとき、製造者が処罰されるからだという。「スーパー・ドライ」のリターナブルびんのあのパッケージ(余り頂けないとは思っていたが・・)は、そのPL法対策だ。割れにくく、割れてもガラスが散らない工夫がされている(他にも容積が小さいなどの工夫がある)。
ワインボトル(ワンウェイボトル:そのまま再利用出来ないびん)はもっと悲惨だ。びん自体の形状も色もまちまちなので、そのままでは再利用できない。そこで一度粉砕して細かいガラスの屑(カレット)にし、溶かして再成形するのだが、(飲料メーカの要求する品質が上がった為)製瓶業者の需要も落ち込み、ワインブームのお陰も手伝って、リサイクル業者の敷地にカレットの山が積み上がる。つまり私たちが飲んだ輸入ワインのビンは、リサイクルされずにゴミの山を積み上げる結果となっているのだ。
緑色をした、ワインボトルから粉砕したカレットは、それだけ分別されて山になっている。これを再成形したものは、見た目の色が若干バラつく程度で強度などは問題ないという。飲料メーカーは消費者に好まれないから、という理由で緑のカレットから作ったびんを採用しない。果たして本当にそうだろうか? 若干のバラつきがあっても納得出来れば買うと思う。何か消費者がバカにされている気がする。折角分別して出したゴミが、再利用されていないことの方が納得行かない、と思うのだが・・・。(我が家で消費するワインの為にも、是非再利用して欲しい。)
最後に、アサヒのリターナブルびんもコンビニなどでの回収率が悪いらしい。(それを若者の意識が低い、と決めつけているのもいけないが)面倒だ、という理由で資源ゴミとして出されているものが結構あるらしい。リターナブルの成否は、買った人の返却率次第だ。折角びん補償金も還ってくるのだから、返せばいいのに〜!
ついでにもう一つ。番組内での調査結果に面白いものがあった。「びんは缶より環境にやさしいと思う?」「びんと缶では缶の方を買う?」の2つの問いに対して、「はい」は両方とも70%を越えた。一度、同じ銘柄のビールを「缶」と「びん」で比較してみてはどうだろう? きれいなグラスによく冷えた両方のビールを、程良く泡立てて飲み比べてみては如何だろうか!?
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