2001年 沖積舎 定価3500円 装釘/藤林省三 装画/古橋久具衣

『永遠青天症』

I 時計は永遠を記述してゐる (1994-1995)
あをぞらの*カナリア株式会社*紫木蓮的憂鬱*
寓意者的随想*へるめすの笛*ヌーアゴニア小景*
積木の城の*まぼろしとルビを*あをによし
II クレヨンストリート (1996-1997)
イノセント*セルリアンブルー*「天使」のエスキース*
桃をめぐる個人的誤差*オフィスの空*
しまうまを観る*人魚の飼ひ主*泪の彼方*永遠細工
III 永遠青天症 (1998-2000)
パンの楽譜*苺のけむり*永遠の、さう言ひかけて*
人格の明るきひとつ*星を獲てしづかなれ*
永遠青天症*星と蜜柑*母/国*
夏の家族*歌、卵、ル、虹、凩

青年という名の革新犯 加藤治郎
乗換駅にて 穂村弘

 

「荻原裕幸は、真の革新者なのである」加藤治郎

「これは<詩>ではない、と私は思った」穂村弘

1980年代、90年代の短歌に波紋を起こした荻原裕幸の

20年を一望できる「全歌集」。

『青年霊歌』をはじめ、全既刊歌集、

未刊の『永遠青天症』を完本で収録。

 

賢治風にヌーアゴニアと呼びたれど名古屋のすがた毫も紛れず
三越のライオンに手を触れるひとりふたりさんにん、何の力だ
ぼくはいま、以下につらなる鮮明な述語なくしてたつ夜の虹
見えてゐる世界はつねに連弾のひとりを欠いたピアノと思へ
ぎんいろの缶からきんの水あふれ光くるくるまはる、以下略
あ、http://www.jitsuzonwo.nejimagete.koiga.kokoni.hishimeku.com
ogihara@、の後の領域さむざむときらめかせ朝の電子メールは
夜のすべてに封印をするしぐさにて髪たばねるを眺めつつあり
星と蜜柑がおなじ貌してきらめいて二人は触れながら遠ざかる
歌、卵、ル、虹、凩、好きな字を拾ひ書きして世界が欠ける

 

back