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*ギア*
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・・・「研究所に鼠が出る」・・・
レラのこの一言。
ジェイドは
「ちょっと怖いけどやってみる・・・」
と承知した。
・・・―――――――
「キャ―――――――!!こ、怖いよぉ!」
ジェイドの馬鹿デカい悲鳴。逃げる鼠。それでも涙目で追い掛けるジェイド。
レラは耳をふさぐ。煩い、煩過ぎると思いながら。
彼は必死に鼠を捕まえているようだ。
「つ、捕まえたぁぁ・・・多分全部・・・」
「やるじゃない」
レラの誉め言葉に顔を少し明るくさせるジェイド。
しかし今度は足元にゴキ○リ。
「イイイイイヤァ―――――――!!」
ジェイドは再び絶叫。彼は虫が苦手だ。
ゴキブリなんかは名前も聞くのも嫌らしい。
レラに飛びついて震えまくる。
レラはハァ、と溜息をついて手際よく退治する。
「もういないわよ」
その一言でホッとすると同時に我に返ったらしく
「ごめんなさいぃっ」
と言ってレラから直ぐに離れる。
笑いが噴出しそうなのを堪えるレラ。
「・・・でもなんでゴキブリ退治出来るのに鼠は出来ないの?」
「いちいち余計なことは気にするんじゃないわよ」
ピシャリと言う。ジェイドは迫力負け。
レラは男にしては情けなく押しに弱い彼が好きだ。
「レラ怖いよー・・・」
「何か言った?」
「いえ、なんでもありません」
単純なやりとりだけでも嬉しい。
(何でかしら?)
「ねぇレラー」
不意にジェイドが声をかけるのでギクッとする。
「また鼠出たら呼べばいくからね。…怖いけど」
苦笑してジェイドは言う。
(情けないっていうよりも優しいのね…)
フッと笑みを漏らしたレラをみてジェイドは嬉しそうに
「今、笑った!!」
と言う。
「うるさいわね」
そう言いながらも顔は笑ってしまう。
(私はジェイドのこと好きなのかもしれないわ)
フーッと溜息を一回ついて。
ジェイドが間抜けな顔でこっちを見てる。
レラはそれを見て再度笑みを漏らした。
オワリ