本家の徒然草


このホームページは平成の徒然草と名乗っているくせに,徒然草の話はない.それもちとなんなので,ひとつ本家から引用.

「梅の花かうばしき夜の朧月にたたずみ,みかきがはらの露分け出でむ在明の空も,我が身ざまにしのばるべくもなからむ人は,ただ色このまざらむにはしかじ」

「みかきがはら」というのは禁中の御垣の内の御苑のことだそうで,その御苑に置いた夜露を踏みしめて有明の月を見ているというのは,禁中の女官の部屋から夜半こっそりと忍び出てきたところなのであろう.
そんな経験を自分のこととして偲ぶこともないような人は,恋愛をする値打ちはないよ,といったところ.

ここまで言うからには,兼好法師はそうした経験があったのであろう.あんまり,悟りすました隠者のようなイメージで兼好法師をとらえるのは,適当でない.