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ブラウンボックスレビュー


CGE99、真のハイライト
by 寺町電人 Dento Teramachi
 1998年8月に米・ラスベガスで開催されたクラシックゲーミングエキスポ(CGE)99の想いでは尽きません。このページを再構築するにあたり、当時撮影したビデオを再度見ましたが、ラスベガスは本当に砂漠の中の幻想・夢の国でした。もっとも人種の格差という現実にも直面しましたが、都市全体が観光客をもてなそう、人々を楽しませようという視点にそって動くなんて、特に現在の日本では考えられないことです。さすが世界一のエンタメ都市。このおもてなしの気分はCVSオデッセィにも忘れてはいけないものだと思いました。

 さて、私はこの素晴らしいイベントで、世界初のテレビゲームオデッセィブラウンボックスを開発されたラルフ・ベア氏の講演を見るのですが、そのブラウンボックスのデモンストレーションのことを思い出すたびに、本当に悔やまれる、ある思い出が私の心をよぎります。そう、あれは、実演デモが始まり、テニスゲームのデモが終わった直後、「客席でどなたかベア氏と対戦した方はいらっしゃいますか?」と募集がかかった一瞬でした。
「知らない土地だからといって、何事も躊躇(ちゅうちょ)しない」と考えてきた私が、ビデオカメラで撮影していたこともあり、その一瞬だけ、挙手(きょしゅ)を迷ってしまったのです。直後、前列の少年がその幸運の座をいとめました。ああ・・・、どうしてためらってしまったのか。講演会の前にベアさんに「この後、講演会でデモンストレーションをするから、プレイするがいいよ」とまで言っていただいたのに。そのために席の前に陣取っていたはずなのに。

でも・・・、そう、ビデオを見て思い出しました。私が躊躇した本当の理由は・・・母親にいなされるようにしていたその少年が、まだ年端もいかない小さな子供だったからだったのです。
「私のようなマニアより、彼のような何もしらない子供が触れる方が絶対にいいはずだ!」カッコつけている様ですが、これは瞬間の本音も本音でした。

そして、その小さな少年と開発者のベア氏が世界初の、いや、神話の時代のテレビゲームをプレイする映像はとても微笑ましく、そして思っていたとおり実に絵になるシーンでした。観衆からも暖かいまなざしと拍手がそそがれ、今思うと、これこそCGE99屈指の名シーンだったと思います。

(初出:2001年9月/2003年5月修正)


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