小型軽量で質感の良い一眼レフがほしい

小型で格好の良い一眼レフを探している．ＡＦに越したことはないが，別に速い被写体を追うわけではないからＭＦでもかまわない．ＡＦの廉価機はどれもプラスチック細工で，どうももう一つ食欲をそそられないからね．たとえばＥＯＳ−Ｋｉｓｓなど，性能的にはそこそこなのだけど，あの質感はどうにもいただけない．もう少しお金をはずむと，ニコンＦ８０，ＥＯＳ−７あたりの中級機が買えるが，これも質感は今一．どうも最近のＡＦ機ではうまくない．最低Ｆ１００とかα９くらいにしないと質感は満足できない．でもそれでは大型重量級にすぎる．

さてそうなるとＭＦに行かざるを得ない．ペンタックスＬＸ，オリンパスＯＭ−４Ｔｉブラック，コンタックスＡｒｉａあたりが候補．（注１）いずれもボディ重量は５００ｇｒ前後で，高級ＡＦ機に比べると小型軽量である．それぞれの機種のレンズ事情は．

• ペンタックスの場合ＭＦとＡＦのマウントが同じなので，最新設計のＡＦレンズがそのまま使えるのが魅力．あと格安の純正マウントアダプター（今時１０００円）を使ってＭ４２スクリューマウントのレンズが使えるというメリットもある．使えるレンズの種類は一番多いのではないか．
• オリンパスは３５−８０ｍｍＦ２．８のズームレンズを最後に，新レンズが出ていない．しかし，多少縮小されたとはいえ，ＭＦレンズのラインアップは依然健在である．例えば２８ｍｍＦ２のレンズをペンタックスで使いたいとなると，中古（品薄）で探すしかない．ペンタックスの８５ｍｍＦ２中古はなんとプレミア付きになっている．（なんでこんなレンズが？）オリンパスならどちらも現役（新品）レンズで購入可能．
• 一方コンタックスだが，そこそこのラインアップは健在である．パンケーキレンズ４５ｍｍＦ２．８も新品で手に入る．（オリンパスのパンケーキの入手は絶望的．あっても信じられない値段．ペンタックスのパンケーキも新品の頃の何倍にも高騰している）またオリンパスより中古の流通量は多いと思う．ただし，絶版になっている一部のレンズ（２８ｍｍＦ２とか１３５ｍｍＦ２）は別だ．

（注１）もちろんこれ以外に，ニコンＦＭ２，ミノルタＸ７００もある．しかしＦＭ２は露出がＡＥでない．また細かいところだが，巻き上げレバーがシャッターロックを兼ねていて，引き出した状態でないとシャッターが切れない構造になっているのが気に入らない．（これは新しいＦＭ３も同様）ミノルタＸ７００は性能はまあまあなのだが，仕上げが好みでない．

こうしてみると，レンズについては一長一短であることが分かる．いっそのこと全部買っちまうか？まあそういうわけにも行かないので，もう少し検討を続けてみる．ＬＸとＯＭ−４はどちらも設計は古い，８０年代初期の設計．早い話が２０年前のカメラだ．一方Ａｒｉａは新しい．モータードライブ内蔵の現代のカメラである．そのかわり外装はプラスチックだ．しかしＡＦの廉価機・中級機より仕上げがよいので，まあ許容範囲内ではある．

値段という点ではどうか？ボディはＬＸ，ＯＭ−４が高い．Ａｒｉａは新品６万前後．ＯＭ−４は新品で１２万前後で，ＬＸも同じくらい．約２倍だ．ただし，一眼レフの値段というものはボディの値段はそれほど関係ない，どんなレンズを何本そろえるかでシステムの値段は決まってしまう．例えばＡｒｉａに２８ｍｍＦ２，５０ｍｍＦ１．２，１３５ｍｍＦ２といった希少レンズを付けようとすると，Ａｒｉａのボディ価格などどっかへいってしまう．一方，ＬＸでもＭシリーズの標準レンズや２８ｍｍＦ２．８，１３５ｍｍあたりの手頃なレンズで済ませるなら，トータルでは大した価格にならないのだ．

