ハードでなくっちゃ生きていけない


レイモンド・チャンドラーが好きだった.今でも時々読み返すことがある.探偵フィリップ・マーロウの,探偵稼業には似つかわしくない知的な会話が好ましい.

「プレイバック」の終盤のシーン.

女「どうやったら,あなたみたいなハードな男がそんなに優しくなれるの?」
マーロウ「ハードでなくっちゃ,生きていけない.でも一度も優しくなれないようなら,生きてる値打ちがない」

原文
'How can such a hard man be so gentle?'
'If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive'

ところで昔の角川映画の「野生の証明」で,「男はタフでなければ生きていけない NEVER GIVE UP」という惹句があった.これはチャンドラーの一種のパクリだったんだろうな.ちょっと志の低いパクリだけど.