システム紹介

初代カセットビジョンは1981年に発売されました。表現力はその3年前に発売されたテレビ野球ゲームと変わりません。直前のアタリVCSなどの影響は見られない独自の機構です。
カセットビジョン

コントローラー
4つのアナログパドル、二組の2wayジョイスティック、そして4つのボタン。すべてのコントローラーを集約した本体にはCPUもなく(後述)、巨大ジョイスティックというおもむきです。
なお、パクパクモンスターにおける4方向操作は、4つのボタンをそれぞれ上下左右にわりふる方法がとられました。

チップ
チップ

拡張機能
中央上にあるナゾのボタンAUX.=補助ボタンは、「カセットによっては、使う場合があります」(マニュアルより)とありますが、結局一度も使われることはありませんでした。テレビブロックの移植版のために用意されものでもないんだとか。コネクターは光線銃(下記)を接続するもの。ここにあらたに周辺機器がつなげればよかった、と思った人も多かったのでは?

光線銃
別売りで定価1,800円。ビッグスポーツ12のガンゲームで、画面をとびかうターゲットを撃つのに使用します。正確には光線銃ではな、光を受ける「受光銃」で、1977年に発売されたシステム10専用光線銃の流用物。ただし、パッケージはあらたにデザインされました。。

チップ
チップ

カセットビジョンは何ビット?
NECと共同製作されたカセットビジョンのLSIチップは42ピン。これ1つで演算、入出力、画像処理などほぼすべてをまかなっています。
コンピュータが本体ではなくカセット側に積まれていることは、カセットビジョンの特徴としてけっこう有名ですが、その理由は、エポック社がそれまで発売したテレビゲームの仕組みをそのままカセット式テレビゲームとして転用するためで、また技術的な安定性を求めた結果という側面もあります。

1チップに集約されているため、いわゆる”何ビットマシン”であるという言い方は、内部構造に通じた方でなければわかりません。命令長が48ビットなので48ビットマシンであるとか、日経の新聞記事では4ビットだと表記されていますが、開発を監修されたエポック社・堀江次長にうかがったところ”確実に4ビットではない”とのこと。俗に言う”○ビットマシン”とは、CPUとメモリとのバス幅を指して言うと思うのですが、堀江氏によると”たぶん8ビットくらいだったと思いますよ”とのことです。

最新情報これらとは別に、パソコン雑誌「テクノポリス」1983年秋号のホビー機特集に、回路構成から分析した結果として、このチップは12ビットCPU(型番:D777C)であると明記されています。当時のテクノポリス誌は、ハードを分解してメカトロニクスな部分からレポートする強力な連載があり、この解析もおそらく、通称「バラシのタキ」さんの手によるものでしょう。堀江氏の話とも重なる部分があり、なかなか有力な説かと思われます。


カセットビジョンJr

カセットビジョン ジュニア
カセットビジョンの後継機・カセットビジョンJr(ジュニア)は、2年後の1983年に5,000円という超低価格で発売されました。本体はふたまわりほど小さくなり、パドルコントローラーを取り除いたため一部のゲームはプレイできなくなりました。

付属書/その他

カセットビジョン/Jrとも説明書(1)(2)はどちらも全8ページ。他のゲーム機と同じく、各部名称やテレビとの接続の仕方がほとんどですが、(2)には最終ページに未発売におわったグランドチャンピオンを含むカタログが載っています。
  堀江氏は大阪営業所在籍時代(1978年頃)、各家庭へテレビゲームの工事にまわってはレポートを出されていたそうで、そのフィードバックの成果か、(3)のようなテレビへのわかりやすい取り付け方がさらに別紙で付属。これを手に、みんなテレビのうらでゴソゴソやっていました。
 
(4)は保証書。テレビゲーム1台の価値が高かった時代ですから、修理依頼された方も多いはず。
 
(5)はアンケートハガキ。郵便番号が5ケタなのは時代ですね。(6)は中期くらいから封入されはじめたゲームカセットの紹介リーフレット。第8作モンスターマンションまでのゲームソフトがイラストで紹介されています。


HINT de PINT
  • 参考文献は、参考文献&SPECIAL THANKSコーナーにまとめてあります。
  • 堀江氏のインタビューは別コーナー・ゲームフロンティアーズをご覧下さい。
  • 最新情報カセットビジョン4ビット説は、どうやら日経産業新聞1983年5月25日号での”本紙調査”が初出のようです。記事には津田エポック社取締役が登場されますが、取材には通常広報が同席されますし、氏がカセットビジョンのCPUにまで精通されているとはちょっと考えにくい部分があります。とは言え、日経紙が勝手に「4ビットのゲーム機」と書くわけは(まず)ありませんから、これは多分エポック社の回答なのでしょう。つまり真偽はともかく、カセットビジョン4ビット説は有力なものだと言えます。けど、本当のところはどうなんでしょう?


  • next

    |RET HOME|