バナー
よもやまdansk

〜デンマーク語・デンマークの日常風景に関するホームページ〜

番外編「グリーンランド」〜ナルサークから


通訳のお仕事で知り合ったグリーンランド人.
年若い女性の市長さんKiistaとはとても気が合い,デンマークに出かける際,誘われるままグリーンランドにも足を延ばしました.
グリーンランドはデンマークの自治領であり,多くの人はデンマーク語を話しますが,もちろん異なる文化を持っている地域です.


第1日目

私が訪ねたナルサーク(Narsaq)は,グリーンランドの南部に位置しています.コペンハーゲンから国際空港のあるナルサースアーク(Narsarsuaq)までは約4時間半.冬場は,1週間に1度しか飛んでいないこともあり,今回の滞在は1週間でした.
デンマークでは寒波に襲われ悪天候でしたが,空の上は素晴らしい晴天.アイスランドを空の上から眺めることができました.

国際空港があるとはいえ,ナルサースアークはとても小さな町です.住んでいる人は空港・ホテル関係者くらい・・・.なぜそんなところに国際空港があるかというと,ひとえに地理的状況から戦時下にアメリカ軍が空港を建設したからです.

そして,向かうナルサークへはナルサースアークで乗り換え.ヘリコプターで15分です.


<ナルサースアークからナルサークへのヘリコプター>

日本でもいわゆる大都市にしか住んだことのない私.初めてのヘリコプターということでかなり緊張でした.けれども,通訳をさせていただいた視察団のメンバーの1人と,偶然にも飛行場で再会し,心強さを感じた次第です.(写真に後ろ姿が写っているおじさんです)

写真でも分かるように抜けるような青い空.晴天です.
ヘリコプターは,話すことのできないほどの騒音でしたが,そんなことが気にならないほどに初めて目にするグリーンランドの地に目を奪われました.切り立つ崖.遠くに広がる氷床...

ナルサークのヘリポートが見えてきました.
多くの人がグリーンランドの旗を振って歓迎しています.(私を歓迎しているわけではないのですが,勝手に感激してしまいました;)
歓迎している相手は,ヘリコプターを降りるときにすぐに分かりました.
赤ちゃんを産んだばかりの夫婦が同乗していたのです.旗を振っていたのは,その家族.どうやら初孫の誕生だったようです.
そして,びっくりした光景がひとつ.その一団がお金(コイン)をばらまき始めたのです.嬉しいことがあると,お金をばらまくのがここの風習だそうです.


<ナルサークのヘリポートからの眺め(奥に見えるのが町です)>


さてさて,私にもお迎えがありました.市長さんをはじめ,通訳をさせていただいたみなさんです.
まずは市庁舎に案内していただき,職員の方々にも簡単に挨拶.市長さんや数人の方とおしゃべりをした後,とりあえずは泊めていただくゲストハウスへ.


<市庁舎(とはいえ右半分だけです)>


デンマークで数日過ごしてからの訪問でしたが,デンマークとの時差は4時間,日本との時差は12時間ということで,少しばかりの疲れもあったため,夕食まで少し休憩.(それに今朝は5時半に起床しての長旅でした;)


<夕日が沈むところ>


夕食は,Kiistaのお宅でごちそうになりました.疲れているだろうというご配慮から,特に「ごちそう」ではなく,パスタなどの食べやすいものを用意してくださいました.その心遣いに感謝です(^^).

夕食後,Kiistaと泊まっているゲストハウスまでお散歩.晴天ゆえの凍てつくような寒さもあり,そして凍っている道で私がこけないように,腕を取り合ってのんびりお散歩.
「お散歩」するような状況ではないと思われるかもしれませんが,決してそんなことはないんです.降りそそぐ満天の星空.月の周りの光の輪(月暈?).そしてそして.歩いていたら現れました!オーロラです!人生で初めて見るオーロラ.その神秘的なこと.足を止め,ふたりでぼーっとオーロラの動きを見上げていました.1秒ごとに姿・色を変えるオーロラ.見飽きることはありませんでした.


第2日目

時差はやっぱり大変.
とても疲れているはずなのに,興奮もあってか朝は早くから目が覚めました.

9時頃に市庁舎までてくてくと歩いていきました.
ゲストハウスから市庁舎は見えているのですが,実際には15分ほどの道のりです.

9時半からの15分は朝食です.と聞いて,まずはびっくり.
グリーンランドでは,というよりも,少なくともナルサークでは,多くの職場において朝食も昼食もサーブされるそうです.もちろん有料ですが,いわゆる社食ですからとても良心的な値段です.朝食は,パンにチーズ,ハム,ジャム,ゆで卵などがそろっており,自由にとることができます.

