温故知新 2004年10月(金) 中潮 22:00〜0:30

Writer:Dr,Mar(夷隅仙人)
 だいぶお月さんの端っこが欠けてきたが、それでも眩しいくらいにピッカピカである。
これでは、いつものM橋はあまり期待できない。ということで、今日は最下流のK橋と河口の間に広がる干潟を皆で攻めることにする。
このポイント、出ればデカイが出そうでなかなか出ないし出ても何故かすぐバレルので、まだ誰もデカイのを手にしていないのである。

 しか〜し、最近のわたくしめ(通称:マークン)は絶好調である。今なら獲れそうな気がするのだ。なお、同行者は、職場の同僚で、自称太田川の帝王ことさすらいのフライマン島氏(通称:アニキ)、武闘派釣竿職人平野氏(通称:巨匠)、そしてド素人のド初心者のくせにいきなりカスタムロッドとダイワセルテートを購入しやがったド新人カスやん(通称:カスやん)のド3人である。 

  午後10時過ぎ、ウェーダーを持ってないカスやんを、K橋の上流で勝手に釣ってなさいと放り出して3人のみ干潟にエントリー。いつものように、適当に間隔をあけて河口の方へと釣り下っていくことにする。当然、先頭を行く者が有利であろう。しかし、わたくしめは殿(シンガリ)を勤めることにする。先頭に入ると、口の悪いアニキに"また我先にいいポイントに入って"と言われるのがミエミエだからである。ちなみに、昨年、わたくしめは釣っても釣ってもセイゴ、フッコばかりであったが、アニキは70cm台を2尾上げた。おかげで、セイゴ釣師呼ばわりされ、ロッドを新調すれば"これがセイゴ竿か"とかさんざん言われまくったのである。70台2匹釣っただけで大した威張りようである。今日は、積年の恨みを晴らすべく、アニキが攻め終わった後で、でっかいのを釣ったろうと心に決めたのである。ふふふ、今のわたくしめなら可能であろう・・・。

 股下くらいの深さまでウェーディングし、20mくらい先のブレイクラインを攻めていく。現在、最干潮の約2時間前。流れは予想より弱いが、水が結構濁っているので、出るかもしれない。
しかし、今日は風が冷たい。わたくしめは、お尻の穴にモグたん(イボ痔とも言う)を飼っており、寒いところに長時間居るとモグたんが顔を出して、"オラさみ〜"と自己主張を始めるのでちょっと心配である。"モグたん。寒いなら冬眠すればいいんだよ(オラの生暖かい直腸で)。"と優しく語りかけておく。

  アイマコモモ、インターセプターサーフェスミノー(通称:パチミノー)、ワンダー等で1時間ほど水面下を攻め続けるがアタリは無い。先行する二人も表層を流しているはずだが、アタリはないようだ。ライズも全く見られないし、もう少し潜らせた方が良いかもしれない。今日は、干潟ということで、シャローランナーしか持って来ていないが、このうちで最も深く潜りそうなのは・・・アイルマグネットDB(ダートベイト)か。ヨシ、逝って来いDB!DB(デーブー)なスズキを連れて来い!
ダウンクロスでキャスト。着水後、ロッドティップを下げ、なるべくルアーが潜るようにしつつ流れに乗せて、ルアーがブレイクライン上でUターンしたところで・・・ゴンッ!そーゆーイメージで攻め続ける。数投後、ルアーがターンしたところで、ググッ・・・・。ん。根掛りか?ロッドを軽くあおってみると、
グググググングングン
おおっ!このリズムは!この命のストロークは!
ズシッと合わせをくれると、
ググ〜ンバシャバシャッ! っと遠くで鰓洗い!
スズキだ!
"ヒット!ヒット〜ッ!"
ヒットなんて叫ぶのは間抜けっぽいが、先行する巨匠に魚が来たことを告げる。
巨匠もアニキに向かって叫ぶ。"マークンヒット〜ッ!"。
巨匠が寄って来て訊く。"いいサイズっすか?"
わたくしめが答える。 "いや、多分50cm台ですね。"あまりにも、あっさり寄って来たから本当にそう思った。
10mくらいまで寄ってきたところで、ゴボンと軽く鰓洗いしつつ反転。
巨匠  :"いいサイズじゃないですか?"
マークン:"いや、大したことないですね。"
5mくらいまで寄せたあとは、歩いて浅瀬へと引っ張っていく。
水際に来てから何度か走ってドラグを鳴かせる。
巨匠  :"やっぱりいいサイズじゃないですか?"
マークン:"いや・・・そうかなぁ。"
ドババッと最後の鰓洗いの際に頭が見えた。
巨匠  :"ほら!いいサイズじゃないですか!"
マークン:"わっ!ホントだ!"
ぬお〜っ。そうと分かれば絶対逃がさんぞ〜!と打って変わって慎重になる。最後は、巨匠がギャフを打ってくれた。
バシャバシャっと飛沫を撒き散らして、虚空に抜き上げられた魚は・・・
天高く鱸肥ゆる秋。
全長81cmだった。
アニキもやってくる。"おおっ太っ!"

がはははははは。ざまーみろ。何だか知らんがやっぱり絶好調!大物の気配を漂わせつつ、固く門を閉ざしていたこの干潟の扉をこじ開けたぜよ。

今日も             満  開

 ここでふと気づいた。あっ。そうか! 80クラスだと言うのに異様に抵抗感が無かったのはロッドが違っていたせいだ。今日使っているロッドは、この干潟用に巨匠に組んでもらった8ftのロッドである。ちなみに、わたくしめ、このロッドにブラックムーンと名付けた。

理由1:わたくしめがとことんケチって一切の装飾を排したため、全身真っ黒である。
理由2:巨匠の工房の名前が"月"である。

 こいつで、こんな大きいのを釣るのは初めてだ。巨匠も喜んで、竿と魚を一緒にして写真を撮ってくれと言う。
いつも使用しているのは6ftミディアムアクションのバスロッドである。これ、メーカー名も良く分からん変な竿で、私が大学の教養部の頃に買ったのだから・・・なんと17〜18年間も折れずに現役で働いていることになる(ちなみに、バット部分にold tackleと印刷されている。17年前に既にオールドだったのである。私は全くものを大事にしないずぼらな男だが、ツボにはまると異常に物持ちが良い場合がある。
  たとえば、このとき着ていたのは高校の1年生の時に買ったMA1で、もう20年も着続けていることになる。ひえ〜)。さすがに17年間もつかっているとボテンボテンの腰抜けである。でもその腰抜けぶりが何かいい感じでずっと使っていた。一方、ブラックムーンは、当然ビンビン、青春の夜明け前(なんじゃそりゃ)である。

あぁそうですか。そーゆーもんですか。

いいロッドってのは、こんなに楽なんですか!

これならメーター級も獲れそうな気がしてきましたよ。わたくしゃぁ。

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