ダイナマイト大邸宅
あれはまだおいらが中学生だったころです。
友人とちょうど下校している時の出来事でした。

途中とある公園に差し掛かったとき、
公園の中から男の子のそれはそれは大きな泣き声が聞こえてきました。

当時まだ心があまりにピュアだった2人は男の子のそばへ歩み寄りました。
どうやらこの男の子は迷子になってしまったようです。

しかし相当なパニック状態にあったため、
名前や電話番号を聞いても答えは返ってきません。

上にもあるように当時の私はピュアハートの持ち主だったため

「ビービー泣いとらんとちゃんと答えんかコルゥアァ?」

などとは微塵も思わず、何とか彼を落ち着かせようとしたのを覚えています。

ええ、たぶん。

そして彼は自分の住んでいるところの名前が
ダイナマイトマンションであると教えてくれました。

へぇ、ダイナマイトマンションですか。
なかなか小洒落た名前ですね。

「死なすぞ・・・?」

などとは1ナノ秒も考えませんでしたが少しだけ動揺した我々は
他の人に助けを求めることにしました。

そこに通りかかる一人の初老の男性。
右手にしっかりと握られたレモンチューハイ。

確かまだ16時を回ったぐらいだった気もしますが
とにかくその人にもお願いしました。

お「ボウズ、どこから来たんだ?」
さすがおっさん、ガキの扱いには慣れてらっしゃる。

ガ「ダイナマイトマンショ〜ン」

お「ダイナマイトマンションってえとどこだ?外国か?

などという会話を交わしつつほんとにこのガキを不法滞在現行犯で
ポリスに突き出そうかなどと思ったかどうかは黙秘しますが、
何とかならないかと途方に暮れました。

そのときおっさんがあることを発見。
ガキの自転車に電話番号が!

早速電話をかけるおっさん。
やった!ついにこいつとおさらばだ!!

思えばなんで下校途中でこんなクソガ(検閲)。

ん 待てよ?
電話番号が書いてあるということは住所も書いてあるんだよな?

ドキドキしながら住所を見てみると・・・

「第2前田マンション」

・・・・・・。

何かとても清々しくなりました。

ちなみにいまだにその『第2前田マンション』を発見していません。
情報求ム(死)。
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