朝食の後は,持ってきたラップトップをインターネットに接続.少しばかり自分のお仕事・・・です;

11時から,Tourist Officeを運営しているIbに町を案内してもらいました.
まずは,Ibが必ず観光客を案内するという,彼のお気に入りの場所へ.町全体が見渡せるちょっとした丘です.(給水施設があるところですが.)


<丘からの眺め>


その後は,海岸沿い,そして町はずれにある遺跡などを案内してもらいました.もちろん車での移動でしたが,アスファルトの舗装がそれほど良いものではないですし,氷も張っていますし,少しばかりはらはらする運転でした;
もちろん信号も横断歩道もありません.車道も特にありません.


<町はずれの光景>


ちなみに,Ibはデンマーク人です.もう何十年もグリーンランドでデンマーク語,英語,ドイツ語で観光案内をしているそうです.

お昼過ぎに市庁舎に戻り,お昼ご飯.
デンマークの食事とあまりかわりません.黒パンの上に,ニシンの酢漬けやハムなどが載っているオープンサンドイッチを好きなように選べます.もしくは,温かな料理.今日はスープだったようですが,私が行ったときには既に売り切れ.

午後は,温室の見学へ.
実は,彼らは青森県へ「寒締め栽培」という栽培方法を見学に行き,そこで私は通訳をさせていただいたのです.そこで,Bentが試験的に運営している温室を見に行ったわけです.いまはまだ試験段階ですが,今年中に本格的な栽培に取り組む予定です.
グリーンランドでは,ほとんどの野菜や果物を輸入に頼っています.夏場に育てることのできるジャガイモやニンジンは家庭菜園のような形では栽培されていますが,市場に出回っているわけではありません.つまり,野菜がとてつもなく高いんです.おまけに新鮮ではありません.
ということで,雪や風に耐えられる経済的な温室を作って,少しでもグリーンランドにおいて自給自足ができるように,というわけなんです.

温室の後には,Eskimo Pelsという主にアザラシの毛皮を加工しているお店によりました.製造過程を見せていただきましたが,すべて手作り.すごい.
小さなお店も併設されています.毛皮のコートや手袋などの他,地元の人がトナカイの角や,アザラシの歯などから細工している指輪やネックレスなどもおかれていました.


<奥が工場になっています>


市庁舎に戻った後,夕方にはKiistaと一緒にカフェミック(kaffemik)に行きました.カフェミックとは,主に誕生日に開かれるもので,今日はKiistaの知り合いのおじさんの誕生日.
カフェミックでは,お誕生日を迎える人が,コーヒー(と紅茶)と何種類ものケーキを用意します.そこに家族や親戚,友達が入れ替わり立ち替わり,何十人も訪ねます.それが朝から晩まで続くのです.お祝いに訪れる人は,少しばかりのプレゼントを持参します.そして,基本的にはコーヒーを2杯,ケーキを2切れよばれ,少しばかりのおしゃべりの後にお暇します.
私も日本のしおりを持参していきました.

カフェミックの後には,今日もKiistaのおうちへ.またまた晩ご飯をごちそうになりました.(ちなみに,Kiistaのところではご飯は旦那さまAqqaが担当しています.とっても料理上手です)


第3日目

昨日は少し曇天でしたが,今日は晴天.
ゲストハウスの目の前の湾には流氷が浮いています.オーロラもそうですが,流氷を間近で見るのも初めてのこと.氷にもいろいろな色合いがあることに改めて感動しました.


<流氷です>


グリーンランドに来る前に,デンマーク人から「サングラスを持っていた方がいいよ」と言われていました.雪の残る時期に晴天となると目に眩しいから,とのこと.たしかに,スキー場でもサングラスしますよね.ということで,サングラスを持参してきました.そして,晴天の今日,泊まっているゲストハウスから市庁舎に歩いていくときにサングラスをしてみました.
・・・1分も持ちませんでした;
めがねのツルの部分がこめかみに触れるわけですが,ツルは金属,まるで氷をあてられているように感じるわけです.うぅん・・・,金属製は却下ですね;

午前中は,博物館などを管理しているRieに案内をしてもらいました.
Rieもデンマーク人で,歴史家.長年グリーンランドに住んでいますが,所属はデンマークの機関です.
特に娯楽施設のないナルサーク.子どもたちが遊べるような施設も管理しています.展示や映画上映が行えるようなちょっとしたスペースや,主に10代の子どもたちが自分たちでミーティングを持ったりパーティができる場所があります.全て寄付で成り立っている本が並び,さらにはリサイクル用にちょっとした家具や洋服も保管されていました.

