favorite tunes and albums*13
ぼくはサザン・オール・スターズおよび桑田さんもかなり好きなんだけれど、サザンを聴くと、エリック・クラプトンを思い出す。彼らも好きなんでしょうね。ぼくも好きなんですよ。ゆるくて、ツボを抑えたクールなブルース・フィーリングが。白人的な洗練も、なぜか鼻につかない。要はブルースなんだけど、独自の世界を確立したということなんだろうな。誰もが認める(に違いない)大物だもんね。 ぼくが知ってるクラプトンはあの有名な「レイラ」以降「バックレス」くらいまで、つまりほとんど70年代だけで、80年代はチラッと耳にはいってもあんまりピンとこなかった。多分ほんとにパッとしなかったんだろう。80年代特有のアレンジのせいかなあ。 それが90年代になって、アコースティックのライブCD「アンプラグド」が出て、これがよかったのである。ブルース・マンがルーツに帰ったという感じで、定番ブルースのカヴァーに加えて、息子さんを亡くしたことを歌った悲しい名曲"tears in heaven"やあの「レイラ」も入っている。 ギターという楽器へのこだわりが最近までなかったせいもあって、(ロック系では名手として超有名な)彼のギターが上手なのかどうかというのはあんまりよくわからないのだが、「アンプラグド」のカッコよさはぼくのなかでじわじわと増してきている。 "Change the world"もいい曲だったなあ。この曲が使われてた、ジョン・トラボルタ主演の映画のほうは微妙だったけど。でもこの曲が流れると泣いちゃいました。 で、21世紀にはいって、彼は再び原点回帰。B.B.Kingとの共演で一枚、そして2001年の"Reptile"と続くわけだ。何曲かブルースもやっている。でも、全然泥臭くない。「泥臭くない」ブルースなんて、普通は退屈なのだが、このひとの場合、それでもいいのである。当たり障りのないような、変にスムーズでとっかかりのないような、でも、なんかちゃんと本物のブルースをやってるようでもあるような、暑苦しくはないが、あったかい、それがクラプトンだ。(いろいろ異論はあると思うけど) このアルバムでは、いろんなタイプの曲をサラッとカッコよく、気分よさそうに演奏している。結構おしゃれだとぼくは思う。スティーヴィー・ワンダーのカヴァーなんかもなかなかチャーミングだ。 楽しくて、本物で、ちょっと泣ける。夏の夜風に吹かれながら、彼のギターに耳傾ければ、ビールがうまい・・・ 音楽マニアでないひとにも聴いてほしいなあ、と思う。間口が広いっていうのは、偉いのである。(Sept.03)
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