よい性格を持った小犬を育てる方法
原題:Raising Pups with Great Temperaments
By Jerrie E. Wolfe -
Rose Croft Cairn Terriers
私は長いこと犬を育ててきましたが、以下に述べるのは、私の犬たちが
どのように自然に行動し、反応するかです。
私の方法を真似ようとする人は、最初に成犬を小犬に会わせるときは、
もっと気をつける必要があるでしょう。私は以下に述べるように、
小犬が犬社会に順応する方法に従うことを薦めます。
犬は元々、社会的な生き物で、群れの中の順列を大切にする生き物です。
あなたは群れのリーダーとなり、その他の群れの犬はあなたの後に従う
ようにしなければなりません。
群れの中では、妊娠しているメスは特別な配慮と餌をもらいます。
出産が近づくと出産の場所をあなたの選定したところにします。
私は私のベッドの横にしていますが。
子犬が生まれたら、それぞれの子の体重と異常の有無が記録されます。
体重は毎日量られ、以下に述べるケアが行われます。母親がほかの犬が
小犬に近づいてもよいというようになったら成犬や若い犬を小犬に近づけ
させてもよいです。若い雌犬が母親の代わりに子守りをすることを何度か
経験しました。牡犬がそうしたこともありました。
私の小犬たちは小さな囲いに縛られることなく、4から5週目になり自分で
行動できるようになれば、天候さえ許せば屋外の小犬の遊び場で遊びます。
ここでは、小犬たちは沢山の障害物を乗り越えたり、くぐったり、また
たくさんのおもちゃで遊びます。この小犬の遊び場で、小犬はいろいろな
運動神経の発達をします。
小さいときにより多くの刺激を受けることはよりよいことです。
この中のものはダンボールの箱、コンクリート管、ごろごろした岩、
芝生の上の家具、昔のイヌが掘った穴、プラスチック製のプールなど
たいした物はないのです。これらはがらくた置き場みたいなものですが、
小犬は喜びます。
小犬の乳離れは私の予定ではなく母親のスケジュールで決めさせます。
母親には小犬が食べる食物と同じ物を与え、小犬は自分で食べられるように
なるとすぐに固形物を食べてもよいようにしています。
母親は自分で自然に噛んで消化した後、これを戻して小犬に与えます。
離乳の時期を決めるのも私は母親に任せています。このことは、成犬の
いうことを聞きなさい、群れの順列に従いなさいと言うことを徹底するのに
役立ちます。食事の時間がくると私はパピー、パピー呼びますが、これは
将来呼ぶと来ることを子犬に教える事になります。
離乳の時期をゆっくり行わせることは、人間の子供でもそうですが、
授乳期間の長い犬はアレルギーになる率が少なく、歯の噛合の問題も
少ないとされています。犬の場合、子犬のときに不自然な食べ物
(ドッグフードなど)を最小限にして、長い間母乳で育てられた犬は
アレルギーが少なく、顔の筋肉の発達をも促すようです。
私の犬舎では成犬も子犬と一緒の遊び場に入れています。わたしは年長の
犬が子犬にしてはいけないことを矯正することに何も干渉しません。
成犬は子犬に、かれらは子犬より上のランクにあることを教え、年長者を
尊敬することを教えているのです。過去18年の間に成犬が子犬を矯正する
のにやりすぎたことはたったの1例だけでした。この成犬は群れのメスの
ボスで、子犬があまりに飼い主の愛情を受けていたのでそれを嫉妬したため
でした。
9週から12週までのあいだ、子犬は群れの中で自分自身の順位を確立
します。この間はほかの犬といろいろ喧嘩をしますが、人間が干渉せずに
子犬自身に喧嘩を治めさせます。
この時期は母親をのぞいて、他の成犬をしばらく遠ざけるのがよいでしょう。
これは成犬が喧嘩にちょっかいを出したり、負け犬になった子犬に集団で
かかっていくのを防ぐためです。一度子犬の中で、群れでの順位が決まれば
成犬と一緒に遊ばせてもよいでしょう。
成犬は子犬を殺すということを聞いたことがあるかもしれませんが、これは
とんでもない間違いです。牡の成犬は子犬が社会的な順序を確立するのに
重要です、彼らは子犬と接触するのを楽しみ、牡の成犬は恐れるものではない
ことを教えます。
かれらは遊びがおわるとガーーーと唸り、遊びは終わったと教えます。
雌犬はほとんどいさかいを起こさないことを知っていますか?ところが
牡犬が入ると大変な騒ぎが起こります。あなたは昔からいわれている
「牡は牝より気性が激しく、繁殖のとき以外は別に飼うべきだ」ということ
以外に、なぜだか考えたことがありますか?これは納得できますか?
