まるやきくん ボーナストラック 04 ディグダグ

蔵出しまるやきくんです。すでに実験は終わっていたものの、ラインナップの関係やあまり面白くない、などの理由で、原稿にならなかったものをこのたびテープやメモから起こしてみました。

――今日のソフトは『ディグダグ』。タイトルだけ聞いて、どんなゲームだと思う?
まるやきくん(以下ま):あっ、どこかで聞いたことあるかも。なんだっけなぁ……。忘れた。なんかモグラ叩きみたいなゲームじゃない? あっ、そういえば『ポケモン』にディグダグっていたよね。
――惜しい。それはディグダ。
ま:ああ、そうそう! そのゲーム!! 
――うーん、残念。「ディグ」っていう英語の意味は知ってる?
ま:(首を振りながら)ううん。日本人だから知らない。
――学校で習わない?
ま:ディグ〜ぅ? ディスなら知ってるけど。
――それはさすがに知ってるでしょ。正解は、「掘る」。
ま:掘るなんて英語、普段使わないべ。
――まぁ、そうだけど。では、さっそくやってみよう。
ま:おっ、歩いてきた。この人、ネズミ?
――ネズミ……ではないと思うよ。それが主人公。
ま:おっ、恐竜がいる。この赤い丸いのは何?
――それは敵のプーカァ。
ま:トマト? トマト型人間!?
――多分違うんじゃない?
ま:うおぉぉぉぉー! 油断してたら、目だけになって移動してきてるぞぉ!! やべっ、どうすんの? うわぁぁぁ〜。
――近づいてきたら、Aボタンで攻撃できるよ。
ま:トマトめぇ〜! あっ、もしかしたらコイツ、タイムマシンかな。ほら、タイムマシンに見えるよ。
――恐竜とタイムマシンを倒すゲーム……。過去も未来も否定だね。
ま:また、目になって来てるぞぉ。反則だべ。こっちもやりたい。
――そんな機能はないから。地道に倒して。
ま:このボタンかぁ。……うおおおぉぉぉ、敵がふくらんだぞぉ! おもしれぇ。ボールかよ。すげぇ。で、どうすんの?
――もっとふくらます。
(そのとき、プーカァがMAXまでふくらみ破裂する。それを見たまるやきくんはショックを受け……)
ま:……。うわぁ、かわいそ〜。お腹が破裂しちゃったぞぉ。ゲボッて。もう少し優しい倒し方はないの?
――ないよ。あとは岩で潰すとか。
ま:う〜。
――先に岩が見えるでしょ。とりあえずそこまで行って。
ま:は〜い。この下に行けばいいの?
(岩の下に潜るまるやきくん。が、岩がグラグラして……)
――あっ、そんな横から行ってもダメ! とにかく逃げて。
ま:えっ? グチャア〜!! ギャアァァァ! つっ、つぶれたぁ!! ひ、ひどい!! 痛いよぉ。
――それは、下から長い穴を掘って、敵を一気に倒すの。
ま:よし、ちょっとやってみよう。ここでストップ? 来た来た、2匹来た。
――今だ! どいて!!
ま:こ、こう?
(だが、右半身が微妙によけきれず、岩とともに落下)
ま:ぐおぉぉぉぉぉぉ!! また潰されたぞぉ! しかも、今度はかなり長い距離。だいたい、敵には全員逃げられてるしね。これ自爆じゃん。
――ま、結構テクニックのいるゲームなんだよ。
ま:悔しいなぁ。……これ、穴を掘るの面白いね。絵が描けそうじゃない? ほら、「口」っていう字になった。
――ただ四角を掘っただけ……。
ま:じゃあさあ、じゃあさあ、下にもう1個四角を掘るじゃん。ほら、「日」っていう漢字に。
――マッチ棒パズル?
(1面、2面をなんとかクリアし、3面に突入。しかし、相変わらず岩で敵を倒すことはできず、ポンプのみで戦うまるやきくん)
ま:ふくらましてばっかりで、飽きた。
――いや、それは自分が悪いから。もっと工夫して倒せば、点数も上がるよ。
ま:ええ〜、点数ぅ? 武器とか買えないの? レベルアップして足が速くなるとか。
――ないねぇ。
ま:あのさぁ、これ、なんか気になったんだけどさぁ、横に掘ってんのか、下に掘ってんのかわかんなくて、ヘンな感じにならない?
――どういう意味?
ま:なんか岩は落ちてくるのに、自分は上向きに歩けるし、いっぱい掘って黒くなると空中を歩いている気がする。
――言われてみれば……。ほとんど掘っちゃうと、どこ歩いてるんだ、って気にはなるね。
ま:でしょ? うーん、これはこれでまあまあ楽しかった。もっと武器とかあったら面白かったね。殺さないで捕まえるゲームだったらよかったかも。

考察
『ディグダグ』はアーケードやファミコンで一世を風靡したアクションゲーム。1画面でシンプルなスタイルだが、敵をポンプで足止めをして、岩で一気に倒したり、ファイガーが炎を吐く瞬間を狙ってパンクさせたりと、高得点を狙える要素がさまざまに存在する。しかし、まるやきくんにとっては、「点数」という概念がよくわからなかったようだ。昔は、ゲーマーにとって得点は自分の実力を計る指標。アーケードではゲームの腕を他のプレイヤーに誇る、ハイスコア争いも熱かった。だが昨今では、うまいプレイのご褒美は、ボーナス点に代わってレアアイテムや隠し要素となり、外に向かっての指標から、ゲーム内の要素へと還元されるようになった。まるやきくん世代にとって、「高得点の魅力は限りなく薄い」と言えるのかもしれない。

ディグダグ
メーカー:ナムコ ジャンル:アクション 発売日:85・6・4 価格:4500円

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