愛 国 心
W杯が始まった。日本も初戦のベルギ戦では格上の相手ながら、引き分け。報道によれば
「歴史的な勝ち点1をあげた。」
いつもは遅くまで残業をしているうちの部の人も、そして、僕はいつも通り家に帰帰った。テレビはお揃いのブルーのシャツを着て、日の丸を顔に書いたサポーターたちが
「日本!」
と連呼して応援する姿を伝えていた。稲本のシュートで1点をリードした瞬間は、NHKのアナウンサーまでが、その興奮を伝えていた。勿論、僕もその瞬間、ひょっとして勝つかも!と興奮していた。

今年は、冬季五輪もあり、日の丸を目にする機会が多い。しかし、最近では祝日にさえこれを掲げる家は減った。国旗すら持たない家がほとんどだと思う。もちろん家にはないし、実家にもない。

W杯の陰に隠れて、国会審議が進んでいる。時間切れで成立が難しいと伝えられているが、有事立法、つまり、日本とその同盟国が侵略を受けた場合、今のPKO法では、後方支援(物資の補給など)に自衛隊の活動が制限されるが、前線までその活動範囲を認めるなどを含んだ「戦争が起きたら自衛隊はどう働くか!」を定義しようとしている重要法案の審議が進んでいる。

W杯では、ほとんどの国民が家にはない日の丸を意識して、日本代表を応援しているのだが、この有事立法については賛否両論があるらしい。
日本は、世界中で唯一、戦争放棄(交戦権の放棄)を謳っている平和憲法を持っている国である。第2次世界大戦では近隣のアジア諸国を侵略し、多大なる国家的罪を犯した。結果、唯一の被爆国となり敗戦。その後、ユダヤ人が草案を作成したといわれる「日本国憲法」を公布・施行。現在もこの戦後にGHQ主導によって作られた憲法は最初のまま1行、1文字も変更されぬまま現在に至っている。
50年以上も前の憲法が今も通用しているというのも、率直なところ違和感を感じるが、その平和憲法で謳っている交戦権の放棄と有事立法が矛盾しないと思っている国会議員の感覚も不思議である。
しかし、僕は自衛隊の海外派兵に対し"No"と行っているわけではない。ひとつひとつの法律の上位にあるはずの憲法を無視して、小手先だけの法律を作ってしまおうという政府のやり方に疑問を持つ。つまり、この平和憲法の精神を重視し、国を守るということは現在ではどうすればいいのかを国民で全員で議論し、つまり改憲も視野に入れて議論をしなければならないと思う。

新しい歴史教科書を読まれたことがあるであろうか?確かに少し偏った感は否めない。ただ、今の戦後教育はあまりにも日本という国そのものを卑下しすぎている様な気がする。戦前の様に何もかも国家のため・天皇のためという教育は間違いであると思うが、事実、特に戦前の混乱期から開戦、そして戦後のあたりは、きちんと事実を調査し、その事実をこれからの子供たちに伝えて欲しい。たとえば、日本が行ったとされる南京大虐殺という事件の被害者は30万人とも40万人とも中国側は発表しているが、当時南京の人口は数万人しかいなかったという説があり、虐殺そのものがないという話から、事件はあったものの規模そのものも小さかったという話もある。こういう史実さえ、はっきりとした証明がされす、間違った認識で教育されている。自国を愛するということを示すことが苦手な国民を育てている様な気がする。

戦時下、日本は朝鮮半島から中国、そして、東南アジアまでその植民地支配を広めていったが、教科書問題や首相や閣僚の靖国神社参拝問題を機会があるごとに取り上げキャンペーンを行っている国は、一部の国で、その理由は国内の政争のためによるという憶測もある。こういう様なアジアの国との関係において特殊事情があり日本で愛国心のあることを示すと、まるですぐ軍国主義者の様に受け取られ、悪いことをしている様な気になることがある。だから、愛国心がないかのごとく振る舞い、日本を守るなんて日米安全保障条約に任せておけばよいと思っている(日本を守るということすら意識していない)日本人が多い様な気がする。

埼玉で行われたW杯の日本戦で、青いシャツを着て、日の丸を振り、顔にも日の丸を描いている日本人を見て、この姿が日本人の素直な気持ちの様な気がする。日本が好きで好きでたまらない。そんな気持ちを素直に表現できる国民でいたい。