空を見上げた日

こんなホームページを創っているから、いつの間にか、空を見上げるのが癖になってしまいました。空を見上げると思い出す出来事があります。

7年も前(1995年)、転勤で新潟から京都へ。あの日は、雲を探しても見つけることが出来ない位澄みわたった、秋の「青い空」でした。引っ越しの荷物の搬出も終わり、「彼」は空港まで送ってくれました。色々あって、自業自得で、恋人だけでなく、友達までも失ってしまいました。でも、「彼」だけは最後まで一緒にいてくれました。

当時住んでいたところから、新潟空港までは車で20分ほど。車窓からの小さな空をみているだけで、悔し涙が溢れてきます。それでも、泣いちゃいけないって思いながら、我慢していました。空港に着いて、「彼」はトランクに入れてあった荷物を持って降りてきてくれました。
「ありがとうね」
僕は、今にも、
泣き出しそうだったので、言えたかどうか憶えていません。荷物を受け取って、空港ターミナルへ向かいかけたのですが、きっとこのままちゃんとお礼を言わないで、行ってしまったら後悔すると思ったのでしょうね。荷物を足元に置き、「彼」のところへ駆け寄り、力一杯抱きしめて
「最後の最後まで、一緒にいてくれて、ありがとう。」
って言ったと思います。その後、彼に背を向けて、空港ターミナルへ。溢れそうになる涙を堪えて、空を見上げると、あの「青い空」が一面に広がっていました。

そして…

偶然でした。旅行に行って、「彼」がやっているお店に行きました。そこで、お店を閉じてしまうことを聞かされました。カウンターの中にいると、いろいろな人間模様が見えて、きっと辛かったのでしょう。でも、最後の最後まで気丈に頑張っていました。
「自分より、若い子が来てるから、弱いところ見せられないの…」
お店の最終日、頑張っている彼を見ながら、7年前のことを思い出していました。もう会わないと思って新潟から京都へ向かったのに、彼とは縁があって、こうやって再会している。彼が、呼んだのでもなく、きっと、神様が会わせてくれているんだろうとも思いました。午前3時を回った頃でしょうか?名残も尽きないのですが、最後の時がやってきました。他のお客さんを見送ると、僕は、外で待っていました。お店の鍵を締め終わった「彼」を後ろから抱きしめ、泣きじゃくる彼に言いました。
「空は続いているんだよ」
僕も、涙を堪えて、空を見上げると、そこには秋の星が優しく瞬いていました。

雨が降ることもあるでしょう。時には嵐かもしれません。でも、熱い太陽がエネルギーを与え、頬を撫でるような風は優しさを教えてくれます。

辛いときでも、下を向いているより「空を見上げて」みませんか?

2002/08/30