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2020/06/21 Updated

戦争を知らない子供たちさ

※2020年追記。
日本国憲法における自衛隊の解釈いかんにかかわらず、職業としての自衛官の安全のための意見である。

「戦争が終わって 僕等は生れた
 戦争を知らずに 僕等は育った
 ・・・」
北山修作詞・杉田二郎作曲

1990年、日本が高度成長の真っただ中にあった大阪万博の時に北山修氏、杉田二郎氏が共作した『戦争を知らない子供たち』(1971年2月)の歌詞の冒頭です。
この歌は1971年に大ヒットしたので、知っている方も多いかと思います。

ちなみに、作詞した北山修氏は同年同じタイトルのエッセイも出版しています。
中表紙 歌詞 奥付 裏表紙
でも、本題は今、国会で議論されている安保法案、安保法制などと呼ばれている「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」についてです。

20世紀に入り二度の世界大戦を引き起こした(当時の)先進国は、自由な市場経済と社会主義の経済という2つの経済政策の対立、つまり、アメリカと旧ソビエト連邦の2つの超大国を中心とした冷戦の時代に向かっていきました。

この冷戦時代の軍事上の革命的な発明にICBM(Inter Continental Ballistic Missiles=大陸間弾道弾)があります。
この醜悪な発明は、ロケットを兵器にする、という大胆な発想で作られており、発射ボタン1つでロケットエンジンのついた核爆弾が、現在でいえばモスクワ、ハバロフスク、エカデリンブルク、サンクトペテルブルク、ロストフ・ナ・ドヌやワシントン、ペンタゴン、ニューヨークなどで爆発させることができるという、戦争の決裁者にとって非常に便利な道具の一つなのです。

その後もアメリカのSDI(Strategic Defense Initiative=戦略防衛構想)に見られるような宇宙(といっても衛星軌道上)での戦略兵器の構想も考えられ、また、無人機による遠隔地からの爆撃も実用化され、原始的な武器(刃物、鈍器、銃など)や原始的な兵器(戦車、戦闘機、対兵器用のミサイルなど)とは使い方が大きく異なる兵器を考え出し、実用化していっています。
これらの違いは、原始的な武器や兵器が目の見える範囲の敵を攻撃するため、に対して、冷戦以後考え出された兵器は、遠くにある戦略拠点にダメージを与え戦闘組織の指揮系統(システム)を壊すことを目的としていることです。

そしてそのような兵器以外にも、記憶に新しいところで9.11のアルカイダによるアメリカ本土への民間航空機によるテロ行為に代表されるような、国境を越え大陸を超えた攻撃が簡単に実行できるようになったことです。
また、ISILは世界中から構成員を集めるなど、攻撃だけでなく戦闘組織の構成にも国境を越え大陸を超えて行うことができるようになっています。

冷戦以後のこの変化は、人と経済のグローバル化がもたらしているのは明白です。
経済のグローバル化についての賛否をここでは語りませんが、日本の生活についても、貿易なくしては成り立たないこともあり、ワールドワイドな発想が必要です。
そして、国にはその安全を守る機能が必要となっているのです。
そのために今、国会では安保法案、安保法制と呼ばれる法整備について検討しているのです。

ところで、防衛相から毎年、防衛白書なる文書が刊行されています。
平成26年版にはマンガのダイジェスト版があり、自衛隊の国際平和維持活動、国際緊急援助活動がわかりやすくまとめられています。
これを読むと密接な関係にある他国や国際連合の要請ですでに、民間企業では危険な国や地域で復興、復旧、医療行為などを実施しています。
これらは日本の安全と日常の維持に必要なため行っていますが、国際社会の一員として果たすべき義務と考えるのに異論はないと思います。

ただ、現状では集団的自衛権を行使しないという憲法9条解釈のために、国際平和維持活動、国際緊急援助活動での武器使用は認められていないと考えることができます。

私自身が自衛隊の国際的な活動の詳細を把握しているわけではありませんが、平和安全法制整備法案を読む限りは、現実に追いついていない現行法の抜けや漏れを補い、自衛隊の活動範囲を法律で明確化し、ワールドワイドな自衛隊活動において活動員の身を守る武器の使用を法律で明確化していると読み取れます。
個人的な考えを誤解を恐れずに言えば、海外の危険な国や地域での自衛隊活動を法律で明確化することのリスクと時代遅れの穴だらけの法律で海外で活動するリスクのどちらが安全かといえば、法律で明確化する方だと考えます。

参考文献

平和安全法制等の整備について
防衛白書
長崎大学核兵器廃絶研究センター
Encyclopædia Britannica
杉田 二郎

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