サブカル本 ジェンダーその他、新刊・近刊
★ごちゃごちゃと分類に困るけど面白本を詰め込みました。
商品ID―本の名前―著者―発行年―初・再か―帯の有無―本の状態―元の価格

S−a036−003
空想科学読本 柳田理科雄 1996年 帯 B 1200円
空想科学の常識を科学的に分析する、驚嘆と爆笑の一冊!――――帯
惹句。
★ヒットしました。続編も出ました。どーでもいいようなことをマジメに科学
の目で考える。時間を持てあましている人にかっこうのヒマつぶし本。男
同士の飲み屋話ネタには最適だが、女の子に話すと単に危ないオタクと
しか思われない世界。
価格
\600
S−a036−002
写真学生 小林紀晴 集英社 2000年 初・帯 B 1575円
★若者に支持される新進気鋭の写真家の「言葉と写真で自分を模索しな
がらたどる青春記」―――帯抜粋。みずみずしい感性が光ります。
価格
\800
S−a036−001
中央線なヒト 沿線文化人類学 三善里沙子 
ブロンズ新社 2000年 帯 B 1350円 
何かにつけてウンチクを垂れ、ビンボーそうに見えてヨガやマイブームも
のには大枚をはたき、上昇志向を持つことを恥とし、夜は馴染みの飲み
屋で一杯やる……そんなディープな生態がいま明らかになる!―――
帯惹句。
★本書については説明は不用だろう。中央線沿線文化について鋭い分
析と考察を加えた会心の一冊。確かにここに書かれていることはすべて
ほとんど事実っていうか、その通りなんだよなあ。情けないことだがまった
く。 私的な話になるが、私(マスダ)のように中央線の支線、青梅線沿線
で物心ついてから今日まで生きてきた人間にとって、中央線は、樹に喩え
ると虫が枝から幹に移るようなもので、一人で電車に乗れるようになって
から、立川の映画館、国分寺の喫茶店、吉祥寺の繁華街、高円寺のロッ
ク喫茶、中野の居酒屋とひたすら中央線のみに寄生して歩んできた。
でもある時、学生時代の友人から、中央線の独特の雰囲気、文化って苦
手なんだ、と言われ、首をひねった。その人は、三田の慶応大の近くで生
まれ育った人で、そうした本当の江戸っ子によると、中央線沿線人特有
の臭い、感性は相容れないものなのだそうだ。こちとら、それだけで育っ
て何十年も何ら疑うことなく生きてきたから、それが当たり前っていうか、
骨の髄まで染みついていて他の感性、文化があるなんてまったく思いもし
なかった。おそらく、徳島ラーメンはヘンだ! と県外から来た人に指摘さ
れた徳島県人も同じような気持ちになったことだろう。その文化、常識し
か知らないとそれがスタンダードになって疑問を抱かない。でも、ヨソの人
から指摘され、そうかなあ、とはじめて気になる。
 本書はそうした目からウロコの本であり、初めて、いや前から、この独
特の濃い文化はこの沿線にパイプのヤニのようにこびりついていて、誰
もがうすうすと感ずいてはいたのだが、そのヘンさにスポットを当て、体
系的に細かく駅ごとにまで街と人種を取り上げ解説を加えたのは卓見で
あり、街のガイド本としても役立つ。しかし、この沿線に住む人は元々の
地元人ばかりでなく、地方からその自由な雰囲気に憧れて来る人も多い
はずで、年々、その地方出の割合は増えているような気がする。そして、
また地方都市に行くと、繁華街の一角には、エスニック雑貨店や、自然食
喫茶、本格カレー屋など集まったいわば“ミニ中央線”文化ゾーンが近年
そここに誕生している現象がある。また、パリやベルリンなどの海外の大
都市でも繁華街には必ずそうした“中央線的文化ゾーン”があることは訪
れたことのある人は気づいているだろう。中央線的なモノ、感性や発想、
その元祖サブカルチャーは、どこから来てどこへ行くのか、これからも常
に見つめていく必要があるだろう。
※先日、文庫版も出ましたが、太田垣晴子の表紙、本文手書き文字イラ
ストといい、オリジナルで持っていたいよね。つまらないことにこだわる中
央線人としてはね。
価格
\700
S−a036−004
昆虫少年記 柏原精一 1996年 初・帯 B 1200円
昆虫少年たちが、生物学者や農学者、医者などへと「進化」していくの
は、ある意味では当たり前である。《略》だが、昆虫少年たちの選んだ
道は生物学分野だけではない。文学、芸術、政界、経済界など、いた
るところで、「昆虫採集の前科のある人」たちが活躍している。《略》
かつての昆虫少年たちを訪ね、虫とつき合うとはどういうことなのか、
と問い直す旅が始まった――はじめに、より。★と、あるように、著者
は虫好きで知られる各界の24人を訪ね、彼らは昆虫に育てられた幼
き日を語った。やくみつる、泉麻人、鳩山邦夫、奥本大三郎、養老孟
司、大倉舜二、福井謙一ほか虫好き著名人多数登場。昆虫嫌いの人
も十分楽しめる良書であります。手塚治虫が生きていたらば当然…。
価格
\600
S−a036−005
「ステキな自分」を見失う本 ゲッツ板谷 松尾スズキ他
 新風社 2001年 初・帯 B 1300円
★松尾スズキから唐沢俊一まで昨今話題のサブカル系気鋭のライター
たちによる“自分さがし”などというくだらないブームに対する批判・サイダ
ンの雑文集。これを読むと「本当の私なんてどこにもいない」のだと気づ
かされるだろう。他の執筆者として直崎人士、根本敬。失笑もののエッ
セイやマンガ(根本)満載で笑っているうちに人生観が変わるかも。オス
スメ本。
価格
\600
S−a036−006
能楽史事件簿 横浜能楽堂編 岩波書店
 2000年 初・帯 B 2200円
能楽600年の謎解きに挑戦!――たのしく能の歴史がわかる ――帯
惹句。NHKの葛西聖司アナウンサーを狂言回しに、横浜能楽堂の公開
講座を元に各界の識者による格好の能楽史入門となる一冊。
