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Morrissey : Your Arsenal / Viva Hate


基本的にMorrisseyはどれも好きなんだけれど、アルバム全体を通して聞いたときの印象としては、ぼくはこの頃はこのYour Arsenalが一番気に入っている。最初の4曲一気にグイグイ押してくる感じがとにかく快感。陰気で神経質なままでなぜかパワフル&ワイルドなロカビリーというか、歪んだエルビス・プレスリーというか、曲調が明るいのに、結論としては暗いとしかいいようがない世界、とことん絶望してるのに、しぶとく希望を求める叫びで満ちている、というか。

古き良き50年代、60年代アメリカン・ポップスへの郷愁と、80年代、90年代の、イギリスの病巣から目が離せない状況とが重なるとこうなってしまう、ということなのだろう。彼の場合、この50〜60年代風ポップスのエッセンスはいつもあるのだけれど、その要素が一番ムキだしになってるのは、このアルバムじゃないかと思う。別の言い方をすると、ロックっぽい。

ほかの作品より、ややコッテリしていて甘めの味付け。つまり、ちょっと重く、垢抜けない。でもそのあたりがかえって魅力なのだ。

ぼくにとっては、聞き飽きない、不思議な味わいの一枚である。

でも、Viva Hate もやっぱり捨てがたい。ダンサブルな乗りに、屈折した歌詞。でも正直言うとぼくもかなり屈折してるので、彼の歌詞はむしろ真っ直ぐに聞こえてしまう。個人的にお近づきにはなりたくないが、ミュージシャンとしては最高だと思う。このアルバムも、聞き始めると止まらない。

彼が歌っていた80年代の伝説的バンド "The Smiths" についてはまたの機会に。(02.Juni.02)


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