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Johnny Griffin Sextet : The Little Giant

流れにはいろいろある。静かなもの、勢いのあるもの、激しいもの、荒荒しいもの、優しいもの、のんびりしたもの、繊細なもの、頼りないもの、チョロチョロ、サラサラ、ユラユラ、ドードー、ザワザワ・・・。Johnny Griffin というひとのテナー・サックスは、ドバドバ流れ出してくる。ドバドバ、ドボドボである。ボクサーにたとえるなら、パンチの思いきり重い、ハード・パンチャーと言ったところか。あまりシャープではないが、太く豪快。その緩めの激しさでなおかつ、結構キザ。そこがなんとも粋なのである。

このレコードを初めて聴いたのは、大学時代、高田馬場のマイルストーンという店だった。「今かかってるのはこれよ」ということで掲げてあるレコード・ジャケットを見に行けば、黒サングラスに口髭の男がサックスを吹く顔のアップ、実にガッツあふれるスゴイ写真である。一発でシビレた。

その後一時期は、テンポがまったりし過ぎていて、ちょっとついていけない気がしていたのだが、最近またそこが魅力のような気がしてきている。

ドバドバ、ドボドボ、要するにこれは、下品に、マッチョに酒を注ぐ音なわけだな。しかし、この男の場合、そいつがそのままでスマートなようにも感じられるから不思議だ。

トランペットとトロンボーンも入って、アンサンブルにも厚みがあるし、元気で色彩豊かな演奏が楽しめる、ごきげんなアルバムである。(9.Aug.02)


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