緩和(終末期)医療
2003/05/28
人は、いつかその人生を終えます。そして、その原因の3分の1が、癌(がん)といわれています。その最期、多くの場合、患者は、「痛み」との戦いが待っています。

先日も、ドラマを見ていると、末期癌患者が、痛みを堪えている姿を示していました。僕は、かなり苦々しい思いをしながら見ていました。完全に痛みを無くすことはできないものの、今は、この末期癌の疼痛は、かなり減らすことが(緩和)出来るのです。

この医療のことを緩和医療といいます。簡単に言えば、癌性疼痛の患者に対し、積極的にモルヒネを中心とした麻薬製剤を積極的に使用し、疼痛を緩和する医療をいいます。しかし、日本は、他の先進国に比べ、モルヒネの使用が、驚くほど少なく、まだまだ、「癌の最期は、堪えられないほどの痛みが待っている」という現実が少なくありません。それは、このモルヒネの使い方を知らない医師が多すぎるのです。

厚生労働省は、数年前から、こういった現実に対処すべく、各地で疼痛緩和医療の講習会を実施したり、関連法規を改正し、疼痛緩和医療の促進を勧めています。しかし、まだ十分とは言えません。まだまだ、「モルヒネを使うなんて恐ろしい」とか「精神依存が起きるのではないの?」などという理解されていないが故の誤解が残っています。

一部の専門施設でしか行われていないのですが、癌性疼痛に苦しむ患者に対しては、塩酸モルヒネを2000mg/日以上、投与する場合があります。(普通は、100mg/日程度です)モルヒネには、極量はありません。つまり、患者が痛みを訴えず、夜の安眠が約束された量が、適量なのです。

私たちの3分の1は、将来、癌で死にます。その時、多くの場合、癌性疼痛が、早期から始まります。最初に書いたとおり、モルヒネを適切に使えば、この癌性疼痛は、確実に緩和されます。僕にとって決して他人事ではなく、父方の祖父・祖母、うちの父も癌を煩い、特に父方の祖父は、その最期、痛みに苦しんだと聞いています。その時代は、仕方なかったのかもしれませんが、これからは、しっかり患者は、医師に要望することができます。

「この痛み(癌性疼痛)は、緩和出来るはずです。モルヒネを使ってください。」
と主治医に訴えるべきです。それに応じてくれない病医院は、さっさと見切りを付けて、他の病院へ転院希望をしましょう。

最後に繰り返します。癌患者は例外なく、その癌性疼痛から解放され、安らかに死を迎える権利があります。