ファミコンソフト・エミュレーション・ボックス
FC-EM Rev.1.0


 デジタルエンタテインメントの雄である『ファミコン』を未来へ残し、将来も研究できるような仕組みをつくっていこうと活動されている立命館大学・細井浩一教授のプロジェクトチームが、2003年12月に完成させたのがこのファミコンソフト・エミュレーション・ボックスです。パソコンと組み合わせファミコンのカセットを正確にエミュレートする装置で、特筆されるのは、任天堂が設計図を正式に借与し、開発と運用を許可したエミュレータであるということでしょう。2004年1月15日、立命館大学の学会『デジタルアート・エンタティンメントの創成』の場で初公開されました。

ファミコンカセットの動作と仕組みを正確にエミュレート
 エミュレータというのは、ある機械の機能を、全く別の機械で実現する装置のことです。このファミコンソフト・エミュレーション・ボックス(以下FC-EM)は、その名の通りファミコンのゲームカセットの機能を正確に再現するものです。 ファミコンカセットは、その発売時期により20種類ほどの構造が違うものがあり、このFC-EMで動かせるのは、その仕様から初期の一部のものだけに限ります(細井教授のお話によると、今後、中後期のソフトも動くFC-EMもつくっていきたいとか)。その代わりこのFC-EMは、その初期ファミコンカセットの動作を、緻密(ちみつ)に完全再現するよう設計されています。


実際の動作を追ってみよう

 FC-EM自身はカセットの役目しかしないので、使用するにはファミコン本体と、あらかじめFC-EM用のアプリケーションソフトを導入したパソコンが必要です。
  まず、FC-EMの電源を入れ、次にパソコンの専用ソフトから、USBケーブルを通して、ファミコンソフトのROMイメージファイル(本物のカセットから取り出したプログラムデータとキャラクタデータ)を送ってやります。これで準備はOK。あとはファミコンの電源をONにすればゲームがプレイできます。
  FC-EMは、2004年3月現在、任天堂からドンキーコングとマリオブラザースの使用許諾を受けていますが、一度に転送&プレイできるのは1本のみ。また、ソフトはFC-EM専用に暗号化されており他で利用はできません。終了するときは電源をOFFにするだけで、違うゲームで遊ぶ時は、もう一度ROMデータを取り込む必要があります。


壮大なアーカイブ化の第一歩

 
ファミコンゲームそのものをど真ん中からアーカイブ(資料)化していく作業というのは、何十何百というハードルをクリアしていかなければならない大変な作業です。FC-EMはまだまだ初期の一歩かもしれません。しかし、権利関係にチョーーー!厳しい任天堂と協議の上実現したこの一歩は、大きく、そして意味深い第一歩だと言えるでしょう。

2003年9月に部品調達の問題から深い眠りについたファミコン。時が経ち、やがて実機は朽ちていくでしょう。しかし、100年後の子孫に、100年前のご先祖が遊んでいたファミコンをそのままの姿を伝えられるとしたら?それはすばらしいことじゃありませんか。そんな可能性をも孕(はら)んだ今回の第一歩。ゆくゆくは国会図書館なんかで、浮世絵や絵草子鑑賞の感覚で、ファミコンがプレイできる日が来るのかもしれませんね。


Voices from ODYSSEY


FPGAか。プログラマブルなLSIチップだな。

早い話、ず〜と昔に、ファミコンソフトバックアップ機ってあったでしょ?ソフトをコピー&保存しちゃうやつ。ああいうものを頭に浮かべてもらえばわかりやすいんじゃないかしらー。
こいつはディスクシステムとか、そういう方面には対応していないのか?
あれはまた別に、ディスクシステムの設計をしたリコーに許可とらなくちゃいけないんで今のとこ未定なんだって−。
イギリスとか海外では、学術研究として自由に活用できるように過去のゲームソフトはすべて著作権をフリーにしろ!といった裁判が起こったりしているんですってよぉ。それはまあ極端だとは思うけど、仕組みをつくっていくこと自体は賛成ねぇ。ゲーム業界にとっても大切なことだと思うわよぉ。



HINT de PINT
  • ファミコンソフト・エミュレーション・ボックスは立命館大学の所有物です。任天堂へ問い合わせるのはやめましょう。
  • FPGAについてはこちらなどおすすめ⇒IT用語辞典/FPGA(別サイト)
  • オマケ。FC-EMのフリー画像を用意しました。自由に使ってください。⇒FREE画像ダウンロードコーナー


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