1月17日 北限調査紀行Part2(宮城編)

 みなさま、明けましておめでとうございます。今世紀も引き続き、「カヤ日記」をよろしくお願いします。m(_ _)m

 文献によれば、仙台空港の滑走路予定地、仙台市内の休耕田、そして、北上川河川敷のヨシ原で、それぞれカヤネズミの巣らしき「草で作ったボール状の巣」を見つけたという報告がある。北上川では、40年前には、巣の中で赤ん坊も確認されている。古い記録だが、報告者が鳥の専門家なので、信憑性は高い。もし今回、同じ場所で巣を発見できれば、北限ラインが一挙に上がる。これはもう、探すっきゃない。

 ところが、意気揚々としている私たちに、Tさんが言いにくそうに、

T:「仙台空港のはさ、ダメだと思うよ。」
作:「え?何で?」
T:「だって、ラグビーボールくらいあったんだもん。」(両手を広げる)
作:「>ラグビーボール・・・・・・」
T:「オレは、だから報告書に載せんのやめとけっっつったんだよね。」
作:「・・・・・・そりゃ、ダメですね。」

 まあ、とにかく植生を確認するだけでも参考になるし、最初に仙台空港滑走路予定地へ、それから北上川へと北上することに決めた。

 現地に着くと、田んぼが広がり、適度にオギが繁茂して、カヤネズミがいてもおかしくない雰囲気。ただ、数百m離れた場所でで飛行機が離着陸するので、時々キーンという音が聞こえてくる。とりあえず、カヤ臭そうな(笑)場所をみんなで手分けして探してみたが、2時間探して見つかったのは他種のネズミの穴ばかり。それらしき巣は見つからなかった。残念。

 気を取り直して次のポイントへ向かったが、ここも空振り。さらに北上しながら、幾つかのポイントで捜索するが、気配すらない。雨は相変わらず降り続けている。11月の宮城の雨は冷たい。体を動かさないと、どんどん体温が奪われていく。

 時間とにらめっこしながら、少しでも良いポイントは無いかと車を走らせる。雨が少し小やみになった頃、右手に北上川の河口が見えてきた。広い。川幅数百mにわたってびっしり生えたヨシが、風になびいている。まるで、ヨシの海のようだ。報告のあった場所付近を時間の許す限り探したが、巣は発見出来なかった。ここで、タイム・アップ。

 宿で、明日の作戦会議を練る。植生から考えると、北上川の河口よりも、もっと上流の方が営巣環境は良さそうだ。そこで、今日見たポイントと地図を照らし合わせ、北上川と支流の幾つかのポイントをピックアップ。明日の捜索に賭けることにした。 その晩は、
「総カヤ造り」の温泉に浸かり、新鮮な海の幸に舌鼓を打った(すっごく良かった。最高!)。

 翌日はとにかく手当たり次第に探しまくった。バンバン車を走らせて、良さそうなポイントがあれば一定時間捜索し、見つからなければ次へ。昼休憩もそこそこに、必死で探した。Kさんは、「なんかねー。カヤ関係で仕事に行くと、3食に1食は必ずコンビニで買ったものを車の中で食べることになるんですよねぇ。へたすりゃ、3食ともとか。」としみじみ言っていた。まあ、車で寝泊まりするのなんざ、日常茶飯事なのだが、調査が長引くほど、せめて食事はきちんとしたものを食べたいのは同感だ。

 それにしても巣が見つからない。オギやススキ、エノコログサもふんだんに生えていて、カヤにとって申し分ない生息環境が目移りするほどあるのに。何が足りないのだろう。もしかして、自分はとんでもなく見当違いの場所を探しているんじゃないか、という気がしてくる。

作:「あーもう、このまま一つも巣が見つからんかったら、どうしよう。『スクープ!!カヤニストの看板に偽りあり!』なんて書かれるかも。」
K「いや、限界に挑戦してるんだから、見つからなくて当たり前なんですって。」

 タイム・リミットは刻々と迫ってくる。Kさんは、仕事の都合で19時の便で帰らなくてはいけない。あとせめて1カ所。・・・そして、ついに無情にも日が沈んだ。

 車を飛ばし、仙台空港まで、Kさんを送り届ける。何とか間に合った。ここで、交代要員としてダンナを補充(笑)。空港のロビーに、普段着でへらへらと現れたダンナは、開口一番、「ごめん、長靴忘れた。」「・・・・・・(人選をミスッたか?)」

 次回山形編。結果やいかに!?