博物館(A34)のある場所が,この町に一番古くからある地区です.
なぜ屋根の上にA34と書かれているのか.
これはアメリカ軍がグリーンランドにいたころ,つまり1940年頃の戦時中に遡ります.上空からの位置確認の手段として,建物の屋根に分かりやすいようにマーキングがされているわけです.A34はナルサークを意味していたわけです.


<A34とその周りの数軒が町の一番古い地区です>


さて,午後は市庁舎で産業を担当しているBent(温室をされているBentとは別の方)にナルサークの産業を少しばかり案内してもらいました.アザラシは食料であると同時に,その皮は防寒具として使用されます.アザラシの皮と脂の部分を分ける作業を見学しました.
その後,少し真剣にミーティング.ナルサークの産業の状況,現在進行中のプロジェクト,失業率等々,いろいろなことを話しました.(今後のお手伝いのために,です)

今日は金曜日.週末です.
市長さんKiistaのおうちでゲストを招いてのパーティ.友人を招いてのプライベートなパーティに私も参加させてもらいました.(プライベートとは言っても,半分は市役所で働いている人だったりします.狭い世界なので;)
子どもたちは,祖父母のところやお友達のところでお泊まりです.大人たちが遊ぶ夜,です.

メニューは,まずはお寿司.エビなどを載せた握り,キュウリやなにやら魚の卵を入れたようなのり巻き.さらに,私が持参したちらし寿司のもとを使ったちらし寿司,です.
そしてメインは,先日Aqqaの両親のところでしめたばかりのラム.干して半乾きになったお肉を,低温度のオーブンで何時間もかけてゆっくりと焼き上げたものです.ラムには独特の臭みがあり,私は特に好きなものではなかったのですが,このラムの美味しいこと!臭みはなく,それにとても柔らかい.びっくりしました.さすが目利きをした上での新鮮なラムは違うんだなぁ,と実感.

お酒とおしゃべりを重ねつつ,12時頃になってクラブに移動することに.タクシーを呼び2台で移動です.ナルサークにはクラブは2つあるそうですが,私が連れて行ってもらったところは,2階建てになっていました.1階は10代向け,2階は大人向けのクラブです.入店はただです.市庁舎で働いているおばちゃんのひとりと1階を覗きに行ったところ,おばちゃんの娘さんと会いました.親子が一緒に踊れてしまうクラブって,なんだかおもしろいですよね.
大人の集うクラブの方は,バンドの生演奏です.グリーンランドの調べが流れています.誰もが,お酒を片手に,そしてタバコと片手に,おしゃべりをしたり踊ったり.氷点下の屋外からは想像もつかないほどに,パワーが溢れている場所でした.

時差のせいで,夕食後は少し眠気におそわれつつありましたが,夜遊びをしたおかげで!?もう午前3時.荒治療かもしれませんが,これで時差からも解消されそうです.

第4日目

さすがに早朝に目が覚めるということはなく,ゆっくりと寝坊.そして,のんびりと読書.
お昼からは,Kiista一家と,ぶらぶらとショッピングに行きました.そして,ふたたびカフェミックへ.今日は18歳になる女の子の誕生日.ということで,きれいな和風のシールをプレゼントに持っていきました.テーブルに並んでいるケーキは,全て彼女の手作りとのこと.若い子が作っているからか,正直なところ,先日のケーキよりも甘さが控えめ,そしてフルーツがたくさんで私好みでした.


<カフェミックの様子>


カフェミックのあとは,またまたKiistaのおうちへ.ふたりでココアを飲みながらおしゃべり.本当に,彼女との話はいつも尽きることがありません.

夕方には一度お部屋に戻り,服を着替えてから,温室での栽培をしているBentのところへ.夕食へおよばれです.

Bentはフェロー出身ですが,子どもの頃からデンマークに住んでいるため,母語はデンマーク語です.そして,奥様はグリーンランド人.お互い,相手の言語を理解することはできても,基本的にはあまり話せない,とのこと.デンマーク語とグリーンランド語での会話だったりするようですが,違う言葉を使っていても,2人の間にはとても温かい空気が感じられ,一緒にいる私まで温かい気持ちになりました.

