あの歌 |
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誰しも思い出のある歌ってあるかと思います。イントロを聴いただけで、あの頃の思い出が走馬燈の如く甦る歌が何曲もあります。
貴方の一番好きな歌は何ですか? 溢れるくらいの歌の中からその一曲を選ぶのは至難の業でしょうね。僕も、そうです。なかなか選ぶことが出来ません。それぞれの歌に、思い出が結びついているので、順列をつけるのは不可能なのです。その反面、どうしても聞くことの出来ない曲があるのも事実です。 今、携帯用MP3プレーヤーに、昔の懐かしいCDから曲を取り出して、持ち歩いて聞いています。そのCD…そう、僕が、今でも、どうしても聞くことの出来ないCDもラックの中にあります。 人の思いというのは不思議なもので、一度成就したことは、後で、失ったとしても風化させたりあるいは、昇華したりすることが出来るようです。ですから、昔の恋人と聴きに行ったコンサートや二人でドライブしたときのBGMになっていたCDは今では懐かしく感じます。 しかし、好きだという思いが不完全なまま果たせなかったとき、好きだという気持ちは失せてしまっていても、なんだか、心にしこりが残ってしまうようです。 あのとき、僕はある年下の人が好きでした。その人は、僕のことなど眼中にありませんでした。その人は、別の人K君がでした。幸か不幸か、K君は僕のことを思ってくれていました。なんと見事なトライアングルの三角関係。見事に振られたなら、忘れることが出来たのでしょう。若かったが故、3人の思惑が複雑に絡み、言い表すことができない心の綾が、3人の関係に影を落としていきました。 もうおわかりですね。そのとき僕が大好きだった彼が聞いたいた歌手で、彼が薦めてくれて買ったCDが「その」CDです。聞かなくても、あの頃のいろいろな出来事は忘れらず、鮮明に覚えています。あのときこうすればよかった、あぁすればよかったという後悔もあります。しかし、時間は遡ることは出来ません。ただ、今の僕に出来ることは、そのころの経験を今の自分に生かして、もう2度と同じことを繰り返さないようにすることだけです。 もう泣かないで 悲しまないで 折れるほど抱きしめてみても 街には家路を急ぐ人が 足早に目を伏せて安らぎ求めて 愛の喜び 夢に描いて 傷ついて涙もかれて 街には 夕暮れが忍び降りる 片寄せ 歩いても 心は寂しい 出会いと別れの中でひとは 運命(さだめ)に立ち向かう 勇気を見つける 夢去りし街角(作詞:谷村新司・作曲:堀内孝男) 思い出っていろいろあるのでしょうが、今まで振り返るといろいろな人との出会いと別れを繰り返してきたような気がします。切ない別れも中にはありました。しかし、それを運命(さだめ)だと受け止め、立ち向かってこそ、前を向いて歩く勇気を見つけることができたのだと振り返って思います。 あのCD、いつになったら聞けるのでしょう。いつか聞くことがきっとできる、そう思いながら、僕は、“今”を生きています。 |
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