バ−テンダ−の愚痴



バーでの過ごし方はお客様の自由ですが、多少のルールはあります。そこで本日はバーでの正しい過ごし方をご紹介しましょう。
 お酒に造詣の深い、医学博士で作家の斉藤茂太氏は、その著書の中で次のように書いています。
 『バーとは、「個人主義」を大事にする空間である。そこでは、本質論を言えば、ワイワイと連れだって行く仲間を必要としないし、相手をしてくれる女性さえ不要なのである。静かに一人だけの酔いに自分を任せる。日本的な感覚で言えば「気どって飲んでやがる」となるが、それがふさわしいのがこのバーであり、「キザ」であることもまた、この場所のルールなのである。』
 さらに『もちろんバーで会話をしてはいけないという法はない。しかし、その際に気をつけたいことは、やはりクールを旨とすることだ。やたらに大声で話したり、独りで飲んでいる人に話しかけるべきではない。せっかく独りになりたいために来るという人間の楽しみをこわしてしまうからである。』と書いています。
 そして次のように結んでいます。『さて、こう考えてくると、若い諸君がそういうバーに行くとなると、あまりに窮屈かもしれない。意気盛んなころは、静かに酒を飲むなど耐えられないときもある。会話がはずめば、いつしか論争になり、ケンカになることもある。それを抑えることがすべていいとは限らない。ワッと騒いで飲めるのも若いうちの特権であろう。こう考えれば「大人」になりきってしまった男が行くところ、それがバーなのかもしれない。』
 あなたもここCRESCENT・LAKEにおいでの節は、めいっぱい「キザ」になりっきて、いらしてください。私たちバーテンダーもあなたが最後まで「キザ」でいられるよう、一所懸命演出させていただきます。ただし、鼻が高くなりすぎて折れない程度にです。