hp48g+/hp49gを今頃(2002年2月)購入して使う時の秘訣集
ここで書いているのは,私自身が購入前や購入直後の右も左も分からなかった時に,とても気になって知りたかったことばかりです.
身の回りにhp関数電卓を使っている人は全くいなかったので,この程度のことが分かるまでにも結構手間がかかってしまいました.
- 48gxを買うべきか?48g+を買うべきか?
48gxと48g+の差は,拡張RAMスロットの有無だけである.標準のメモリは48gxも48g+も同じ128KB.
48gxの方は,スロット1に128KBのRAMカードを入れると,ユーザメモリを256KBに拡張できる.またスロット2には4MBまでのRAMカードを入れて,これをポートメモリに使うことができる.ポートメモリというのは,パソコンでいう2次記憶装置(ハードディスク)みたいなものだ.ここでプログラムの実行はできない.データの保管だけである.計算したり,プログラムしたりするエリアはユーザメモリの方に限られる.
128KBカードは定価1.8万円である.また48gxと48g+の値段は,それぞれ2.1万円,1.6万円位だから,その差は5千円ほど.48gxを買って48g+のユーザメモリの倍(256KB)に拡張しようとすると3.8万円ほどかかるわけだ.
(ポートメモリに使う1MBのRAMカードは国内価格5万円ほどする)
一方49gは標準で256KBのユーザメモリを持ち,それとは別に256KBのポートメモリと1MBのフラッシュメモリ(これもポートメモリになる)がついて,値段は2.5万円ほどである.
うーん,これは安い.先程述べたように,48gxでここまでメモリを増設するとなんと8.8万円なんだから.これを知って,私は48g+と49gの両方を買ってしまった.(^^;)
- PCコネクティビティ・キットを買うべきか?
純正のコネクティビティ・キットは4千円ほどする.ケチな話だが,できれば買わないで済ませたい.
実は49gを購入すると,パッケージの中に接続コードが入っているのである.この接続コードは,49g用の10ピン(メス)が両端に付いた接続コード一本,パソコンのシリアル端子に使うDSub9ピンのアダプタ,48g用の4ピン(メス)アダプタがそれぞれ一ヶ付属する.これを使うと,49g〜パソコン,49g〜49g同士,49g〜48g,48g〜パソコン間をつなぐことができる.パソコン接続用ソフトはWebからフリーにダウンロードできるので,49gの購入者はコネクティビティ・キットを購入する必要はない.
一方,48gしかもっていないユーザは,@泣く泣くコネクティビティ・キットを買うか,A社外品の接続コードだけ(少し安い)を買うか,Bコードを自作するか,3とおりの選択となる.
- PCと接続するソフトはあるか?
49g,48gxおよび48g+(以下48gで代表する)とパソコンを接続するための,PC
Connectivity Kit (HPComm)というソフトが米国hpのサイトからダウンロードできる.ただし英語Windows用なので,日本語版Windowsに使うためには,パッチが必要.パッチは1バイトだけ.hpcomm.exe(v3.0r4)の25D41番地の値を00からFFにする.
- 詳しい解説書はあるのか?
49g,48gとも,標準で付属する説明書だけでは足りない.不十分である.なにしろコマンドや関数の解説書が付属しないのだ.
すべてのコマンド/関数を解説したAUG(Advanced
Users Guide)というマニュアルが是非とも必要.48g用のAUGは国内販売されていないが,海外から通販で入手可能.しかしけっこう高価である.($75ほどする)
おすすめは,49g用のAUGがWebからダウンロードできる(AcrobatのPDF形式)ので,これを自分で紙に印刷して使うことである.これなら無料.しかし,ページ数が多いので,A4版厚さ5cmのパイプファイルに一杯になってしまう.(ちなみに印刷・製本された49g用AUGはない.電子ファイルのみで入手可能)
なお49gのソフトは,ほぼ48gのスーパーセットであるから,49gのAUGは48gにも使える.
- 49g、48g用のプログラムはあるか?
海外のサイトから,アプリケーションやライブラリをダウンロードできる.ダウンロードはPCで行い,あとから前述の接続コードとHPCommを使って,49gないし48gにインストールすればよい.
- 通貨の換算が不便,16進数が入力しにくい...
標準のままの49g/48gでは,使いにくい機能がある.例えば,通貨の換算をUNIT(標準で組み込まれている単位換算のしくみ)で扱うことができない.16進数,8進数,2進数を扱うときには,数字の頭に#を付けて入力しなければならないなど.
これらの不便を解消するにはプログラミングが必要である.
- 49gと48gのデザインの違いは?
49gと48gとでは,かなりデザインが違う.48gは昔ながらのhp関数電卓という雰囲気のシックな色調で,キーもプラスチックの感触の良いもの.
これに反して,49gはポップというかちょっと軽いデザインで,キーもゴム製でちょっと安っぽい.しかし,49gの半透明プラスチックカバーはなかなか実用的だし,メモリー容量も大きくて,その割には安価.ソフトウエアも48gに比べると相当拡張され,スピードも上がっている.(CPUのスピードは49gも48gも同じ4MHzのSATURNで変わりはない)
本当に一長一短で,選ぶのに困る.先に述べたように,接続コードは49gにしか付いてこないし.私は結局49gと48g+の両方を買った.
- 49gと48gで液晶表示は違うの?
49gと48gの液晶ディスプレは全く同じものである.しかし,48gが4行表示なのに対して,49gは5行以上表示される.つまり49gの1文字は48gよりもドット数が少ない.49gはそのため,48gに比べて文字が少し読みにくい.特にソフトメニュ(昔のDOSパソコンではファンクションキーがCRTに表示されていた.あれと同じ)の表示はやや苦しい.
- hpはもう関数電卓から手を引いたと聞いたが...
hpはすでに関数電卓の新規開発を中止している.49gがおそらくhp伝統の関数電卓の最後の機種である.開発が中止されているため,49gのROMバージョンの今後のアップデート(49gのシステムROMはフラッシュメモリ1MBに書かれており,バージョンアップが可能.なお,このシステムROMのフラッシュメモリは,ポートメモリ用のフラッシュメモリ1MBとは別もの),HPCommのバージョンアップなど,期待できない.あくまで今のまま(as
is)で使うことになる.
- パソコンで動作するエミュレータがあるって?
パソコン上で動作するEmu48というエミュレータ・プログラムがある.本物のROMを使
うので,機能的には全く本物と変わらない.パソコンなので,キーインはとても楽.電卓をいざ購入する前にちょっと試してみるといった用途には最適.48g,49gどちらもエミュレートできる.プログラムはWebからフリーにダウンロードできる.またPocketPCで動作するEmu48もある.カシオペアE-700あたりで,48gをエミュレートして使っていると,何を使っているのだか段々分からなくなって,とても不思議な気分に陥る.