※目次:第一講 義満、世阿弥を寵愛す 第二講 能に溺れる秀吉 
第三講 元禄繚乱――綱吉と能 第四講 江戸はお稽古ブーム 
第五講 能役者・写楽 第六講 維新に揺れる能役者 
★能って伝統芸能の中でも一番ヘンでサブカルっぽくないか。
価格
\700
S−a036−007
と学会年間2001 と学会著 太田出版 2001年
 初・帯 B 1300円
★ご存知、トンデモ本などを発掘、俎上に乗せ笑いのめす、と学会(山本
弘、唐沢俊一、岡田斗司夫ら)の懲りない面々による2001年度版年鑑。
第9回トンデモ本大賞に輝くのはどの本なのか。あまりのバカバカしさに
涙がでます。それにしてもいったいこれらトンデモ本たちは、人類白痴化
計画のために、闇の権力の謀略によるものではないだろうか。ワハハハ。
価格
\700
S−a036−008
大人失格 松尾スズキ マガジンハウス 1995年 
初・帯 B 1300円
ご存知今をときめく松尾スズキ氏の初単行本(だと思う)。元々は雑誌『Hanako』に連載
された軽エッセイに加筆したものだが、しょーもない与太話の羅列でもこれはこれでなか
なかの才能である。巻末にオマケとして収録された自ら書き下ろし写真マンガを見るに
つけ、田口トモロヲのマンガもそうだが、才能のある人は何をやってもウマイという私(マ
スダ)の持論が立証されたと思った。そして本書を読んでずっと長い間抱いていた疑問=
松尾スズキの本名は、鈴木マツオなのかという“スズキ”の謎も解けた。才人松尾氏のフ
ァンならば必携の書であり、ファンならずとも一読の価値がある。大人失格の人向け。
価格
\700
S−a036−009
ブルースマンの恋 山川健一 東京書籍 1989年
B下 2200円
ロックミュージックについて“わかっている”ようなことを言っている作家は、村上龍をはじめ
今日では珍しくないが、本当にわかっている人は、意外に少ないと思う。知る限りにおいて
山川氏は数少ない、こちら側の人間であり、その彼が自分の好きなロバート・ジョンソンら
ブルースマンたちについて蘊蓄と熱き思いを存分に注いだ本書は、この手の音楽の好き
な人間にとってバイブルであり、必携の書であるに間違いない。またブルースという音楽に
馴染みのない人にとっては最適の入門書となるはずだ。そんな良い本がどうしてこの値段
かというと、付属のCDがついていないからだ。元々はCDブックスとして、本書で取り上げ
た米国の9人のブルースマンの唄と演奏を1曲づつ収めたCD付きの変形本だったのだ。
でも、どれも彼らの代表曲だから、自分で探し求めることはそれほど難しくない。結局、山
川氏は好きなブルースを通して自らを語っているわけで、それが実にブルースしている。
価格
\600
S−a036−010
ぶらぶら日記 ――男街・新宿むら咲き情話――
草薙英治 幸洋出版 1984年 初 B下 1800円
★この本をこのコーナーに置くべきかちょっと迷った。書名からカンのいい人はおわかりの
通り、その道の人が書いた男性同性愛に関する本なのである。著者は確か、新宿ゴール
デン街で『ルル』という居酒屋をやっていた人で(今はどうか知らない)、本書の発行所が
雑民の会出版部とあるように、東郷健さんとも親しい人らしい。前半は、彼の自伝的思い
出や日々のエピソードを並べ、後半部は、「フアット・ラブ」と題した自伝的?ホモ小説。み
ずみずしい感性が光ります。いかにもゴールデン街の住人らしく、内藤陳氏が序文を、荒
木経惟氏が跋をカバー見返しにそれぞれ書いている。それにしてもニューハーフもドラッ
グ・クイーンもまだ存在しなかったイイ時代の話だなあ、と隔世の感が読後感。※表紙イラ
スト/高信太郎。自主出版ではないけれどそれに近い貴重な本ではないだろうか。
価格
\1,000
S−a036−011
東京23区動物探検 泉 麻人 講談社 平成3年 
初・帯 B 1000円
★(仮に)泉麻人が好きだ、と書いてみた。するとスゴク恥ずかしい。何故だろうか。考える
に氏には失礼だが、泉麻人はカッコワルイからだろう。このカッコイイとかワルイとは、彼
のファッションのことではない。彼の存在すべてだ。イメージといってもいい。本当の現実の
人間としての彼は、実はすっごくセンス良くて粋でイナセな人なのだと思うが、何か、頭に
浮かぶ彼の顔とかしゃべりが、イモだと言うのではないがどうもカッコワルいのだ。それは
彼の書いているモノも大いに影響していると思う。ごくごく身近な街のルポとか、日常の話
題。彼の好奇心おもむくままに決して深刻に大上段に構えることなく手短にまとめる。随筆
ではなくあくまでコラムの範疇にとどまりメインの読み物や論文になることは絶対ない。悪く
言えば埋めネタ専門。泉と言えば、軽エッセイの人という評価が確立してもう長い。同世代
の、同時代の人間としてほぼ彼の文筆家人生はぼくと重なっている。サブカルなんて言葉
が出始めた頃、ポパイとかの新しい若者雑誌で彼の存在を知ってもう20年はたつのでは
ないか。駄菓子やオマケのおもちゃとか僕らの世代にとって懐かしい思い出ネタをうまく取
り上げそれにちょっとひねった考察を付け加える彼のスタイルはそれまでの“大人”の書き
手にはないものですごく新鮮で面白かった。やがて『オールナイトフジ』とか深夜番組中心
にテレビにも出始めて、顔と声を知った。その印象が今に続く。カッコ悪かったのだ。オタク
以外何ものでもないような顔と、本人は美容院でキメテいると思っているだろうがダサい髪
型、それにモソモソとした語り口。完全ないじめられっ子キャラに徹すればそれなりにテレ
ビでは活路もあっただろうが、文化人としてのスタンスの方が強く出て、うかつにいじれな
いし、仕切る側をあてがっても今度はソフト過ぎて使えないし、どうにも扱いの困るタレント