まあそんなことばかり言っていても仕方がない．とりあえず常用レンズ１本付きのセットを考えよう．

• まずはＬＸ．ＦＡ−２付き（注２）のボディなら新品で１２万というところか．これに人気のパンケーキＭ４０ｍｍＦ２．８となると，４万円か．（もちろんこれは中古）トータル１６万円である．Ｍ４０は４群５枚構成で，パンケーキとしては性能はよい．コンタックスのテッサーは球面収差が非常に大きく，絞った場合の焦点移動が大きすぎる．せっかくＭＦでしっかりピントを合わせたいのにこれでは困る．Ｍ４０はそんなことはない．優れたパンケーキである．
• 次にＡｒｉａ．ボディは新品６万円．これにテッサーのパンケーキというとデザインはよいが，このレンズは球面収差が大きくて，絞ったときに焦点移動が起こる．近中距離では結構問題である．それでこれは避けることにして，ディスタゴン２８ｍｍＦ２．８か，３５ｍｍＦ２．８というところだろう．そこで定評のある２８ｍｍＦ２．８を採ろう．新品で４万くらいだろう．合計１０万円．
• ＯＭ−４．ボディは新品１２万というところか．パンケーキ４０ｍｍは入手困難．そうなると３５ｍｍＦ２．８かＦ２あたりが候補となる．Ｆ２でも４万はしない（中古で）だろう．合計１６万．

（注２）ＦＡ−２ファインダーにすると，アクセサリーシューが付かないし，また絞り目盛が直読できなくなる．しかし，ペンタプリズムは小型で好ましいし，値段も安い．

判断が付かなくて，量販店の店頭でいろいろいじってみる．まずシャッター音とミラーショック．ＬＸは随分ショックが大きいんだね．昔使ってたミノルタＳＲなんかと同じフィーリング．なんだか懐かしい．ＯＭの方がショックは小さい．コンタックスではＲＸが一番シャッター音とショックが小さいのだが，ＡｒｉａはＲＸとはあまり似ていない．結構ショックがある．でもＬＸよりは少しましか．

次に巻き上げレバーのフィーリング．ＯＭは巻き上げ途中からギリッギリッというフィーリングで良くない．これはよく指摘されているＯＭシリーズ共通の弱点．ＬＸは問題なくスムース．
Ａｒｉａは現代のカメラだからワインダー内蔵．感触は悪くない．

握った感じ．Ａｒｉａは一番分厚い．カメラの横巾がちょっと狭く感じる．背が少し高くて厚みが厚いせいだろう．ちょっと扱いにくい感じだ．大きさはＯＭが一番しっくりくる．ＬＸはやはり少し大きい．

ファインダーの覗き心地．ＯＭの視度調節は調節範囲が広く，操作もしやすくてとても便利．ＬＸはいちいちファインダーを外して調節しなくてはならない．覗き心地は重要なポイントだが，なかなかチェックしにくい．量販店においてあるサンプル機はいろいろ異なったレンズが付いているし．ＬＸには５０ｍｍ／１．２が付いていた．Ａｒｉａは２８−７０ｍｍ／３．５−４．５だ．ＯＭ−４Ｔｉは３５ｍｍ／２．８．これで公平に比較ができたらおなぐさみだ．それにＯＭはＯＭ−３Ｔｉ用の明るいマットに交換もできる．ＬＸもいずれＬＸ２０００に付いた明るいマットがオプションで提供されるだろう．Ａｒｉａは．．これは今のままかな．ファインダーといえば倍率と視野率も問題．だいたい下表のとおりで，ＬＸとＯＭはほぼ同等か．Ａｒｉａはすこし分が悪い．

結論．ＬＸが優しい感じ，昔ながらの一眼レフだなぁというところ．ＯＭは少し乾いた独自の方向性がいい．米谷カラー全開というところ．これはこれで良い．Ａｒｉａは現代カメラ．ドライだなぁ，でもそこが魅力．結局みんな欲しい．困った．

その後：迷ったあげく，ＬＸを買いました．レンズはとりあえずＭ１２０／２．８，Ｍ５０／１．４，Ｍ２８／２．８とＡ３５／２の４本．しかし，どのレンズもまだ納得行くところまで使ってはいない．ＬＸの方も，測光が平均測光のみで，しかもＡＥロックなし．露出補正がロック付きで，片手で操作できないなど，不満点は結構多い．こりゃ，ＯＭの方が良かったか．それともレンズの良さでＡｒｉａか？ああ，泥沼だ．．．