もし、牡の子犬が小さいときから一緒に飼われ、群れでの順位が確立される
ようにされていたら、牡犬は他の牡犬を脅威と感じないでしょう。
私は社会的に大人になっていない牡犬を戦わせ、誰がボスかを決めさせる
ことを薦めてはいません。しかし、上記のように適切に群れの中で育てら
れた牡犬はショーの舞台でも、散歩に出ても恐怖に基づく攻撃性を表すことは
ないでしょう。
テリアの示す攻撃性の90%は恐怖から来ています。これは子犬のときに
十分な社会性が身についていずに、更に新しい飼い主の不注意がこれを増幅
しているのです。
再度、皆さんに言いたいのですが、私は犬を外に出し犬に自分で自分を守り
なさいと言っているわけではありません、私は他の犬に近付けて社会性を養う
ことをさせずに、人間とばかり接しているのはいいことではないと言っている
のです。
もし、私たちの子供を5歳になるまで家に閉じ込めていては、幼児虐待と
言われます。子供の学習の90%は3歳になるまでに終わります。これは
犬に対しても同じですが、スピードは非常に早く、初めの16週間に起こり
ます。他の犬にいじめられて救出されたようなケアンでも人に馴れなかった
ものは稀です。よい性格の犬を育てるための繁殖に関しても、一つの特性に
注目するのではなく、その犬の性格他すべてを考慮することが大切です。
このことはその犬のドッグショーにおける行動のみを見るのではなく、
その犬の家での行動、などほかの環境に置かれたときの行動も見るべきです。
その犬の「穴掘り競争」、アジリティー、服従訓練、散歩、ショー以外での
他の犬への態度などを観察します。また毛を梳かされている時の態度も観察
します。
その犬がどのように育てられたかも重要です。社会的に慣らされていない犬は
そうでないのに比べて、落ち着きがないものです。次の章は犬からその犬の
持っている素質をできるだけ引き出す方法です。
子犬を成犬と一緒にできない人や、1匹か2匹しか飼っていない人は
次の子犬が来るときは試してください。必ず違いが分かるはずです。
初期の社会化について(優秀な性格は初期のトレーニングに始まる)
初期の神経構造の発達。次のような刺激は子犬のストレスへの耐性を増し、
心臓を発達させ免疫を増大させ、アドレナリンを増強させます。この初期の
刺激は生後3日から16日にかけて行わなければなりません。
1.足の肉球をこすってやる(くすぐり)
2.子犬の頭を高くし手で持ち、しっぽを下げさせる
3.2の逆で頭を低くしっぽを高く
4.床から少し離して体を床に平行に持ち上げる
5.非常に冷たいタオルの上に犬の足を置いてみる、
氷で足をなでることも可
これらを一つずつ4、5秒ずつ毎日行う。
その他の刺激訓練は、
1.1週目、毎日子犬を持ち上げ、頬で子犬を擦ってやる。
子犬の腹を支え1分間持っている。
2.2週目(7から14日)、いろいろ変わった位置で子犬を持ちます。
ある時はぐるっとまわしたり、左向きで持ったり、上下逆に持ったり。
この週のある日、2分ぐらい寒い部屋に入れます。
3.3週目(15から21日)刺激は場所を限定していきます。
ある日、子犬を持ち上げ耳をつねります。また、ある日は左前足先を、
次の日は右前足先をと言う風に。
4.4週目(21日から28日)沢山のストレスを与えてはなりません。
子犬は周りを認識して行きます。子犬を他の子犬から離し、今まで
経験したことのない感触の床に乗せます。そのときその犬が新しい床に
どう反応するか、また仲間から離されて同反応するか見ます。
この週は社会化の始まりです、1匹ずつ取り上げて、それぞれ2、3分
話かけ、なでます。この行為は人間の中での犬の位置を刷り込みます。
5.5週目(29から35日)子犬に、視覚、聴覚の刺激を与えます。
ある日にラジオをかなり大きな音量で聞かせます。これは1日に2回、
各5分づつで十分です。また他の日には部屋の明かりを切ったり、
つけたりを2、3分繰り返します。これを日中に2、3回やります。
懐中電灯を使ってもよい。子犬は人間の刺激、聴覚、視覚の刺激が必要