だったように記憶している。結局、本業のコラムニストの方に戻り東京人などのタウン誌や
乗り物の広報誌、東京新聞の文化面などで主に東京の地域探訪ルポに仕事の重点を置く
ようになったようだ。そしてそれなりに今も売れていることは、彼の名を常にそうした、どこ
にでもある媒体でよく見かけることからわかるわけで、書いていることも基本的に何も変わ
らず、常に自分の興味のあることだけ、記憶と蘊蓄をからめ軽くそつなくまとめ上げてい
る。こうした仕事がまた彼のイメージを単なる「雑文書き」として貶めているのだと思う。
 好きなことだけやると言えば、同世代のみうらじゅんもまったく同じことをしているわけだ
が、みうらの場合、常に過激に、マニアックに周囲さえ巻き込んで暴走することを思えば、
泉のスタンスは実につつましいほどだ。普通、二十年も業界で仕事をしていれば、いつの
間にか別なこと、埋めネタ扱いのコラムなどに留まらず、小説を書くとか、評論をするとか
テレビでコメンテーターを気取るなど他業種に進出するものだ。ところが彼は知る限り今も
昔と寸分違わず雑文書きのコラムニストのままである。でも改めて考えてみるとこれはこ
れで大したことではないのか。長く業界で仕事していると人はいつしか偉そうに文化人気
取りをするようになるものだ。週刊誌から「事件」のコメントを求められたり、新聞夕刊のコ
ラムで世相にふれたり政治や社会を批判したりする。芸人でさえ積極的に「発言」して「文
化人」になろうとするのが人の世の常なのだ。ところが泉にはこの文化人臭がない。彼の
名を論争を呼ぶような「事件」で見かけたことはまずないし(小林よしのり論などでも)、彼
のキャリアから考えると決してマスコミから無視される存在ではないはずだから、意識的に
自ら断っているのだと思われる。彼は常に二十年一日、自分の関心のある分野のことの
み、しこしこと書き続けてきた。手に余るようなことは絶対にしない。これはすごいことだと
思う。古人は、人は分をわきまえろ、とよく言った。分とはその人の持っているもののことで
身分ではない。今の世の中、分をわきまえない人がどんなに多いことかここでは場を持た
ないが、泉は今日では珍しく分を知っているから活動の場を広げないのだと思う。おそらく
それは、テレビ時代、テレビに映っている自分を見て知ったことだろう。こんなカッコワルい
人間が偉そうなことを言ったり、偉そうになったらオシマイだと。彼はそうした非常にクレバ
ーな人間なのである。本当にエライ人やスゴイ人とは決して目立つ人ではない。分を知り
自らの道を知る人のことなのだ。泉麻人はだから本当はすごくカッコイイ。ただ、世間はそ
れにまだ気がつかないだけなのだ。古書価も不当に低い。もっともっと評価されるべきだと
当店は考えている。泉麻人が植草甚一のような人気が出るとは思わないが、少なくとも
「好きだ」と周囲に告白しても恥ずかしくない存在にしたいと思っている。
本書は、タイトルの通り、彼独自のユニークな視点で捉えた都内に住む動物のルポ。千住
元町の団地に棲むイワツバメから原宿のアオマツムシまで、都心14の地域に住む14種の
自然動物たち。豊富な図版と写真で動物図鑑のたたずまいもある。「Quark」という科学
月刊誌に連載したものをまとめたものだとのこと。アスファルトの大都会にこんなに貴重な
自然動物が生きているとは初めて知った。泉にしては渾身の体当たりレポートである。
価格
\600
S−a036−012
ハツラツマガジンVol.1 No.1 テリー湯村輝彦 
大塚化学薬品(株) 昭和57年 B 380円
売り切れ!
★ご存知、元祖ヘタウマ大王テリーマンことイラストレーター湯村輝彦がオロ
ナミンCの広告を担当したことから、その集大成の記念特別号としてイラスト
のみならずマンガも含めて彼のこの時点での全ワークスを一冊にまとめあげ
たもの。B4変形の大判全64ページカラー満載の豪華版。テリーもスゴイが
大塚化学もスゴイ。販売価格は記してあるものの、おそらくタダで配ったので
はないか。雑誌コードも載っていないし。内容は、テリーへのインタビュー、
巻頭グラビア、彼が描いたオロナミンCのイラスト広告75枚の採録、広告文案
の索引、お茶の間マンガ劇場「ホノボノおとーさん」、テリーに関する研究コラ
ム、書き下ろし小説、そしてテリー好みのレコード案内と、しっちゃかめっちゃ
か盛りだくさんの、いわばコンプリート・テリーブックスの様相だ。80年代は元
気のないシラケた時代だったとよく言われるが、この本を見る限り、ビックリ
ハウス的派手な元気さはテリーの周りにはあったのだと思い出した。一枚づ
つの広告だとそのことに思い至らなかったが、これだけ集大成されるとすごい
パワーを放っている。今これだけ派手で明るく元気な人がいるだろうか。ところ
で最近の彼は…、奥さん湯村タラのイラストは見かけるものの、もしかして、
つげ義春状態? ともかくファン必読愛蔵版。見るだけで元気になります。
価格
\1,500
S−a036−013
東京電力のパンフレット(非売品) 内田春菊画
80年代 B 
★ご存知、東電のキャラ、でんこちゃんである。今でも電気の検針の際、配布され
るミニパンフで活躍しているが、まだ人気小説家内田春菊が描いているのだろう
か。本書はそのごく初期、暮らしの電気の知識を啓蒙するため、東電が作成し
無料で配布したもので、マンガ仕立てで電気について面白く勉強になるよう工夫
された春菊のイラストマンガ入りB4判全17ページの大型パンフ。そのメインキャラ
クター、主人公の電気に弱い新妻でんこを描くのに当時新進マンガ家春菊が選ば
れたのだと思うのだが、今では貴重なものに違いない。東電の仕事をしていたデ
