メールマガジンについて
メールマガジンというメディアの存在は以前から知っていたけれど、どうもいい印象を持てないでいた。頼みもしないのに勝手に送ってくる。プロバイダ等がユーザーを安定的に確保するためのサービスである。広告スポンサーを得るためにおのずと内容が決まってしまう。などなど。メディアとしての可能性が商業的な面にばかり広がることに少しいらいらしたが、だったらおまえが何かやってみろよ、という声ならざる声がひびいて来て、腕組みをしたまま、うーむと唸り声をあげるしかない状況がつづいていた。小さなものでもいいから何かやってみよう、唸り声をあげるかわりに自分で送信ボタンを押してみよう、と気持ちになって、すでに一年に近い時間がすぎていた。

メーリングリスト「ラエティティア」の、外部に向けての機関誌として、メールマガジン「@ラエティティア」を創刊することになった。編集人は小林久美子と東直子。発行人は加藤治郎と穂村弘と荻原裕幸。いま、創刊号刊行の準備を進めている。ラエティティアという電子ネットワーク上のグループの行方を占う、ひとつの試行でもある。さしあたり内部メンバーのみの出稿を考えているので、新しいメディアといっても、同人誌と結社誌の中間的なものであるという印象を拭えないが、誰かがこれを踏み台に、さらに新しいメールマガジンを発行してくれれば、おのずと競争原理もはたらいて、思いがけない方向への展開も起きるのではないかという期待もある。なにしろ個人誌や同人誌や結社誌や商業誌を発行するための大きな制約となる印刷コストがかからないため、発行部数に制限が出ないのだ。仮に個人誌でも、数十万部の発行が不可能ではない。メディアとして、はかりしれない可能性を抱えているわけである。

ただ、読者の確保はなかなか難しい。ネチケットをめぐるトラブルだけは抱えたくないので、発行の案内を送るための名簿は慎重に選んでいる。宣伝も強引にはしないという姿勢でいる。とりわけこれらが災いしているのか、現在まだグループ外部の読者が50人に満たない状態で、少し不安もつのりはじめている。コンテンツの充実と同じように、発行部数の確保というのもメールマガジンにとっては大切な要件なのだから。創刊号は、何部発行できるのだろう?

追記。グループ外部の読者の数がようやく100名を超えた。万全を期したつもりの案内に苦情が出たりもしたが、試行に対して理解してもらえる人の数もそれなりに増えている。6月25日、予定読者数はグループの内外をあわせて253名になった。

ふたたび追記。「@ラエティティア」の創刊号を発行した。さすがに送信ボタンを押すときはかなり緊張した。送信前に、都合三度も誌面を読みなおしたりした。自分の気が小さいことに苦笑。6月29日、創刊号の読者数は、448名だった。

「@ラエティティアのお知らせ」およびバックナンバーのURL
http://www.ne.jp/asahi/tanka/naoq/framepage1.htm