です。この週に最低2回、他の犬から離して1匹にして10分間ほど
人間に慣らさせます。人間の目を犬の目線ほど低くして床の上で遊び
ます。目を合わせ、顔の表情を作って犬の顔に近付けます。
6.6週目(36から42日)これは人間との慣れを学習するのに非常に
重要な週です。各犬ごとに1日20分(できれば10分を2回)時間を
割いて遊んでやります。これはその犬の性格を形成するのに大変重要
です。犬は喜んで飛んできてじゃれますが、この時期にどんな風に育て
られたかは犬の一生に影響します。
7.7週目(43から49日)各子犬と1日10分ほど過します。
呼ぶとこちらへ来て、あなたについていくようになります。犬と同じ
目線になるようにして遊び、少し遊びます。犬に話かけ、犬にあなたを
見させるようにします。
8.8週目(50日から56日)この週は犬が大変怖がる時期です。
子犬は大きな音、動き、気持ちの混乱などを怖がり、新しいものに対して
大変怖がります。この時期に恐いことを経験したり、びっくりさせられる
と一生これが残ることがあります。
と言っても犬を外界から隔離せずに通常の経験をさせてください。
この時期は当たり前のことでも猜疑心が強くなるものです。この時期は
1から2週の内に過ぎますから、子犬が恐ろしい経験さえしなければ
9週の終わりには元に戻ります。
この週に子犬を新しい家に送ることや、新しい人に会わせることは避けて
ください。
9.9から12週(57から84日)犬は兄弟の中で主従の関係を確立
します。群れの中で彼らは正しい行動を学びます。子犬は集中力が
長続きしません。
子犬の脳はもう大人並みです。いろいろな環境に慣らさせる事と、
自身をつけさせることはここで大変重要です。仲間と離れて人と十分な
接触する時間を取らなければ、仲間ばかりになれて人に馴れない犬に
なってしまいます。
1週に7、8個所(できれば毎日)新しいところに連れていってやって
ください。長い間犬を一人にしないでください。子犬に自信をつけさせ
ることが大切です。
「ダメ」と言う言葉は控えめにしてください。本当に必要なときだけに
してください。犬があるところへ入ろうとすれば、それをいちいち矯正
せずに、引っ張り戻すことです。
子犬に自信を持たせる一番大切なことはその犬と時間をかけて、遊び、
撫でて、座れ、来い、つけなどの大切な命令を教える事です。
大人の犬と遊ばせることは群れの順列の意識を植え付ける事と、他の
犬の恐怖に基づいた攻撃性を克服する能力を育てる意味で重要です。
10.3から6ヶ月、永久歯が生えてくるので、吸ったり、噛んだりする
ことが始まります。子犬は自分で噛むものを与えられており、あなたを
噛んだりさせないことです。4ヶ月ころ子犬は8週ころと同じような
恐れの時期を迎えます。
新しい人、物、などに疑いを持ちますのでいつもと変わらない生活を
させてください。新しいものへの接触は極力避けてください。
この時期は犬に、飼い主が群れのリーダーであることをはっきり認識
させてください。この時期にこれを認識すれば一生忘れません。
牡犬はあなたの権力に挑戦しようとしますが決して犬におかしな行動を
させたり、権力を握らせてはなりません。
11.9から12ヶ月、ある犬はこの期間に再び恐れの時期を迎えます。
犬が恐がって逃げ出したりしないようにしてください。
これを許すと一生このような犬になってしまします。飼い主が傍にいる
ことで元気付け、決して逃げ出すことのないように躾けます。「大丈夫」
と言い聞かせ、犬をしっかり掴まえて逃げ出すことのないようにします。
犬はすぐに恐怖心を取り去り、何事もなかったようになります。
テリアはしばしば恐怖の裏返しに、攻撃的になりますがこれも許しては
なりません。何度も言うようですが、間違った行動やあなたに対して
挑戦するような真似を決して許してはいけません。
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