オーディオは楽し〜青春編


-その4-

デンスケ君の苦い経験に基づき、いろいろとセッティングに注意をはらいます。
中学〜高校時代というのは、私のオーディオ人生の中でも一番充実していた日々だったでしょう。
お金の問題じゃあないですよ、当然。
とにかくいい音で聴きたい。
お小遣いもそんなにないからLPも買えないので、いい音でエアチェックしたい。
オープンリールでもカセットでも良いからどんどんコレクションを増やしたい。
そんな毎日。
でもどうやってもデンスケ君のノイズが気になります。
他のデッキでもこうなんでしょうか?
実験しました。
近所の友達のヤツ借りて。
全く問題なし。
どうやらデンスケ君だけがFM放送の邪魔をする何らかのモノを発散しているようです。
特に、ちゃんと屋根にFMアンテナ立ててたわけでも無いのだからしょうがない。
セッティングの初歩の初歩が×なのです。
長〜いピンコードなどを使えばデッキを離せると思いますが、スピーカーならまだしも、デンスケ君だけが離れた別の場所に置かれているなんて美しくありません。

さてちょうどその頃、例えばプレイボタンを「ガッシャン」と押し込むのでなく、ボタンに「フッ」と触れると「ガッ」と動き始める「フェザータッチ」風スイッチ装備のカセットデッキが登場します。
これには感動しましたね。
高級オープンリールデッキを扱っているような、ユーザー心を豊かにさせる装備です。
きっと高校生には手のでない高級機ではもう使われていたスイッチかも知れませんが、当時は実に珍しくお店で何回もカシャカシャやっちゃいましたね。
う〜ん、こんなのが欲しいなぁ、となるわけです。

自転車で行けるデパートに通います。
いや、百貨店だな。
まぁデパートでも百貨店でも良いんですけど、大都市にある伊勢丹とか三越とかを想像してはいけません。
地方の私鉄の駅にくっついてる駅ビルみたいなもんです。
5階建て位で、屋上には実に貧粗な遊園地もどきがあったり、その手前には子供が大好きなゲームコーナー(これも今のゲームセンターを想像してはいけません)があったり、レストラン(お寿司,カツ丼からラーメン,スパゲッティ...当時の全ての食に通じるのだ)があったり、ちょっと妙な香りがするなと思うと、ペットショップが並んでいたりします。
ちなみにワンちゃん,ネコちゃん大好きな私は、柵のすきまから手を差し込み、ペロペロされたり、ひっくり返っているワンちゃんのお腹をなでたりするのが大好きでした。
そんな百貨店の何階かの一角に「夢の」電器製品コーナーがあるのです。

SONYのカセットデッキ、型番は忘れましたが実にカッコイイ。
そしてフェザータッチボタン。
7〜8万円位だったかな。
今の高校生でもいきなりその金額はキツイでしょうが、当時の高校生にはもう一桁上の感覚です。
貯めましたねぇ、お小遣いから何から。
お年玉の前借りもしたかも知れません。
クリスマスプレゼントもいらないと言ったかも知れません。
とにかく貯めました。
そうしてしがない高校生としては実に夢のようなカセットデッキ2台所有小僧となる日が来るのです。

(2004.09.13記)

arioso

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