施工道具・材料

施工下地や壁材の種類によって、必要となる道具は一部異なってきます。また、家にある物で代用できる道具もあります。

●壁材を塗るために必要な道具
1. コテ板
写真はコテ板のうら面。コテ板を持つ取っ手が見えています。
ホームセンターで1500〜2500円くらい。
※合板と角材でコテ板を手作りする場合は、壁材をのせる合板面を、建築養生テープ(幅5センチほどの緑色のテープ)で覆って使用します。そうしないと、合板から出るアクが壁材に移ります。

2. コテ
よく使われるのは、仕上げゴテ210mmと角ゴテ240mmです。写真左から
仕上げゴテ180mm
仕上げゴテ210mm
角ゴテ240mm
角ゴテ270mm
いずれもステンレス製0.3mm厚の薄いタイプ
角ゴテ1本は最低必要です。
左官コテの価格は、ホームセンターで1000〜2700円。お店によって扱っているコテも価格も違いますので、いくつかのホームセンターをのぞいてみましょう。日本ケイソウ土建材株式会社で購入できるコテは、質が良く価格も良心的な値段です。

プラスチック製仕上げゴテ

プラスチックゴテも柔らかいので塗りやすく感じます。ホームセンターで800円くらい。落とすと割れますのでご注意を。

ヘラゴテ

コテが入らない狭いところを塗るときに使います。少しだけなら、プラ板などを切ったもので代用できます。

目地ゴテ

コテが入らない狭いところを塗るときに使います。少しだけなら、プラ板などを切ったもので代用できます。

【ヘラゴテ・目地ゴテの使い道】

凹凸の大きな仕上げをしたとき、ヘラゴテか目地ゴテを使って施工面のキワを押さえ、マスキングテープを剥がしやすくすると共に、キワをすっきりと見せる方法があります。「額縁をつける」と言うそうです。下の写真は、目地ゴテでキワを押さえて仕上げた例です。

木ゴテ(270mm)

塗りつけた壁材を何度さわってもざらついた風合いになります。
「引きずり仕上げ」をしやすくするには、コテ面をサンドペーパーで船底型に少し丸みを付けておくとよい。コテ離れがよくなる。
※引きずり専用の木ゴテも販売されています(下写真)。

クシ目ゴテ

240mmと270mmがありますが、240mmのものが扱いやすい。クシ目が台形状のものと真四角のものがあります。個人的には台形状のクシ目の模様が好きです。

内丸面引きコテ

出っ張ったコーナー部(出隅)をきれいな丸みに仕上げるときに使うコテです。DIYで使う人もたまにいます。

切り付けゴテ

コーナー部(入隅)の角だしに使用します。DIYで使用する人はほとんどいません。使うのは難しいです。

その他

90度以下の鋭角な角の部分はコテ先が入りません(階段下空間の壁上部や屋根形状になっているロフト上部面など)。そういう場合は、その角度に合わせてプラスチック板などを切って、コテが入らないところを塗りましょう。

3. バケツ

材料を水練りするときに使うバケツ。ポリバケツでも可。プロ用のかくはん機を使う場合は、百円ショップのポリバケツは弱いので壊れる可能性有りです。

一人で施工する場合は、これから塗る面(壁面なら4面の内の1面)に必要となる量の壁材をあらかじめ練ってから施工します。すると一気に塗り終えることができます。塗る面の途中で材料がなくなると、塗り継ぎ部分で段差ができたりしますので、水練り用のバケツは1個では足りないことがあります。
1mm厚で1平米塗るのに1リットルの材料が必要となります。この割合で計算して、バケツのサイズ、あるいはバケツの必要数を考えてみてください。
バケツ(道具の清掃用)

壁材は時間経過と共に固くなりますので、休憩時にもこまめに左官道具を洗っておくことをおすすめします。

4. かくはん機
〈エコ・クィーン〉粉末タイプを施工する場合は「かくはん機」が必要になります。洗面器に半分ほどならゴムべらで練ることはできますが、広い面積を施工するとなるとちょっとキツイ・・・。
上の写真はプロが使うかくはん機で、割引販売でも16000円ほどします。関東にある一部のホームセンターではレンタルできるところがあるそうです。当クラブでもレンタルできますのでよろしければご活用ください。

もし、電気ドリルをお持ちなら、下の写真にあるかくはん棒(スクリューアタッチメント)をホームセンターで入手してお使いください。購入するときは、電気ドリルのチャック径を確認し、ドリルに取り付けられるサイズのものを購入。私が初めてDIYしたときは、下の小さなかくはん棒を使いました。