ザイナーの方から提供の品。余談だが、このパンフで、でんこのダンナの名が、
分電盤太郎ということを知った。ということはでんこちゃんの氏名は分電でんこと
いうのか! 実にトリビアな知識である。それにしても才能のある人は何をやって
もウマイとつくづく思う。甘えん坊でおっちょこちょいのでんことダンナさんの熱々
新婚夫婦にダンナの実家の両親たちがからむサザエさん的世界。実にほ微笑ま
しい。おそらくこの4コマシリーズも全部集めているマニアも少なからずいるのでは
ないか。オツムは弱いが子猫のようにかわいく、何かと甘えてくるダメ新妻でんこ
のファンの方、垂涎もの。
価格
\700
Y−a037−040
ハムスターの上手な育て方 中村ちはる 
主婦と生活社 1997年 B 1300円
《他にハムスター本2冊つけて全3冊セットで》
★動物は好きでこれまでいろいろ飼ったが、ハムスターばかりは飼おうとは思わな
い。巷ではハムスターがブームでこんなネズミ?を主人公にしたマンガもあるそう
だが、理解できない。大体呼んだって来ないし、ご主人様が誰だか認識していない
し、逃げたらなかなか捕まらないし、何よりもクサイし、ヘタすりゃどんどん増える
一方だし。こんなハム太郎にはうんざりだ。それでも世の中には子供にせがまれ
飼うはめになる人もいるだろうし、飼うからには飼い方もあるわけで、ネズミといえ
ども生き物なんだから大切に育ててもらいたい。そんなわけでハムスターの育て方
ガイド本を3冊まとめて200円でどうだ!一冊当たりわずか70円弱だ! 今なら
●ハムスターのひとりごと 監修・長坂拓也 誠文堂新光社 1997年 B 680円
●ハムスタークラブ 長坂拓也 誠文堂新光社 1996年 B 1300円 の2冊つけ
て合計3冊セットで何と驚きの価格200円! ある日突然、あなたの子供がハム
スター飼って!と叫んでもこれで安心OKだっ。すべて万事備えあれば憂いなし!
価格
\200
Y−a037−042
一人で強くなる 将棋入門 伊藤 果 日本文芸社
平成13年 B 1000円
★将棋はいいぞー、楽しいぞ。将棋ができれば頭も良くなるし、将棋を通して友達
もできる。囲碁より駒数多くてバリエーションに富んでいるし、一人でも退屈なとき
一列に並べて将棋倒しもできる。上達すればやがては天童に駒を買いに行くだろ
うし、そしたら冷やしラーメンもサクランボも食べられる。富貴豆もおいしいし、足を
伸ばせば米沢牛もすぐそばだ。将棋が出来ると夢がぐんぐん広がるね。副題に
「基本を覚えれば上達が早くなる」とあるように、著者の伊藤果(はたす)さんは、
NHKの将棋入門講座などで知られる七段の実力者で指導のベテランだから、き
っと知らず知らずのうちに貴方もきっと坂田三吉になっているかもよ。そんな夢を
かなえてくれる素晴らしい本が何とたったの200円。今時200円でこんな役に立つ
本は絶対買えないよ。ホントに絶対お買い得。――というわけででマスダのおかん
がどこからか拾ってきたこの本、お願いです。誰が買ってください。マジでいい本、
お役に立ちます。「父の魂」ならぬ母の魂がこもった本です。
価格
\200
S−a036−014
定本「一人ごっつ」 松本人志 (株)ロッキング・オン 
2003年 帯 B 1200円
※飽くなき笑いの求道者・松本人志の新挑戦、活字版「一人ごっつ」!さらには大仏の声
=倉本美津留との舞台裏対談に本人回想インタビュー、伝説の「24時間大喜利」傑作選
も収録!!―――帯惹句。★おもろいんかどうかようわからん。活字やし。
価格
\500
S−a036−015
トンデモ本の逆襲 と学会・編 洋泉社 1996年 B 1359円
★元祖である前作『トンデモの本の世界』(1995年)を受けての続編。新たなトンデモ本が
また数多く紹介されているが、それよりも前作の反響(アンケートカードやトンデモ本と認
定された本の著者たちからの反論)が大いに笑える。と学会のことをあれこれ批判する人
もいるけれど、店主は同じくヘンなモノ好きの立場にたって、そうしたヘンなものを心から
偏愛する人々もまたトンデモ界の住人であるわけなのだから肯定せざるをえない。それに
トンデモ本の著者達の多くははわざと受け狙いでそうした本を書いているのではなく大マジ
メに真剣に書いている。どのようなカタチでもそれを評価するのはいいことだと思う。結果、
水野晴夫の『シベ超』のように話題が話題を呼びカルトとして大ヒットすることさえあるのだ
から。ともかく本は人の口に乗ってからなんですよ。そしたら売れるわけだし。
価格
\600
S−a036−016
こちトラ自腹じゃ 井筒和幸 ワニマガジン社 2002年
 初 B下 1600円
★ご存知、テレビ朝日系人気深夜番組「虎乃門」の映画コーナーの採録本。気鋭の映画
監督である著者が語る辛口映画批評。俎上に載せられた映画は、『ブレア・ウイッチ・プロ
ジェクト2』から『バンディッツ』まで24本。監督自らが自腹で映画を観て本音を語る。それ
がまた話題となり井筒監督は売れっ子となり現在はポスト大島渚化してきている。このまま
だと自らの映画は撮れなくなるかも。監督の見方はあくまでもプロの作り手側の視点だか
ら従来の配給会社の提灯持ち的映画評論家とは大きく異なる。なかなか参考になった。
でも映画なんて人がどうこう言ったからって要は自分が見た感想がすべてなんだよね。
※新しい本ですが、裏表紙にややヨゴレあり。
価格
\600
S−a036−017
トンデモ怪書録 僕はこんな奇妙な本を読んできた
唐沢俊一 唐沢なをき・画 光文社 1996年 初 
B上 1300円 
★『トンデモ本』の「と学会」創設会員であり、B級古本収集家・評論家として知られる著者
は漫画家唐沢なをき氏の兄でもある。この兄弟の手によるヘンな本、それも笑えるおバカ
