ヘッドライトのHID化

準備する物
  • 不要のH4バルブ×2
  • アルミパイプ(直径11〜13mm、10cm程度)
  • 耐熱パテ
  • 耐熱塗料
  • 細いボルトナット数個
  • プライヤー
  • 棒ヤスリ
  • ドリル(3mm程度)
  • 金ノコ
  • カッターナイフ
  • 配線加工工具一式
先日交換した社外品のヘッドライトバルブに暗さ嫌気がさし、兼ねてより検討していたHID化に着手することにしました。 とは言ってもHIDと聞くと誰もが想像することが白さという利点と高価格という欠点だと思いますが、 私にとっては「白さ」よりも「高価格」ということがネックであり、中古ですら手が出せませんでした。 そこで色々と情報収集したところ、私の車両(H4タイプ)には純正品を流用・加工することで装着出来ることが判明したので、 思い切って某オークションにてトヨタ純正の中古を購入、加工してみました。 作業に夢中になり撮影を忘れていたので一部オークションに出品されている画像を流用させて頂いております。ご了承下さい。
今回私が購入したのはこの様な形状で、HIDでは第3世代と言われるタイプです。四角い箱状の物が、先に付いているバルブ状の物がバーナーと呼ばれる物です。 H4タイプのヘッドライトに装着するにはこのバーナーの形状に問題があるため、加工をしていきますが、加工の前に以下の3点に注目して下さい。


1.遮光
H4バルブのガラスの内部にフィラメントが2個ありますが、先端のフィラメントの廻りに障害物はありません。(画像1-HI部)これがハイビーム用のフィラメントです。 付け根側のフィラメントは下部に遮光板が付いています。(画像1-LOW部)これがロービーム用です。 HIDのバーナーを見ると、発光体に遮光する物は見あたりません(画像2-A部)このままヘッドライトに装着して発光させると全面から発光(ハイビームと同じ状態)してしまいます。 よって、この遮光板の代わりになる物を制作する必要があります。

2.台座から発光点までの距離
これから制作する遮光板はハロゲンバルブのロービームが発光するのと同じ位置のみで発光させるための物です。 よって、ハロゲンバルブのロービームが台座からどの位置で発光するかを予め測定しておく必要があります。(台座〜ロービームのフィラメント間)

 3.台座の向き
ハロゲンバルブの台座の向きとロービームの発光する向きを確認します。 ハロゲンバルブをヘッドライトに取り付けた状態だと、当然ロービームの発光が真上に向く訳ですが、 この状態でハロゲンバルブの台座を見ると、じつは平らな部分が水平ではなく傾いて付いています。 バーナーを台座に固定する際、これを知らずに安易に台座の水平な部分(画像1-A部)とバーナーの細い管の部分を垂直に取り付けてしまうと、 ヘッドライトに取り付けた時、バーナーの発光する向きが真上ではなくなってしまいます。(文章での説明が非常に難しいです。。。すみません。) 台座にバーナーを固定する時は、バーナーの細い管と台座の水平部分に多少オフセット(画像3-B部)が生じるということを覚えておいて下さい。

以上を踏まえて加工をします。まず、バーナーをH4タイプのヘッドライトに装着するためにH4タイプのハロゲンバルブの台座(画像1-@部)を流用します。 (台座は不要になったH4バルブを袋の中にいれてプラスチックハンマーなどでガラスを割り、取り出します。) 台座が用意できたらバーナーを仮合わせしてみて下さい。(セラミック状の線みたいなのが下側になります。) この時、作業前に確認した3.台座の向きのオフセットを思い出し、ハロゲンバルブと同じ角度で合わせて下さい。 このままだと台座の平らな部分(画像1-A部)にバーナーの黒い部分(画像4-B部)が当たるので垂直に固定できません。そこで、バーナーと台座の接触する部分をヤスリ等で削ります。 うまく台座とバーナーが垂直になったら、台座とバーナーを固定します。 バーナーに幾つかの窪み(画像4-C部)がありますので、この窪みに合わせて台座側にドリルで穴を開け、ボルトナットで固定します。
うまく固定が出来たら次にアルミパイプを用いて遮光するパーツを制作します。 直径11〜13mmのアルミパイプを画像の様に切り出します。 長さや切り欠きの位置は作業前に確認した1.遮光 2.台座から発光点までの距離を参考に、 ハロゲンバルブのロービームのフィラメントと同じ位置に切り欠きがくる様に作ります。 縦の切り欠きは取付の際に先端の線を通すためだけのもので、最後にはパイプをかしめて閉じる必要があります。 あまり大きく切りすぎてしまうと、かしめてもバーナーのガラスに当たって隙間が出来てしまい完全に遮光することが出来なくなるので、 使用するパイプ径に合わせて切る幅を決めて下さい。 遮光板の加工が済んだら、乱反射を防ぐ為に遮光板の内部を耐熱塗料で黒く塗装します。 完全に塗料が乾燥してからバーナーに取り付けますが、熱で塗料に焼きが入り揮発分が出てくるのでかしめずフリーの状態で1時間程点灯して放置し、揮発分が飛んだらプライヤーで遮光板をかしめます。 かしめだけでは完全に固定はできていないので、私は熱を利用して固まるパテ(マフラー補修用のガンガム)を使用して固定しました。 台座付近に盛って遮光板を固定し、これも点灯して熱を与えて硬化させます。 無事硬化し、遮光板が固定出来ればH4タイプのバーナーの完成です。
  バラストは防水加工を施してから配線作業を行います。 バラストのプラス配線は車両側のヘッドライト(ロービーム用)の配線に、マイナス配線はヘッドライトのマイナス配線にギボシ端子で結線して完了。 加工バーナーをヘッドライトハウジングに取り付ける時は、台座押さえはちょっときつくなりますが既存の固定金具で固定可能です。 その上から付けるゴムパッキンはバーナーのコネクターを付ける時に干渉しますのでカッターで穴を大きくしておきます。以上で加工は終了です。
点灯するとこんな感じ。下部で点灯しているフォグランプは「HIDに近いホワイト色」をうたい文句にしているH3バルブの商品なんですがその差は歴然。 実際は画像よりもっと白くクリアに感じます。外観の見栄えも最高ですが夜間走行でも大いに威力を発揮するので費用対効果は抜群だと思います。
注意点
作業のコツ
  • H4バルブの構造を忠実に再現すること。(散光すると対向車への妨げになるだけです)
  • バーナー点灯後はもの凄く熱を持っているので素手で触らない事。(ハロゲンバルブ以上に熱いです。)
  • バーナー点灯時は発光部を直視しないこと。
  • 配線を加工したら絶縁をしっかり行うこと。
  • バラスト〜バーナー間の配線が短いのでバラストを収める場所を確保すること。 (ここの配線は高電圧が流れます。延長加工は極力しない方が良い為、確実に設置できる場所を確認しておきましょう)
  • 装着後は光軸調整を忘れずに。