4. ゴムべら

バケツの縁に付着した壁材を取るときに使用。台所用のゴムべらでもOK。

5. 使い捨て手袋

施工中や道具を洗うときに装着して手荒れ防止。
〈エコ・クィーン〉はpH10〜12のアルカリ性ということと、手の油分も吸着してしまうので。私は天然ゴム製のものを選んでいます(写真は塩ビ製)。

6. たわし

道具を洗うときに使用します。便利な道具です。

7. 壁材をバケツからすくい取る道具(写真はレンガゴテ)

アルミ製のお椀に木の柄がついた左官用の柄杓(写真下)が扱いやすいですが、道具費を少しでも抑えるなら、レンガゴテでもOK(300円くらい)。ただし錆びやすい。錆びたらサビを取って使うこと。

8. 防護メガネ

天井をあせって塗ると、壁材が飛んで目に入ることがあります。目に入ったときはすぐに流水で洗い流さねばなりません。少々顔に降りかかってきても、作業を中断することなくどんどん塗っていけるようメガネをしましょう。

9. 防塵マスク

粉末タイプを水練りするときや、クロス剥がし作業に装着。息を止めて作業するととても疲れます。
(クロスを剥がすときは細かいチリが舞います。)

10. 脚立

天井面を楽に塗ることができる高さのものを選びましょう(115〜140センチくらい)。高さ50センチほどの台形状の脚立(立ち馬)もあります。

11. マスキングテープ

養生作業に使用。安物は壁面にノリが残ってしまうことがあります。名の知れたメーカーの物を買いましょう。青や紫など色付きのテープの方が見やすく作業しやすい。私はおもに18mm幅のテープを購入しています。

12. マスカー(ビニールテープ付き養生シート)

床や窓、ドアなどを養生するときに使うと便利。テープの粘着力が強いので、和室のデリケートな無垢の木に貼るのは避けます。
シート幅が550mmや1100mm幅など種類があります。

床の養生にマスカーを使うこともできますが、すべりやすく、破れやすいです。床養生には、ノンスリップタイプの養生シート(下写真)がおすすめです。
13. グラスファイバーテープ
(テープ幅50mmのもの)

主にクラック防止のために貼るグラスファイバー製のテープです。ジョイントテープとも呼ばれています。
90m巻と153mm巻がある。コーナンPROやホームズなどのホームセンターで扱っています。日本ケイソウ土建材株式会社で購入も可能。

14. 水性シーラー

施工下地の密着力強化と吸水性抑制を目的に使用します。塗装コーナーで見つけてください。油性のものは揮発性有機化合物の問題があるので水性のものを使用。塗装用水性シーラーでもかまいません。水で希釈して使うタイプと原液のまま使うものがあります。
プラスターボード下地の場合、ボードが裁断されてつき合わされている場合、中の石こうが見えているところに吸水抑えに用いますが、少量で足りるので、木工用ボンドを少し薄めて代用することは可能。

※水性シーラーの中には、過敏な方の場合において「目がチカチカする」「頭が痛くなる」製品もあります。以前、土壁の上に水性シーラーを塗っていたお施主さんから「頭がいたくなったんだけど」というお電話をいただいたときに、私が使っている業務用の水性シーラー『NSハイフレックス』を送ってあげました。後日、「臭いはするけど頭は痛くなりませんでした」という感想をくださいました。いずれにしても、シーラーを塗るときは換気をしましょう。ビニールクロス下地の場合、夏で3時間、冬は6時間ほどで乾きます。乾けば臭いはなくなります。超・過敏症の方でなければ、あまり神経質にならなくていいと思います。仕上がり不具合を避けるために、シーラーが必要となる下地にはちゃんと塗っておくことをおすすめします。
『NSハイフレックス』は神戸市兵庫区にある「コーナンPRO松原通店」で、18kg入(上写真右)のもの(DIYには多すぎると思いますが)と、4kg入りのもの(上写真中)、それに、1リットル入りのものが売られていました。

日本ケイソウド建材株式会社で購入できるシーラーは、『NSハイフレックス』を3倍に希釈したもの。

15. シーラーを塗る道具
ローラーバケ
ローラーバケット

たっぷりと速く塗れます。
水性塗料用のローラーバケを選びます。
ローラーバケットはバケツでも代用できます。バケツの中で、引き上げたローラーバケをくるくるっと回転させて余分なシラーをふり落とせばいい。