な本中心の読書録。それを批判・揶揄することなく、マジメに好意的に紹介するスタンスは
『トンデモ本』シリーズと同じ。古書店主として大いに参考になり商売を離れて堪能した。俊
一氏には常に同世代・同時代人として共感するところが多い。これからもこうした怪書発掘
・紹介に邁進してもらいたい。当店一のオススメ・重要本。
価格
\1,000
S−a036−018
心が雨漏りする日には 中島らも 青春出版社
 2002年 初・帯 B上 1300円 
※30歳でうつに襲われ、40歳であわや自殺未遂、42歳で躁に転じて
大わらわ…鬼才・中島らもが波瀾万丈・奇想天外の躁うつ人生を綴
る――帯惹句。★そしてこの経歴に覚醒剤で逮捕と続くわけだが、
らもさんは今日ではもはや珍しくなった破滅型の一種の天才なんだと
本書を読んでつくづく思った。すっごい人生です。生半可ではない。
願わくばこのまま早死にせずに金子光晴的に年を取って無頼人生
のあるべき老後の姿を僕たちに見せて欲しいものだと思う。巻末に
精神科医との対談あり。らも的人生の現在においての集大成的一
冊。店主の心も雨漏りどころか倒壊寸前ってところだが。
価格
\800
S−a036−019
この時代、本気でお金を貯める人のDr.コパの風水
小林祥晃 ぶんか社 2002年 初・帯 A 1500円
★風水ブームで原宿に八億円の豪邸を建て銀座に十億円のDr.コ
パビルを建てた著者が明かす、こんな時代でも絶対、大金持ちにな
る風水「秘中の秘」とは? ますだあーと書店も本書を読んで風水で
ひとつ大金持ちになりますか。
価格
\500
S−a036−020
ふにゃふにゃ日記 菜摘ひかる 主婦と生活社
 2002年 帯 B 1200円
★著者は会社員を経て風俗へ足を踏み入れ、ヘルス、性感、ソープなど様々な性
風俗業種を渡り歩きこうした体験したことを本にまとめた。今どうしているのだろう
か。本書は1998年に出した「池袋イメクラ日記」に加筆・修正を加え再編集したも
の。著者自身の4コママンガもなかなか達者なものがあるし、風俗嬢の性と心理
を知るには面白い好著。最近話題の最年少受賞の芥川賞作家たちの風俗小説
よりは十分内容があり質的にも上だと店主は思う。
価格
\800
S−a036−021
シド・ミードのテクノファンタジーブック 講談社
昭和60年 帯 C 3500円
●サイズ:W295o×H290o 165ページ
★これは展覧会の図録・カタログではなく彼のワークスをまとめた
いわばイラスト集。シド・ミードって誰って言わないで。スター・トレッ
クからブレード・ランナーなどのビジュアル・コンセプトをやっている
人です。
※表紙一部折れ、帯やや破れなどややヘタレ本なのでこの値段。
内容は問題なし。お買い得!
価格
\900
●K−c037−043
美人画報ハイパー 安野モヨコ
講談社 2001年 帯 B 1300円
★マンガ家と呼ぶよりも今や愛と美の伝道師・モヨコ先生の中村うさぎ化への一里塚。男には理解できない世界だが面白く読ませてしまう。
価格
\500
S−a036−023
スーパー変装計画 桝田武宗 情報センター出版局
 1994年 帯 B 1200円
★前著名作『いちど尾行をしてみたかった』でブレイクした桝田武
宗氏による「都市の人間観察ノート2」と題して今度は自ら変装と
いうか、変身し街に出現、「前代未聞の超常識的体験報告!」
――帯。変身したのは、募金男、酔っぱらい、調査員、軍服男、
中年フォーク男(このヘンまではまだいい)、女装男、外国人男、
少年男(半ズボン・学生帽)、セーラー服男、パジャマ男、絶叫・
トレパン男?! ケニア男?の12種12人。やっている当人は好き
で楽しくてやったのではなく、スポーツ紙の企画でいやいややるは
めになり始終つらそうにこぼしている。個人的にはもっと楽しんで
やってほしいと思うが、大学受験を控えた二児の父親でもあるこ
とを考えると極めて常識的反応か。それでもまあ、よくやるよ、と
しか言えません。
価格
\800
S−a036−022
いちど尾行をしてみたかった 桝田武宗 情報センター
出版局 1993年 初・帯 B 1200円
★当店店主の師匠の店・杉並北尾堂でずっと好調な売れ行きを
誇る“名作”を当店でも紹介できることは慶賀にたえない。著者
は街角で見かけた気になる人を人間観察の視点から尾行して
追い求めその結果をレポートにまとめた。「都市の人間観察ノー
ト」と帯にあるが、そんなマジメな考現学ではなく、下世話な好奇
心がこの人の骨頂。元々はTBSのプロデューサーであり、音楽
プロデューサー、ノンフィクション作家でもあるという桝田が暴く
都市の実体とは。確かにオモシロイ。そして一言「よくやるよ」。
価格
\900
S−a036−024
新随想フツーの血祭り アラコウの復活処女作総決算
嵐山光三郎 情報センター出版局 1982年 初 830円
★近年では、日本文学や俳句に関する随筆、紀行文で気を吐く
渋い文人としてのイメージが完成した嵐山光三郎センセイだが、
僕マスダが彼を知ったのは漫画雑誌「ガロ」での「人生相談」だっ
た。ガロ系暗い若者の悩みに一刀両断スパッと快答し、高校生
の僕は大いに笑い、かつ影響を受けた。そう、盟友安西水丸や
クマこと篠原勝之氏らと共に一時期のガロは、、椎名誠、沢野ひ
としら本の雑誌社系不良中年と並び彼らガロ系不良中年の巣窟
と化していた。本書はその頃出た懐かしの一冊。
本名祐乗坊英昭、元は國學院卒のインテリで平凡社の編集者と
して、月刊『太陽』の名物編集長でもあった。それにしても情報
センター出版局はヘンだ。本書の前に椎名誠の怪作であり実質
的デビュー作『国分寺書店のオババ』で昭和軽薄体なるスーパー
エッセイというジャンルをうち立て、その次なるエースとして投入し
