獅子王麗雄博士愛用の育毛促進剤(医薬品)。
そもそも一般に男性に見られる脱毛症は特に「壮年性脱毛症」と呼ばれる。人間の毛髪は毛周期(ヘアサイクル)と呼ばれる一定の状態変化を一説には2〜6年かけて繰り返している。即ち、皮膚下にある毛母細胞が活発に分裂し毛髪が伸長する「成長期」から、毛母細胞の活動が衰え毛髪の長さが安定する「退行期」を経て、毛髪の伸長が完全に停止し脱毛へと至る「休止期」がそれである。脱毛症とはこの毛周期が短くなり(1〜2年)、毛髪が完全に成長する前に抜け落ちてしまう状態を言う。成長初期においては毛髪は細く柔らかい軟毛と言われる状態であるが、ここから成長することで太く硬い状態となる。しかし、脱毛症の場合、毛周期が極端に短いために、この軟毛が成長しきる前に退行期から休止期に入ってしまい、禿げあがったり、薄毛になったりしてしまうのだ。
脱毛症の問題を考えるにあたり、まず指摘されなければならないのは毛乳頭の存在である。毛乳頭は毛母細胞の先端、毛髪の根にあたり、毛母細胞に細胞分裂の指令を送る役割を果たしている。通常毛乳頭は毛周期の休止期に至ると毛母細胞、あるいは皮脂腺における幹細胞に指令を送り、これを受けることで毛髪は成長期に移行する。しかし、毛乳頭が何らかの原因で指令を送らなかったり、または発信した指令が阻害されたりする場合があり、この時毛周期の乱れと共に脱毛症が発生するのである。
では毛乳頭の活動を阻害する要因とはなんだろうか。第一に男性ホルモンが挙げられる。意外に思われる向きもあろうが、男性ホルモンは第二次性徴期において体毛の発育などを促すが、頭髪に対しては全く逆の作用を及ぼすことが分かっている。頭部の毛乳頭のレセプター(受容体)は他の部位のそれと異なり、男性ホルモンの刺激に対し、退行から休止に至る指令を送る。また同じ頭部でも頭頂部と側頭部のように、男性ホルモンの刺激に対して反応が異なるために脱毛症が起き易い部位と起き難い部位がある。なぜこのような差異が生じるのか、はっきりとした原理は判明していない。第二に頭皮の血行の不順である。頭皮における血行が不順であると毛母細胞や毛乳頭の活動が阻害され、毛周期を乱す原因になる。洗髪を怠ったり(1日あたり50本から100本の抜け毛は許容範囲である。抜け毛を気にして洗髪を怠り、頭皮が不潔になればかえって毛根を弱らせる結果となる)、喫煙、過度のストレスなどによって頭皮の血行は阻害される。また運動不足などによる心臓の機能低下なども頭皮の血行を阻害する。第三に毛髪形成に必要なたんぱく質・硬ケラチン、毛髪成長を促すビタミン、ミネラルの不足が挙げられる。毛髪の健康、成長に必要とされるビタミンはA、B2、B6、バントテン酸、不飽和脂肪酸、ビオチン、葉酸、イノシトールなど多岐にわたり、またミネラルにおいては塩素イオン、硫黄、亜鉛、ヨウ素、鉄などが必要とされる。これらを過不足なく摂取するには、バランスの良い食生活が必須である。また過度の飲酒は硬ケラチンの合成を妨げる傾向がある事がわかっている。
故に育毛剤促進剤の命題は阻害要因への対策と毛髪成長を促す環境作成となる。エチニルエストラジオール、スピロノラクトン、オキセンドロンなどによる男性ホルモンの活動抑制、セファランチン、ニコチン酸、塩化カルプロニウムなどによる毛細血管の拡張、血流増加、パントテン酸カルシウム、ペンタデカン酸グリセド、ミノキシジルなどによる毛母細胞、毛根細胞の活性化。その他、栄養補給、新陳代謝の促進、殺菌、保湿などが育毛促進剤の効用として挙げられる。
毛沢山の主成分は不明であるが、おそらく以上の原則を踏まえた上で、2005年当時の育毛研究における最高峰の技術が投入されているものと思われる。