さて,奥様が用意してくださったのはグリーンランド料理.前菜として,ホタテやえび,マスなどが入った魚介類のスープ.そして,メインにはケワタガモ(edderfugl)とmuskusoksekødの2種類を出してくださいました(ふつうはメインは1種類ですが,いろいろと試して欲しいから,という心遣いでした).このmuskusoksekød,はっきりとした和名が分からないのですが,写真を見るかぎり,バッファローのような感じを受けました.これはグリーンランドでも捕獲が制限されている動物であり,伝統的に狩りをしている地区を除いて,狩猟の時期になると全グリーンランドから希望者を募り,地域ごとに数名のみが選出されるそうです.
muskusoksekødについては,とても美味しい,という評判を聞いていました.しかし,残念ながら新鮮なものではなくスーパーで冷凍されていたものを購入したとのことで,彼らに言わせるといまひとつ,ということでした.一番美味しい部位は冷凍では売っていないそうです.ただ,もちろんそれなりに美味しかったと私は思います.
edderfuglは,鴨の種類ですが野鳥ということで,かなり癖のある味でした.

そしてこの晩,グリーンランドでは完全なる月食,皆既月食が見られました.ちょうどメインを食べ終わったころ,20時頃だったのでしょうか,完全な月食を眺めることができました.コートを着てお庭に出て,ただただぼーっと眺めていました.星々ももちろんきれいなのですが,月食の際の光の移り変わりは,それだけで美しさを醸し出していました.

第5日目

今日は日曜日.そして抜けるような晴天.


<今日の流氷>


けれど,歩いているとむちゃくちゃ寒い!
ダウンのコートの帽子はついているものの,毛糸の帽子をお部屋においてきたことを後悔・・・.

「デンマークとはまた違った雰囲気だよ」と言われたこともあり,教会の礼拝に顔を出してみました.老若男女,多くの人が参列していることに少しびっくり.小さな子どもがおばあちゃんやおじいちゃんと来ていたり,そして10代であろう「若者」の姿も.
牧師さんのお話も,賛美歌も,全てグリーンランド語であったためもちろん内容は分かりませんでしたが,けれども,予定が盛りだくさんの毎日だったこともあり,何となく心休まる時間でした.

午後はKiistaも一緒に,町のはずれで羊飼いをしているお宅を訪問.とはいえ,奥さまSugaは市役所で働いています;
旦那さまがとてもパワフルな方で,羊を飼いつつ,アイスランド産の馬を育て,さらに水力発電を試みようと,ひとりで山間にダムを造ったり.すごいです.Kiista曰く,十人分の働き,とか.

その後,ふたたびKiistaのところへ.おみやげに持っていった折り紙に娘さんがとてもはまっており,それほど折り紙が得意でない私は,折り方の本を見ながら折りつつ,彼女はそれを横から見て一緒になって折ってくれていました.きっと私よりもずっと上手です.

第6日目

今日はKiistaと一緒に,港の工場へ見学に.
グリーンランド最大の企業Royal Greenlandは,世界中に小エビ等々,多くの魚介類を届けています.
ナルサークの町にも,つい昨年までは小エビ用の工場が稼働していました.けれども,ナルサーク近辺での小エビの漁獲高の減少,そして高い労働賃金も手伝ってか,工場が閉鎖.つまり何十人という労働者が失業することになったわけです;
現在は,工場跡の管理に数人のスタッフが残っている状態ですが,小エビに代わってタラの加工をすべく,工場内の設備を変更中でした.

午後は,これまでの見学などを通しての感想や疑問等々を自分なりにまとめてみました.明日最終日に予定しているBentやKiistaとのミーティングに備えます.

そして夜にはまたまたKiistaのところへ. Kiistaのところでいただく晩ご飯は今日で最後です.明後日に私が帰るときには,Kiista自身も出張でデンマークに行くため,明日の夜は家族だけの時間&準備にあててください,ということに.
晩ご飯はもちろんAqqaによるもの.本当はアザラシを食べて欲しかったんだけど,良いのがなかった,ということでメインはししゃもです.彼らのお気に入りの食べ方は小麦粉と卵をつけて,バターたっぷりのフライパンで焼くというピカタのようなもの.
日本にもあるよ〜,ということで,小麦粉だけでフライにしてもらいました.
どちらも美味しかったです.

帰りは,またまたKiistaに送ってもらいました.初日に見たオーロラに感激した話をしていると,またまたオーロラが現れました!
初日よりも規模!?が大きく,夜空中にオーロラが舞っていました.緑であったり,白であったり,橙であったり・・・,一瞬ごとに様々な色合いを見せてくれました.ゲストハウスに戻ってからも,寒さの中,しばらくぼーっと夜空を眺めていました.本当に涙がこぼれそうなほどに感激しました.

第7日目

いよいよ最終日.
午前中は青森での寒締め栽培視察のフォローアップや,今後の予定など,Bentとミーティング.そして,午後は今回の旅行の感想や今後のこと,Kiistaとミーティング.