たのが嵐山だったのである。本書は内容はというと、不良のかぎ
りを尽くした真の男がイジョーではなくフツーの大切さを軽いカル
イエッセイに交え諄々と説く笑いとカンドーの啓発の書。それでも
終章の「芭蕉も水穂も夕暮も、みんなフツーの達人だった」など
に今日の彼のライフワークの萌芽がみられる。カットの安西水
丸、そして師匠のラブミー農場深沢七郎の序文が泣かせる。
ともかく貴重な本。今でも名作です。パチパチバチッ
価格
\1,300
S−a036−025
さる業界の人々 愛と希望の面白三角エロ本ゾーン
南伸坊 情報センター出版局 1981年 初 B 780円
※著者自らの似顔絵・サインあり。
★ご存知、ヘンな人、南伸坊氏である。この本もまた情報センタ
ー出版局だ。よくまあ、次々とヘンな人を発掘、ヘンな本を出して
いたと感心する。関係ないけど、ヘンな本を出した出版社として
は嚆矢であろう。本書は彼の実質的処女!作であり、クマの
『人生はデーヤモンド』と同時に発売された。当時ブームだった
いわゆる「エロ本」業界を取材、観察したもの。どんなものにで
も素直にカンドーし、面白がり思索する彼の資質が早くも本書
で全開している。この頃は彼はまだ青林堂の編集者、つまり脇
役だったが、やがて自らが主役となり数々の珍作、怪作、話題
作を次々発表することになる。ところで本書に出てくるS出版と
は、セルフ出版。ということは、もしかしてこの本に頻繁に出て
くるのは白夜書房の末井さんっ!?
価格
\1,200
S−a036−026
男でもなく 女でもなく 新時代のアンドロジナスたちへ
蔦森樹 剄草書房 1993年 帯・ビニカバ B 2678円
★ホモならホモでいい。ニューハーフならニューハーフで。しかし
彼?彼女の場合非常に説明が難しい。橋本治は彼を評して「中
途半端」と決めつけたそうだが、男の体を持って生まれたレズビ
アンというのが一応の説明になるだろうか。これはマスダの判断
だが。元々は店主と同世代の750などに詳しいヒゲのライターだっ
た。妻もあり結婚していた。それが突然、30を過ぎて本当の自分
を求めて女装をはじめ、社会的に“女”として生活を始める。本
書はその経緯をまとめたもの。女工からヌードモデル、ホステス、
と女の仕事を体験していく。ややっこしいのは、彼女の性的嗜好
は男性へではなく、女に向かっていること。蔦森は基本的に女性
優位主義者であり、現在、体の方はどんな工事をしているのか
知らないが、男でもなく女でもない、という状態よりもかなり完全に
女性側にシフトしていることは近著を読むとよくわかる。自己愛の
かなり強い人でクレバーだが、こうした自分探しが好きなのも女
性的である。マスダ自身は女より男が好きだ。女なんかになる奴
の気がしれないが、それも人好きずきか。
価格
\1,800
S−a036−027
寿司とマヨネーズ 水月マヨ  バシリコ株式会社 2003年
初・帯 B上 1600円
★帯に、幻の純愛ドキュメント伝説のインターネットサイト『寿司と
マヨネーズ』よりマヨ日記を収録 とある。店主は知らなかったが
ネット上にこうしたサイトがありすごくヒットしたらしい。本書はその
サイトが終結後、反響に応えるかたちで一冊の本にまとめられた。
一言で言うと、SMカップルのマゾヒストである女の側からの記録。
ご主人様であるサディストの男に使える奴隷の気持ちがビビットに
むろん過激にときに切なく描かれている。マスダには生涯理解で
きっこない世界だが。これも愛、たぶん愛、きっと愛。うーむ。
価格
\900
S−a036−028
神様に助けられた極楽とんぼ! 汐崎清 明窓出版
平成10年 初 B 1429円
★ゴルフのインストラクターをしていた著者は大腸ガンを宣告され思
わず神に祈った。したらば、神様が出てきて「ガンは治してやるから、
どうして治ったかを本にして、みんなが元気になるよう、読んでもらい
なさい」。そして「作家になりなさい」と告げた。そして出されたのが本
書。二流のSFのような話だが、本人にとって本当のことだそうで、
この本が出た、ということは実際にガンは治ったということなのだろう。
本書はその闘病記として多少参考になるかもしれない。要はポジティ
ブシンキングでどんなことでも前向きに笑ってしまえば免疫力は高ま
ると常識的なことが紹介されている。だが、そんなことより、彼が困っ
たとき呼ぶと出てくる神様が、情けないほど人間的で笑える。野球や
釣りをしていたり、失敗もしたりときわめて人間的なのだ。さらに笑え
るのは、本書を出すための苦労を記した部分。無名人の書いたこん
なバカ本が本になるわけがない。神様は「本は、必ず売れるようにす
るから。ベストセラーにしてあげる」と自らガンキラー汐ちゃんと自称
する著者に約束したのに…。彼は巻末に作家としての第二作の予告
編を載せている。次回の本の内容は、退院から本が出るまでの絶体
絶命のピンチ、本来なら本になるはずのない無名汐崎の『大どんでん
返しストーリー』をバックに始まりますので、題2作もよろしくっ! と。
果たしてその本は出たのか。わかっていることは、本書だけは一応本
として出版コードも記載されて出版されたことと、ベストセラーにはなら
なかったことだけだ。神様は約束を果たしてくれなかったのだろうか。
価格
\700
S−a036−029
ブレンダと呼ばれた少年 ジョン・コラピント/
村井智之訳 無名舎 2000年 初・帯 1800円 
副題:ジョンズ・ホプキンス病院で何が起きたのか 
★自らが男性・女性であるとの性自認は、そもそも生まれたとき
から決まっているのか。それとも環境によって左右されるのか。
性同一障害など性別変更について喧しい今日、必ず“実例”とし
