1994年 沖積舎 定価1800円 装釘/藤林省三
装画/古橋久具衣「さぼてんじぇる」
みづいろ前線/ぼくが向日葵だつた頃/豹の文法なんて知らない/天体葡萄説/
パイナップルの彼方へ/超・日本語生活1/天使の卵が孵化する前に/
牡蠣の帝国 1993/雲形定規の倫理学/超・日本語生活2/
世紀末くん!/時代は猫の髭を超えて/オレンジ急行 1994
ギリシャ語違反の朝、豹の文法をめぐる午後、
そして、夕暮には牡蠣の皇帝が君臨する。
鏡と犬が区別できないオフィスで、
サボテンはついに飛翔するのだろうか?
'90年代を横断する超日本語歌集の誕生!
宥されてけふも翡翠に生きてゐる気がする何が宥してゐるのか |
ここにゐてかつ悠かなるものであるぼくをどうにかしてくれ虹よ |
プロコフィエフの音符を咽喉につまらせた感じだらうか三十歳は |
天王星に買つた避暑地のあさがほに夏が来たのを報せておかう |
間違へてみどりに塗つたしまうまが夏のすべてを支配してゐる |
目覚めるときときどき白い鰐になる恋人にアダージョの十月を |
虹をうしなひまた虹を得て曖昧にただみづいろの歳月である |
はつなつのあをを含んで真夜中のすかいらーくにゐる生活を |
水仙と羊とジュークボックスに癒されてぼくがゐなくなる午後 |
猫を翡翠と言ひ切るやうな就職をして罌粟よりも少しさみしい |