そして,お昼ご飯は市長室でアザラシをいただきました.
グリーンランドに来たのだからアザラシは試していって欲しい,ということで,朝の間に買ってきたアザラシを厨房で料理していただくことになったのです.もちろん,市長さんKiistaの心遣いです.


<アザラシ!>


匂いはすごいです.市長室の真下に厨房があるのですが,午前中はひたすら匂ってました;
アザラシの調理法はいろいろとあるようですが,シンプルに,お塩を加えてただただ煮込んだものをいただきました.右側にあるのが,骨付きのお肉と,内臓です.レバーと腸です.左側は,煮込んだときのスープに穀物や香辛料を入れたもの.
匂いと,グロテスクな見た目にかなり緊張しましたが,一言で言うと,美味しかったです.スープの方は,私には塩辛い,という味付けの濃さを感じましたが,だし?自体は美味しかったです.そして,お肉は,見た目の色合いからは固そうな印象を受けたのですが,意外と柔らかく,そして腸はこりこりと,レバーはレバーで美味しかったです.お世辞ではなく,また食べたいなぁ,と思いました.
ただ,匂いに関してはグリーンランド人にもきついらしく,この料理をした後には,家中の窓を全て開ける,なんて言ってました;

午後のKiistaとのミーティングの最中,グリーンランド・ラジオのインタビューも受けました.なぜ来ているのか,どんなものを見たか,感想は,などなど.デンマーク語でのインタビューです.(グリーンランドでは,ラジオによるニュースが1日1回,夕方に15分流されます.同じニュースがグリーンランド語とデンマーク語で伝えられます.その視聴者はほぼ全員!?とか;)

その後,ここにきてお土産,ということで,グリーンランド,特にナルサークの特産品を見せていただくことに.
アザラシの毛皮で作られたコートなどは高すぎますが,ちょっとしたポーチなどもあります.それから,クジラの角やアザラシの歯,北極熊の爪などを加工した装飾品もあります.そして,ナルサーク近郊には様々な鉱石が眠っているということで,石を加工した品々も.
ただ・・・.今は観光シーズンではないんですよね.どれも手作りなのですが,それだけに,夏に向けて作品を作られるということで,ほとんど在庫なるものがありませんでした.残念・・・.ナルサースアークの空港内のお店ならもう少し数があるよ,ということで,明日のトランジットの際に購入することに.

最後の!?見学.ナルサークの水源となっている貯水池を見せてもらいました.


<この下に水源が・・・>


ご覧のように凍ってしまっていますが,そばに立っていると,氷の下で水が流れている音を聞くことができました.

夜には,ナルサーク唯一のホテルのレストランで食事.メンバーは主に政治家さんたち.青森での視察からはじまり,今回のナルサーク滞在の感想等々,ご報告させていただきました.
そして,夕食はもちろんグリーンランドの素材.小エビたっぷりのエビのサラダが前菜に.そして,鮭のムニエルがメインでした.日本でも食べられるものですけれど,もちろん美味しかったです.

夕食前にはちょうどデンマーク語でのラジオニュースの時間.本来であればBGMが流れているレストランですが,そのときばかりはラジオニュース.昼間のインタビューの様子が伝えられていました.自分のデンマーク語をラジオから流れてくるのを耳にするのは,妙な感じでした;


第8日目

いよいよお別れの日です.
使わせていただいたゲストハウスを簡単にお掃除をし,パッキングをして,お世話になった方々にご挨拶をしに市庁舎へ.
お昼前にはヘリポートへ送っていただき,チェックイン.
ただ,やってくるヘリコプターでなにかトラブルがあったらしく,ナルサークの到着,つまり出発に大幅に遅れが生じてしまいました.つまり,ナルサースアークでの乗り換えが,「走ってください〜」状態に.
残念・・・,とうとうお土産を買う時間はありませんでした;
またいつか訪ねることができたら,そのときには絶対に買うぞ!と,いやいや,お土産を買うためにもまた来るぞ,心に誓いつつナルサークの訪問は終了.

お土産はともかく,ナルサークという町との出会い,そしてKiistaとその家族との出会い.とても心に温かいものを感じる訪問となりました.
これまでは,ただただ遠いと思っていたグリーンランドが,これほど身近に感じられたことに驚いてしまいます.初めての地,特に文化の異なる外国の土地をひとりで訪れると,大なり小なり「孤独感」のようなものを感じると思うのですが,今回のナルサークの滞在では,そういった気持ちをいっさい感じることがありませんでした.もちろんKiistaという素敵な友がいたからこそですが,私にとっては,本当に心落ち着く場所でした.

© 2004-12, dansk professionel service, All Rights Reserved.