卒 業

2002年3月、今年の気の早い桜が咲き始めています。先週・今週と卒業式がえりの学生さんを見かけました。ふと今から19年前の高校の卒業を思い出しました。僕の高校は、地元では公立の進学校。岸和田城の側にあるこの高校は、子供の頃から行きたかった高校でした。なんだかさめた子供で、部活も自分の体力のなさのためさっさと見切りをつけ、入らず。基本的に勉強中心の生活を送っていました。それでも楽しかった3年間でした。文化祭のライブにでたり・・今から思えば、少し恥ずかしい思い出です.

・・それなりの高校生活をエンジョイしていました。

国公立の受験を数日後に控えた2月の終わり、高校の卒業式を迎えました。一通りの式典を終え、最後、担任の挨拶。今のような謝恩会もパーティーもなく、入試を控え緊張していたのでしょうね。感慨に浸ることもなく、お開きとなりました。それでも、少しくらいは仲のよかった友達と思い出話をして帰ろうと思い、その友達のいるクラスへ。しかし、そこには、クラスの連中と仲良く話している友人の姿。(二人いたのですが、二人とも同じクラス)「帰ろう」と、声をかけることもできませんでした。教室に戻っても部活をしていた連中は、部室へ。完全に居場所がなくなってしまいました。楽しかった高校生活でしたが、さすがにそのときは、言いようのない孤独感に包まれてしまい、少し冷たい春風を感じながら、家へ帰りました。

不思議なもので、家に帰っても珍しく誰もいないのです。きっと、家の人間も僕の帰りは遅いと思っていたのでしょう。家に帰って、制服を脱ぎ、明かりもつけずふて寝を始めました。(気にくわないことがあると、よく寝ていました。今でも、そうかもしれません。よくするんですよ、「ふて寝」)

「ま、受験もあるし。仕方ないか」

「ちょっと寝て、勉強しよう」

って、寂しさに打ちひしがれている自分に言い訳をしていました。本音はかなり後悔していました。
結局、一人だったんだって。寂しくて、寂しくて、堪らなく、涙していました。そんなとき、電話が。「誰だろう?」と思いながら、でると、前述の仲のよかった友達の声。「何、先帰ってんねん?!探したんやぞ。」と明るい声。「だって‥」と言葉に詰まっていると、
「はよ、でてこい!ボーリング行くで!」と。
うれしかった。半べそかいていたのを悟られないようにしながら、
「わかった!そしたら、いつもの茶店で、待ってて!」
と二人に伝え、慌てて服を着て飛び出しました。

あれから19年目の春。今でも二人とは、親交があります。ゲイであることもカミングアウトしている唯一の友達であったりします。二人とも、良いおじさんになり、幸せそうな家庭を持っています。

あの日、友達からのあの電話がなかったら、きっと、3年間の高校生活を後悔して終わってしまったかもしれません。