ローラーバケでシーラーを塗るコツ

最初のひと塗りはごく軽く、下から上に向かってころがす。押さえつけると、ボタボタッとシーラーが垂れてしまう。天井面の場合は、最初のひと塗りは手前に引く形でころがす。縦方向と横方向に動かして、できるだけ均一に塗布しましょう。

水性用ハケ

際や狭い場所を塗る時に必要。

ハケ1本だけで塗れなくはありませんが、ローラーバケより時間がかかります。

コテバケ

ビニールクロス下地やツルッとしたコンクリート面にシーラーを塗るのなら、コテバケが扱いやすい。いくつか種類がありますが、金属が使われていないもの(左写真)がおすすめです。

【シーラー塗布に使ったハケ類の保管方法】

後日、つづけてシーラー塗布作業がある場合は、水洗いせずに、そのまま水につけこんでおく方法がベストです。ただし、金属板が使われているコテバケやハケは、さびますので、長期間施工作業がつづく方は、金属が使われていないハケやコテバケを選びましょう。

16. クロスを剥がすときや壁材を落とすときに使う道具

表面のクロスを剥がしても、クロスの下紙が壁面に残っています。この下紙は、ローラーバケなどを使って水を十分に与えてふやかし、スクレーパーという道具で剥がします。

クロスの糊は、温めるとやわらかくなり剥がしやすくなります。
スチームクリーナーがあればベスト。スチームクリーナーを使って剥がすコツは、「壁面が熱いうちに剥がす」です。アイロンを使いながら湿らせた下紙部分を温めてきれいに剥がした奥さんもいました。最後にはアイロンは壊れたそうですが。

スクレーパー
(スクレッパー)

下紙剥がしにおすすめなのは、替え刃式のタイプで金属製のもの(約1500円)。プラスチック製のもの(写真に写っている青いスクレーパー)は、弱く、作業中に刃が抜け落ちます。
下の写真の安価のスクレーパーは剥がしにくく感じましたが
800円くらいの刃幅4〜5センチほどのものは狭い場所をはがすのに重宝しました。

17. ビニールクロスの上に施工する場合に必要となる道具
タッカー

大きめのホチキスのようなものです。将来、クロスごと壁が剥がれてこないよう、クロスの上からタッカー針を打って壁に留めます。
写真はプロ用のもので7000円ほどします。1000円位で販売されているホビー用タッカーもあります。ホビー用は、合板などの固い下地には打ち込めないそうです(DIYされた方からの情報)。

金づち

タッカーを打ちそこなって、針が壁から浮き上がっているときに、針の頭を押さえたりたたいたりして押し込みます。

18. その他

雑巾を数枚。
こぼれた壁材やシーラーなどを拭き取るときに必要です。また、ビニールクロスの上から施工する場合、クロス表面の汚れを予めきれいに拭き取る際に必要。「中性洗剤を薄めた水で雑巾を絞って拭き取る」と施工マニュアルには書かれています。台所用の中性洗剤でオーケー。

消毒用エタノール
施工下地に「カビ」が生えている場合、しっかりとカビを殺しておかないと仕上げ面にカビが出てくる可能性大。薬局で買えますので、消毒用エタノールで殺菌してしてください。〈エコ・クィーン〉は強アルカリ性のため、カビが生えにく壁ですが、下地にカビがあると、カビが好む条件がそろうとカビが表面に出てきます。

アク止め液
市販のアク止め液をいくつか使ったことがありますが、簡単にはアクは止められませんでした。プロの左官職人が使っていたアク止め液は強力にアクを止めていましたが、そのニオイが強烈で、「これは室内には使えない」と思いました。
ということで、私のアク止め方法は下塗材NGUを使います。下塗り乾燥後アクが出たら、再度、下塗材NGUを塗ります。これでアクは止まります。
なお、2回目に塗る下塗材〈NGU〉の練り水は少し多めにしておかないと、下地に水を吸われて、塗りにくいです。

ペーストタイプで仕上げる場合、合板のアクや有機物系のアクはきれいに分解してくれますので、アク止めをせずに仕上げてしまう、という選択肢もあります。
粉末タイプの仕上材の場合、完全にきれいに消えるという保証はできません。日当たりのよい窓辺に試験板(NZにお茶のシミをつけたもの)を置いて実験してみましたが、ほんのわずかながらアクの形跡が残る感じです。

「霧吹き」は必需品・・・かも
塗りつけた壁材が乾き始め、今、コテでさわればササクレてしまう、でもなんとかコテで手直ししたい・・・、そんなとき、霧吹きが活躍します。霧吹きを使って、その箇所に軽く水分を与えてあげましょう。それからコテで手直し、です。