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世の中には、終わってとりあえずほっとするということもよくある。飯を食ったら食休み、仕事のあとには一服、一山越えたら打上。なにかがひとつ終わったからって、そのあと別のなにかが始まってくれないと困るんだけれど、次に行く前にはちょっと心地よい余韻にひたりたい。 恋の終わりと言えば、"サン・トワ・マミ Sans toi m'ami" だけど、あの曲の、なんとも言えないフッきれたような明るさもいい。とりあえずガックリきて、メソメソしてるんだけど、その先の人生もなんとかやっていくんだな、っていうたくましさが感じられる。未練たらたらの恨み言連ねても、「テヤンデェ畜生め、どっかでアンタとは関係なく幸せになってやる」、みたいな自由な太さも伝わってくる。 ちなみに "Be My Baby" は、ここ数年売れてるイギリスのバンド Travis もカヴァーしている。アルバム"The Man Who" の「日本盤のみのボーナストラック」なんだけれど、ユルユル気だるいスローな演奏が、不思議な浮遊感を漂わせていて、軽くラリッて疲労感が消えてゆく瞬間の気分みたいで気持いい。その曲を聴きながら、その曲自体から遠ざかってゆくような逆説的体験。 クセになります。(アルバム全体もかなりいいです。全体にハカナげですが。) 恋の成就でエンディングなら、ヒュー・グラントとジュリア・ロバーツの映画「ノッティング・ヒルの恋人」、エルヴィス・コステロの歌う 超ベタな名曲 "She" とか、もうちょっと古いところでは、若かりしリチャード・ギア、「愛と青春の旅立ち」のテーマも泣けたなあ。もう、これでもか!って感じ。
それにしても、この"Be My Baby"然り、昔の曲のフェイド・アウトは短い。曲自体も短いから、あのくらいが丁度いいのだろうか。最近の曲と比べるとそっけないんだけど、そこがまたイカしてるような気もする。 (11.Sept.02) |