きらきらと輝くステンドグラスを通して、祝福の光がふりそそぐ。 純白のドレスに身をつつんだ花嫁がいま、夫となる騎士の隣に、ゆっくりと並ぶ。
荘厳にして華やかなパイプオルガンが、その音色を静めると、司祭の前で、ふたりは永遠の愛を誓う。
そして――。
* 花嫁前夜 *
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みずいろの瞳に映る豪奢な建物は・・・この街の政務室。
――彼と、初めて出会った場所。
(あの頃はまだ、おたがい名前も知らなくて・・・)
よみがえる光景に、思わず笑みがこぼれてしまう。
優しい夜風が髪が揺らすと、アンシェはふっと『今』に戻った。
(・・・そろそろ、帰ろうか)
* * *
行政地区の夜は静かだ。
いつも真面目で、賢くて・・・そして、優しくて。
・・・と。
「アンシェさん!!」
アンシェは、目を見開いた。
「こんなところにいたのですか! 心配しましたよ・・・」
そこはちょうど、訓練所の入口前。
「デューイ」
応える瞳は、何故だかまだ、夢の姿を見ているよう・・・。
「宿に行ってもいらっしゃらなかったので・・・。とりあえず、支度は全て済んだと姉は言っていたのですが・・・こんな夜更けにお出かけになるなんて」
危険ですよ、と強く続けようとしたところで、デューイは止めた。
暗い時刻にふと外出したアンシェの様子を、酒場のマスターなどから聞き、気になって探しに来たのだろう。
それでも、たったいま無事に見つかった彼女の姿に、心からの安堵を見せるデューイの・・・その胸へと。
「・・・! アンシェさん・・・」
アンシェは、ゆらりと静かに顔をうずめた。
* * *
「・・・私・・・ね・・・、釣り合わないんじゃないかって思ったの・・・」
訓練所の扉に続く、短い階段に座ったアンシェは、こう呟く。
それは、アンシェが今日まで、彼に何度もぶつけてきた問い。
だが。
「でもね・・・でも・・・」
月明かりに照らされた彼女の表情は、驚くほど、穏やかだった。
「・・・やっぱりダメ。デューイと一緒じゃなきゃダメなの。何度考えても・・・結局そこに辿り着いちゃう」
アンシェは笑った。
「だから・・・これからも、ずっと一緒に居させて下さい!」
・・・夜空の下で、出た答え。
守りたい・・・側にいたいと願うほど、どこかへ飛び去ってしまいそうだった彼女のその微笑みに、デューイはただ一言、「良かった」――と。
その瞬間――明日を迎える二人の中で、すべての重圧が溶け消えた。
互いの瞳に、互いが映り、陽光はさらにきらめき――。
瞳を閉じた花嫁の、柔らかな唇に、騎士の愛が重なった。 |
〜Fin〜
自分的に、デューイとはコロナの街で落ち着きたいかなぁ・・・と思って。
written by yumi 2001. 7. 26
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