て登場してくるのが有名な“ホプキンス病院の双子の症例”であ
る。1967年、一卵性の双子の男児の一方が生後まもなく事故で
性器を負傷し、その子は性医学の権威、ジョン・マネー博士の
勧めで性転換手術を受け、女児ブレンダとして育てられること
となった。「性別の自己認識は環境的要因によって決まる」との
理論を発表したマネー博士は一躍時の人となったが、やがて成
長し少女となった彼の心と身体は博士の理論とは裏腹に深刻で
重大な危機を示すようになっていく。あまりにも有名な双子の実
例についてはその後の“結果”のみが広く知られるのみで今日ま
できちんとした報告も、本も書かれてこなかった。カナダ生まれの
医学者の家庭に生まれたジャーナリストである筆者はこの双子の
一家に肉薄、直接長期間綿密な取材と調査をおこないマッド・サ
イエンティストと呼ばれても仕方のないマネー博士の疑惑と陰謀
を暴いていく。ともかく面白い。成人し、再び男子デイヴィッドとな
った、少女として育てられ青春期を女として過ごした青年の本書
を締めくくる独白は、読者の胸をうつ。最高の推理エンターティメ
ントとして、真実を追い求める医学ドキュメントとして本書は圧倒
的に読ませる。価値ある問題作だ。
価格
\1,300
S−a036−030
私はトランスジェンダー 宮崎留美子 ねおらいふ
2000年 初 1500円
副題:二つの性の狭間で… ある現役高校教師の生き方 
★宮崎留美子である。といっても一般人にはそれほどポピュラー
ではなく、主にネット世界で、同好というか、同じ悩みや苦しみを
持つ人々に向けてのホームぺージを開設し、その世界では虎井
まさ衛氏と並ぶ著名人である。本書は、彼の、いや彼女のいわば
自伝であり、トランスジェンダーな4人の友人たちを紹介したり、
巻末に“留美子先生のわかる「性」の重要語講座”を設け、高校
の先生らしく初心者や門外漢にもわかりやすく解説してくれてい
る。だが、何か釈然としないモノが残る。そもそもトランスジェンダ
ーと性同一障害とはどう違うのだろうか。後者が肉体的にも性の
変更までを考えている人たちを指すことはわかるが、留美子先生
のように、普段は、男として仕事をし、週末だけ女性として生活し
ている“パートタイムのトランスジェンダー”とは。しかも彼女は、
女性と結婚し、子どもまで作っているわけで、正しくは単なる異性
装者、クロスドレッサーではないのかという疑念が頭をもたげて
くる。どちらにせよ、頭のいい人だとは思うが、非常に中途半端
で、真剣に自らの性のあり方に悩み苦しんでいる人々にすれば
お気楽なことを書き連ねているとサイダンされるかもしれない。
だが、それなりに耳目を集める問題提起も数々あって、フェミニ
ズムや性とジェンダーを語るとき、彼女とこの本を外しては通れ
ないことは確実だ。
価格
\850
S−a036−031
語り継ぐトランスジェンダー史 
性同一障害の現在・過去・未来 虎井まさ衛編著
 十月社・星雲社 2003年 初・帯 1600円
★マスコミでも話題になった、小山内美江子脚本『3年B組金八
先生』に登場する性同一障害に苦しむ鶴本直(上戸彩が演じた)
のモデルとしても知られるのが、女性から男性へいち早く米国で
性転換手術を行った虎井まさ衛だ。本書はやや大仰な題名に
違和感があるものの、要するに虎井のこれまでの活動をまとめた
もの。トランスジェンダー史と言ったって、文学の世界では、古く
から数々の作品(とりかえばや物語等)はあるけれど、ここでいう
のは、現実社会で実際に性を違える試みに取り組んだ人々、そ
れも日本の社会においての歴史であり、まだまだ近年ごく浅い歴
史しかない。むろん、青江のママなどから始まる、日本ゲイボーイ
史などは存在するだろうが、それは、風俗史の一端として芸能風
俗の視点から纏められるべきもので、虎井たちが考えるごく一般
的な市井の性転換者の一般社会における認知とはまったく異な
るものに違いない。
さておき本書では、彼の出していたGID者のためのミニコミ『FTM
日本』の採録、『部落解放』誌などに書いたもの、さらに、小山内
美江子の寄稿、そして競艇選手で虎井と同じく女性から男性への
性転換者・安藤大将との対談、世田谷区議会議員で男性から女
性へのGID者・上川あやさんが推薦文を寄せたりと、“今”のトラ
ンスジェンダーたちの活動がほぼ漏れなくまとめられている。アマ
ゾンなどに出せば興味本位の客にアッと言う間に売れてしまう本
だが、良い本なので現実に必要としている客に向けてマジメにじ
っくり当店で売りたいと思っている。
価格
\1,300
S−a036−032
キアヌ・リーブス! 虎井まさ衛 青弓社 1998年 初
1200円
★見ての通りの映画スターキアヌ・リーブスについてのアイドル本
である。が、書いたのがあの虎井まさ衛氏だからただのミーハー
本ではない。いや、アイドルに心酔してついには本まで出してしま
ったのだからミーハーなのだけれど虎井さん!あんた男になった
んじゃないですか!と一喝したくもなる。性転換し女から男になっ
て自らも男性として自認している虎井が同性に惑わされ、大ファ
ンとなってしまった。そこにキアヌの神秘性がある。虎井は言う。
「もし私が性転換者という過去がなかったらキアヌファンでありつ
づけることができただろうか。否である」と。一人の性転換者が同
世代の同性に惹かれ夢中になってしまった。その心のありようが
大変興味深い。変態はより複雑化すると名言を吐いたのは、たし
か南伸坊だったと思うが、キアヌという鏡を通して結局は自らの
心情や体験を隠さず語っているトンデモ本の一種かも。なぜだ
か、ここでの虎井氏文体も妙に女っぽいと感じるのは店主だけだ
ろうか。『マトリックス』以前のキアヌに関してほぼ完全な資料的価
