ゲストをお迎えし、荻原作品から一首を選んで評や感想、
歌にまつわるエピソードなどを綴っていただくコーナーです。
それぞれの胸にとけてひろがる荻原ワールドを、存分にお楽しみ下さい。


第14回(2001年6月)
玲はる名さん
触れればぼくの何かが切れるきみの手は永遠細工なのであらうか

第13回(2001年5月)
岡田幸生さん
フロリダに行く途中だといふやうな顔して眠る、どこで目覚める

第12回(2001年1月)
佐藤弓生さん
プロコフィエフの音符を咽喉につまらせた感じだらうか三十歳は

第11回(2000年12月)
小塩卓哉さん
スヌーピーのTシャツを着て歩くのは誰かと話すときのお守り?

第9回(2000年10月)
藤原龍一郎さん
よこがほの林静一風をんな首だけ切つてしまつて置くか

第8回(2000年9月)
ひぐらしひなつ
誰も知らぬわれの空間得むとして空(から)のままコインロッカーを閉づ

第7回(2000年8月)
穂村弘さん
われにはわれの時間流るる悲しみよ追憶はつねに一人の青葉

第6回(2000年7月)
なかはられいこさん
間違へてみどりに塗つたしまうまが夏のすべてを支配してゐる

第5回(2000年6月)
千葉聡さん
この八月の街をみづいろ前線がとほる痛みのかけらがぼくだ

第4回(2000年5月)
松平盟子さん
まだ何もしてゐないのに時代といふ牙が優しくわれ噛み殺す

第3回(2000年4月)
加藤治郎さん
ネロのごとわれは見おろす誕生日卓のケーキの上の大火事

第2回(2000年3月)
佐藤りえさん
ベッドならぬ心軋ませこの恋の冷ゆる日が今われには見えず

第1回(2000年2月)
秋月祐一さん
まだ恋ぢやない左手にカナリアのゐる感覚を教へてくれた