コンピューターTVゲームレビュー

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by H.MIZUSAKI
 テレビゲームの歴史の中で、「ファミリーコンピュータ」を無視することはできないだろう。国内では1800万台以上も普及し、テレビゲームの代名詞として、ファミコ ンは単一商品では、最も売れた玩具である。テレビゲームの認知度はファミコンの登 場によって絶対的なものになった。数多くの玩具の中の一つの遊びであったビデオ ゲーム(このころはまだ家庭用のビデオゲームといういい方のほうがごく一般的だっ た)というジャンルが、独立した一つの分野として展開していくことになった業界の 立役者でもある。それでも販売元の任天堂は、家庭用のテレビゲームを生活には必要 ないが、面白ければ売れる娯楽品としての位置づけで捉えている。

 技術の進歩により、それまでのぜんまい仕掛けの玩具から高度なエレクトロニクスを 駆使した玩具へと発展していき、80年代初頭には「ゲーム&ウォッチ」などの小型液 晶ゲーム機が人気を集めた。この携帯性に優れたゲーム機がブームとなったのは、核 家族化にともなう一人っ子が増えたことや、外での遊び場が少なくなり、習い事や塾 で忙しい子供たちのニーズから生まれたという社会的背景も無視できない。 小型液晶ゲーム機の次なるのステップとして再び登場したテレビゲーム機は、おも ちゃにしながら、一昔前にあった単一ゲームしか遊ぶことのできなかったものとくら べると、ゲームジャンルのレパートリーを広げ、格段に進歩していた。
 そうした中で、ファミコンの登場と、それにまつわる数々の神話は、今日のゲーム業 界に大きな影響を与えてきた。

 発売以来、並み居るライバルたちをことごとく駆逐していくことができたのも、早く からゲームソフトを重視した販売展開がなされていたからである。
 ここに新たにゲームソフトを売って利益を上げる、ソフトビジネスという現在のスタ イルが誕生したのである。現にファミコンが登場するまでは、どのゲーム機を見ても ゲームソフトの存在はオマケ的意味合いが強かった。機能的な問題から、かなりぎこ ちないアーケードゲームの移植などが家庭で遊べるという程度で、家庭用独自のソフ トというのはほとんどなかったのだ。

 また、ゲームを遊ぶ為にはかかすことのできないコントローラー一つとってみても、 革新をもたらした。れまでのゲーム機では皆、ジョイスティックを使用していたが、 ファミコンで初めて採用された十字キー(初登場は「ゲーム&ウォッチ」の「ドンキーコ ング」とされている)以降、どのゲーム機もこれを超えることができなかったのであ る。

 ちょっとしたことだが、あると意外に便利な機能で、押すとカセットがポンと飛び出 してくるイジェクターもファミコンならではのアイディアであった。 発売から間もなくしてファミコン人気はじわじわと高まり、ファミコンの専門誌が発 行され、キャラクターグッズ、便乗商品の登場やテレビ番組など様々なメディアを巻 き込んでいった。「マリオ」「ドラクエ」といった人気ソフトの発売日には、お店の前に は行列ができ、ファミコン人気が一種の社会現象としてマスコミで取り上げられたこ とも今では懐かしい。
(1999/01/25)


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