2.「粉末タイプ」と「ペーストタイプ」、どちらがおすすめ?


固化材の違い、個々の性能差、消費期限の有無、価格差があります。ですので、何を目的とするかで、選択が決まるのではないかと思います。

私が施工を受けた場合、汚れの付着しやすい台所や喫煙される部屋には、分解力の強い〈ペーストタイプ〉をおすすめしています。また、結露がはげしく、壁の断熱性を少しでも高めたいと考えたときにも〈ペーストタイプ〉をおすすめしています。

施工手間で比較
・ビニールクロス下地に施工する場合は、〈ペーストタイプ〉を採用するのが楽です(下塗りを省くことができます)。

・新築など、新しいプラスターボードに施工する場合、〈粉末タイプ〉と〈ペーストタイプ〉を比較すると、〈ペーストタイプ〉なら下塗りが省ける分、楽な感じがしますが、目地処理にとても時間がかかります(下塗りした方がずっと早いと思います)。

価格差で比較
〈粉末タイプ〉〈ペーストタイプ〉ともに種類があり、それぞれ価格が異なりますが、顆粒が入っていない製品で1平米あたりの壁材費を比較してみると・・・

〈粉末タイプ〉〈NSR〉を施工する場合
・下塗材+仕上材=392円+849円=1,241円/平米

〈ペーストタイプ〉〈PS〉を施工する場合
・仕上材のみ施工の場合=1,491円/平米
・下塗材も必要となる場合=392円+1,491円=1,883円/平米

※実際の施工で必要となる壁材費用の計算は、製品1袋(箱)で何平米塗れるのかを確認して、施工面積から割り出してください。

消費期限の有無
・〈粉末タイプ〉は水のかからない場所で長期保存が可能

・〈ペーストタイプ〉は1ヵ月の消費期限があります。暑い場所に置いておくと、壁材がだんだんとゆるくなっていき施工しにくくなるため、消費期限が設けられています。品番によっては消費期限を過ぎても施工できる状態を保っていたこともありますが、早めに使い切るようにしましょう。

仕上がり不具合の出やすさ
テカリを避けたい場合は〈ペーストタイプ〉で
〈粉末タイプ〉の固化材には消石灰が使われているため、練り水の量が多すぎたり分厚く塗りすぎたりすると、仕上げ面にテカリが出ます。〈ペーストタイプ〉ではテカリは99%出ません。テカリは呼吸性を低下させる要因になるのではないか、と私は思っています。

▲「テカリ」が出た天井〈粉末タイプNSR〉。天井面はテカリが目立ちやすい場所です。

肉ヤセが大きい〈ペーストタイプ〉
「ペーストタイプ」は、乾燥する過程で肉ヤセします。そのため、施工下地を平滑にしておかないと、その凹凸が仕上げ面に現れてしまいます。ですので、プラスターボードの下地処理は、ていねいにしておかなければいけません。
なお、〈粉末タイプ〉でも、練り水の量を多くしすぎると、その分、肉ヤセは大きくなります。

珪藻土含有量の違い
〈粉末タイプ〉〈ペーストタイプ〉の珪藻土含有量を比較すると「ペーストタイプ」のほうが多い。これは使用している固化材が異なるためです。
珪藻土含有量が多いほど呼吸性に優れているといえます。手を当てて比べると、断熱性も高いように感じます。短所として、物か何かでよく擦れるような場所では表面が削れて粉っぽくなりやすい点があります。

性能の違い
画期的性能である「抗酸化作用」と「光触媒効果」はどちらも持っていますが、その優劣を比較すると、多少差があります。
「抗酸化作用」は〈粉末タイプ〉の方が上。
「光触媒効果」は〈ペーストタイプ〉の方が上。

「つのまた」の匂いが苦手な人は〈ペーストタイプ〉か
〈粉末タイプ〉の〈NSZ〉を選択しましょう。
「つのまた」は海藻のりで、昔から塗り壁の材料として使われています。〈粉末タイプ〉の〈NSR〉と〈NZ〉にはつのまたが入っているため、施工するときに生臭いニオイがします。なお、施工乾燥後につのまたのニオイがすることはありません。このニオイが苦手な人は、つのまたを使用していない〈ペーストタイプ〉か、〈粉末タイプ〉の〈NSZ〉を採用しましょう(つのまたの代わりにメトローズを使用しています)。

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