花粉症 その2

今年の春の訪れは早く。、それとともに、例年よりスギ花粉の飛散も早かったようです。街には、白いマスクをしてる人が多く、ゴーグルなどで、完全防備をしている人もちらほら。僕もmetoもそうなんですが、結構辛いものです。

さて、薬物療法などについては、前述の記事をご参照下さい。さらに、一つ付け加えることがあります。

病院で、花粉症の飲み薬を貰う(この書き方いけないんですよね、実は買っているんです)と、薬代の高さに驚くことがあります。所謂「抗アレルギー薬」なるしろもの。だいたいこの手の薬剤の能書をみると「症状をとる薬ではなく・・・」ねんていうことが書いているものが多いです。つまり、直ぐには症状をとるような薬ではないということ。花粉症=花粉アレルギーは、人の免疫応答の異常によるもので、その異常を薬で調整しようというものです。ですから、直ぐ症状をとるという働きよりも、その調節作用を主たる薬理作用としています。

市販薬の殆どや、病院で処方される薬のなかでも、飲むと早く症状が取れるものがありますが、それは、所謂「抗ヒスタミン作用」があるもの。アレルギーの応答があると、免疫系が異常に活性化され肥満細胞というところから、大量にヒスタミンという物質がでます。それが、血管などに作用して、鼻炎の「くしゃみ・鼻水」などという症状を引き起こします。その作用する受容体を止めてしまおうというのがこの手の薬です。確かに症状は直ぐ止まりますが、眠気と口が渇いてしまうなどの副作用が多くの場合伴います。(ですので、車の運転や、機械作業をする場合は要注意です。)

さて、この「抗アレルギー薬」という薬、実は、日本以外ではあまり見かけない薬なのです。というのも、日本でまずこの系統の中で、最初に薬剤が開発され、画期的な薬剤ということで非常に高い薬価がつきました。日本では、開発をすでに発売されている薬を参考にして行い、臨床の比較試験を行います。承認されますと、薬価は対照にした抗アレルギー薬とほぼどう価格になります。つまり、薬剤の主たる薬理作用を、抗ヒスタミン作用とせず、他の作用を見いだし「抗アレルギー剤」として、開発した方が儲かるのです。こういうこともあって、海外で開発された薬でも、日本で抗アレルギー薬としてのみ発売されているのがあるようです。病院で投与され、「よく効いて(直ぐ症状がとれて)」+「眠気がある」という薬は、抗ヒスタミン作用があります。しかし、薬効分類が、抗アレルギー薬となっているが故、薬価が高いというものがあります。

僕が、局所に投与するステロイド剤を薦める理由はこういうところにもあります。ステロイド剤は、局所投与であればさほど重得な副作用はなく、効果が確実です。

そして、もうひとつ。

健康にまつわるテレビ番組が氾濫しています。日曜日の夜にもやっていますね。この前、ヨーグルトを食べるといいって言っていました。確かに、異種タンパクが抗原(アレルギーの元)にはなるし、それに対する抗体がこの花粉症という疾患に無関係だとは言いませんが、あまりに物事を断定的に言い過ぎます。この花粉症、たとえば抗体の保有率(花粉症になる体質の人)と実際の症状発現率は一致しない(大阪市内と奈良市内の調査があり、抗体保有率は大阪市内・奈良市内の住人に差はなかったのですが、症状発現率は、明らかに大阪市内の住民の方が多い)という報告もあり、複雑な要因を孕む疾患なのです。

決定的な予防法もなく、今や国民病とさえ、言われています。櫻が散るとおそらくスギ花粉の飛散のピークも過ぎるでしょうから、少しずつ症状も収まるでしょう。しかし、来年もやってきます。まずは早めに、病院へ行きましょう。で、「ステロイドの点鼻を下さい」と主張しましょう。