値もあるが、キアヌファンの女性が果たしてこの本を手に取るだ
ろうか。
価格
\800
S−a036−033
プラトニック・アニマル 代々木忠 情報センター出版局
1992年 一刷 1200円
★副題に、SEXの新しい快感基準 とあるが、著者は当時超有
名なAV監督。本書はアダルトビデオという性の現場に長年立ち
会った男による、四半世紀で獲得した性に関する理論と方法の
すべてを語り尽くした性のバイブルである。著者の生真面目さ、
職人気質が全開の性に関する哲学書の趣さえある。本書で紹介
された〈チャネリングSEX〉を死ぬまでに一度でいいからやってみ
たいと思いました。著者は言う。「真のオーガズムを体験すると、
人は変わる。地球上の人々がみんなオーガズムを体験すれば、
今より世の中はずいぶん住みやすくなるはずだと、私は真剣に
考えている」と。どんなことでも突き詰めて考えていくと宗教的色
彩を帯びてくるという良い見本。彼は今どうしているのだろうか。
価格
\600
S−a036−034
メイキング・ラヴ リチャード・ローズ/中川五郎訳
文藝春秋 1996年 B 2000円 
★著者は前書きでこう言う「セックスは何よりもまず探求されるこ
とを待ち受けている。《略》わたしは作家だ。書くことが私の仕事
だ。画家は自分たちの本当の恋人を、セックスをしている自分た
ちの恋人をすら、下種な批評家連中意外から中傷されることも
なく、写実的に描くかもしれない。どうして作家が同じことをしては
いけないのか? 『おのれの知っていることを書け』。わたしはそ
うした」と。本国アメリカでは、ビュリッツアー賞も受賞した著名な
男性作家の性的遍歴が赤裸々に語られる本書は米国版ウィタ・
セクスアリスの趣がある。訳者・中川五郎もあとがきで書いている
が、この本は男性よりもぜひとも女性に読んで欲しい。男性の心
理が余すところなく正直に明かされ大変勉強になるはずだ。昔、
「男と女の間には深くて暗い河がある」と野坂昭如は唄ったが、
その河の幅を少しでも埋めるためにもこうした性に関する告白
本はこれからも書かれ、読まれてほしいと願う。何よりも本書は
誠実で良い本だ。読後は静かな感動に包まれることを保証する。
価格
\900
S−a036−035
ホモセクシャルな欲望 ギィー・オッカンガム/関修訳
学陽書房 1993年 初B上 1942円
★本書は、純粋な思想・哲学の学術書で、ドゥルーズ/ガタリの
『アンチ・オイディプス』を下敷きにセクシュアリティを論ずるという
思想の日常実践への適用という画期的なもの――訳者――であ
り、伏見憲明の名著『プライベート・ゲイ・ライフ』の公刊を受けて、
同書房より、伏見の本が、実践の書だとすれば、理論は実践に
遅れてやって来る、との真理に基づいて1972年に書かれていた
本書はようやく翻訳、出版されたと訳者・関修は書いている。ちな
みに、ドウールズの同僚だったオッカンガムも1988年、フーコーと
同じくエイズで42歳で死去している。フランスにおけるホモ・セクシ
ュアリティの意識の変革を知る上でも貴重な一冊。難解ではあ
るが、訳業もすぐれた労作である。
価格
\1,200
S−a036−036
依存姫 菜摘ひかる 主婦と生活社 2002年
B 1300円
★ヘルス・性感・ソープ嬢など、あらゆる性風俗産業で働き、その
体験をイラストと文章で記し、話題を呼び、やがてモノ書きとなっ
たものの、2002年秋、死去してしまった著者の残されたほぼ唯一
の書き下ろし短編集。当然、自伝的な性産業で働く女の子たちが
登場し著者いわく「どこにでもある話」に仕上げている。店主はこ
の作家を、当今話題の10代の女性芥川賞作家達よりは数段高く
買っていただけに残念でならない。彼女には良い編集者というか
取り巻きがいなかったというべきか。それとも業が深すぎたか。
ただ、生きてもっと作品を発表していけば必ず文学史に残る作品
が書ける人だったと思う。
価格
\800
S−a036−037
抱擁 勝目梓 白水社 1990年 初・帯 1500円
性的不能に陥ったポルノ作家の肉体に、ある日突然乳房が隆起
し、女陰と見まがう窪みが生じた。両性具有への幻視の中で、性
愛の斜光とゆらめきを物語る、奇跡のエロティシズム文学―――
帯惹句。
★勝目梓というとポルノがかったハードボイルドを得意とする軽作
家というイメージがあった。だが、元々は、川上宗薫がそうであっ
たように文学畑の出自で、「文芸首都」の同人だったという。その
彼の真の実力がいかんなく発揮された性をめぐる幻想小説。感
心した。堪能した。驚嘆した(小泉首相的にワンフレーズを並べる
と)。※白水社の≪物語の王国≫シリーズの一冊
価格
\1,100
S−a036−038
履き忘れたもう片方の靴 大石圭 河出書房新社 
1994年 B上 1223円
★売り切れ!
ペニスを残したま豊胸し、〈シーメール〉となった少年たち。性の孤
独と調教される肉体の果てを描き、全選考委員を凍りつかせた
衝撃の書。第30回文芸賞佳作―――帯惹句。という粗筋をきく
と、店主の高校の後輩、ヒルマ君が好んで描く世界のように思え
る。まあ、ヒルマ君もそうだが、こうしたスキャンダラスな題材は、
それなりに話題にはなるから、商売にもなるわけで、かつて村上
龍が出てきたときのように出版社としてはウレシイ。でも後がなか
なか続かない。しかもこの手の性的妄想小説は、今日いくらでも
ネットの世界では溢れていてしかもタダで読めるし、質的にもけっ
こう高いものもある。この作家は、才能があるのか。否!と店主
は判断するが、関心のある方は、是非ご購入の上、ご確認を。
価格
\1,380


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